第223話 世界を目指して

「さてと。endm~来てるか~?」


『はい、準備万端です。今日は一番頑張ります!』


「だな!俺も頑張るよ」


今日は、ついにアジア決勝。

デュオ戦から始まるこの大会、スクワッドのモチベのためにもしっかり勝っていきたい。

世界大会に出るにはtop5だった。

まあtop3くらいかなと思ってたので少しだけ心に余裕が生まれる。


試合は3試合。

てっきり6試合でやるのかと思ったが、スクワッド大会との兼ね合いで3試合らしい。

ただ世界大会になると6試合だとか。

まあどちらにせよ頑張るまでだ。


「その、色々大丈夫なのか?」


『えっと、まあとりあえずは…って感じですかね。』


endmの方も中々に難航してるらしい。

俺にはどうすることも出来ないのが悔しいが、こればかりは彼女自身に頑張ってもらうしかない。


「そっか。とりあえずこの大会は頑張ろ」


幾度となく練習してついに来た本番。

本番と言っても、まだアジア大会だがここで気を抜くのはまた違う。


『ですね。私も気を引き締めて頑張ります。』


二人とも準備万端。




アジア大会決勝デュオ部門、第1マッチが開始した。






『とりあえずいつものムーブで良いですかね』


「だな」


まずは俺らがいつものように愛用している立ち回りで様子見する、が。


「やっぱりか、敵が居ないな」


降りた街には敵が1人も居ない。

と言ってもendmが居るので、ここで初動落ちするリスクは避けようと考える方が普通か。


『どうしましょう。』


「そうだな…うーん」


決勝となると、それなりにキルも稼いでかつ順位も稼がないと厳しい。

だからここは他の街を攻めるのもありだったりするが…。


「いや、これはこのまま行こう」


ここで無理に攻めてもまずいし、いつも通りで行こうかな。

どうせ終盤でキルを取ればいい話。


『ですね。街漁りつつ行きますか』


とランクと同じような立ち回りを始める。

ただこの試合、俺らの立ち回りを知っている人がほとんど。

だから、


「敵が居ないな、そりゃそうか」


やっぱりendmを避けてるなこれ。

うーんどうしたらいいんだ?


『敵居ませんね~、どこか撃ちに行きますか?』


「そうだよなーどうしよう」


順位を安定して稼ぎたい気持ちもある。

ただ初動から中盤にかけて0キルで過ごすのは結構まずいかもしれない。

第2試合、第3試合でどれだけポイントを稼げるかもわからないので、稼ぎ時に稼ぐのが普通だったりする。


「行くか、」


仕方ない、これは攻めに行こう。

こっちにはendmも居る。

どうにかなるだろ。


『ですね、こっちのほうで一度銃声聞こえたので行きましょうか』


戦闘狂の片鱗は早くも姿を現した。


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『あ、ここに居ます~!』


「了解、攻めれるか?」


『任せてください』


endmが正面突破。

俺が後ろからスナイパーを撃つ。

彼女の突破はあまりにもリスクが高いが、撃たれる前に倒すというのが彼女のスタイル。

だから、安定していないように見えてすごく安定していたりする。

エイムがとてつもなく良いという条件でしか成り立たないが、、、


『こっちやりました。そっちの方の敵抜けたりしませんか?』


「おっけ、任せろ」


endmが片方やってくれたなら俺がもう片方やるしかない。

スナイパーのスコープで狙いを定めて………


「よし、こっちも倒したぞ。」


まずは2キル。

0キルのままムーブするよりも全然良い。


『ナイスです!こっちにも敵見えたんですけど、行きますか?』


「あーどうしよ」


えーここで攻めるか?

このまま攻めまくると隙も大きくなってくる。

キル数はそれなりに稼げても、順位を上げれるか微妙。


いや、決勝だ。ここまで挑戦しないと厳しいのは当たり前か。


「よし行こ」


endmと、自分の実力を信じてまた敵を倒しに行ったのだ。



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『あ、まってこっちにも!』


『ここにも居ます!』


『あそこにも居るので行きますね!』


半ばendmに連れまわされた気がする。

しかも作戦は綺麗に上振れしてしまった。

ようやく終盤に入りかけた現在。


キル数は8。


8キルを1試合でかつ終盤前に稼げたのはかなりでかいが、

ちょっと暴れすぎたかもしれないな。


『え、あ、あそこにも!』


「ちょいストップ、一旦位置取りしよ」


このままキル稼いだら目の前のことしか考えられなくなる。

今はこれからのことを見据えて立ち回りをしていきたい。

多少ずれるは良いが、一応これはいつもの立ち回りを優先している。


『え、あ、すみません。ついうっかり。』


8キルか、流石だな。

こっから終盤どれだけ稼げるか………まあこれに掛かってるだろうな。


「とりあえずここ行こ」


目指すのは高台。

このゲーム、というかFPSは大体上を取るのが強い。

今回も安全地帯の中で高いところを取っておきたい。


ただ、今一番高いところはマップの端。

敵も居るだろうし、次のムーブを考えると少し違う場所を目指す。


『敵も居なさそうだしそこに行きましょうか』


「だな。」


俺らは急いで移動する。

ヘイトを食らったらちょっとまずいかな、と一瞬考えたが俺は避けるしendmがカウンターしてくれるし、と思うと自然と肩の荷はどんどん落ちていく。


まだ全然俺は何もしてないけど大丈夫かな。


このままだと、endmにキャリーされたまま……


「っとあぶね!?上居る!」


『あ、ほんとだ、私が前行きます。』


あ、またendmが殲滅しに。





あれ?

これって決勝だよね?

こんな暴れることが出来るっけ……。


ようやくendmの恐ろしさに気が付き始めたのだった。

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