第216話 endmが家に①

『家ってそっちの方向なんですね。私と真逆です。』


「そっかendmって逆方向か。ってこっちに来るの初めて?」


『そうですね…たぶん?』


「まじか1週間しかないけど、ちょっとでも楽しい思い出になるといいな」


ということで俺とendmは新幹線に乗っている。

まあかくかくしかじかあってendmは夜音の家で泊まることになったのだ。


なお新幹線のチケットは俺が彼女の分も払った。

日ごろの感謝も込めてというところだ。


『でも、私本当に行っても良かったのですか?』


「ん?ああ全然おっけーだよ。幼馴染も別にやばいやつじゃないからさ。仲良くしてくれると嬉しい」


『え、あ、はい。あ、あともう一つ』


「どうした?」


『私がendmっていうのあまり言わないでもらえますか?』


「おっけ、了解」


まあ人には人の事情があるさ。

俺は別に広めたりばらしたりするものでもないと思ってるし、

個人の意見は尊重すべきだったりする。


今回の件もendmと両親には何かあるんだろうけど、それを言うなら俺たちも同じような境遇だ。

だからこそ、俺は彼女の気持ちがわかる。


彼女から言ってくれるまで、俺も口を出さないでおこう。


「っと、次の駅だ。」


あっという間…かな?

そうでもないか。


新幹線を降りると、別の電車に乗り換えてまた走る。

そして駅から歩いて到着したのが、俺の家だ。


3時間かけて帰ってきた。





ドアには鍵がかかっていないことから、やはりなと察した。


「ただいま、夜音~居るか?」


「おかえり~あ、例の子来たの!!」


『あ、えっと、どうも。こんにちはお世話になります。』


「よろしく~私は赤坂夜音、夜音って呼んで!君の名前は?」


あ、名前…。

endmと言うなとは言われていたけど、名前までは考えていなかったなぁ。

とたじたじ1人でしているのを気にせず、


『私は桐谷 真白です。よろしくお願いします!』


すんなり答えた。

何の名前だ?


「よろしく~めっちゃ可愛いじゃーん彼女なの?ねえねえ」


あ、めんどくさい。

俺は無視して中に入る。

っと忘れてた。


「あ、夜音。その、真白を案内してやって」


「はいただいま~!行こ!真白ちゃん!」


『え、あ、はい』


彼女は夜音の手に引っ張られていった。

さてさて、とその間に荷物整理でもしとこうかな。





少し時間が経って、彼女らが戻ってきた。


『えっと、あ、お邪魔します』


「いいよいいよ、入って」


「おい誰の家だと思ってんだてめえ」


「今更の話でしょ」


何が今更だ。

ここは元から俺の家だっつーの。


「それよりも、真白ちゃん凄いんだよ!この子なんでも出来る!」


「んーまぁ」


確かにendmはなんでも出来る優秀な子というイメージが強い。

家事とか万能だというのは耳にしてるし…。


『ありがとうございます~!』


endmの笑顔も綺麗だ~。

てかよくよく考えたらこの家に二人女性を連れてきてるのか。

あれ、大丈夫だよね?


「あ、そうそう。真白めっちゃゲーム上手いよ。一緒にやったら?」


「え、まじ!?まじなの!?」


『え、あ、まぁ』


「まじか!急いでゲーム機もってこないと」


そう言うと夜音は背を向けると、急いで準備しに戻った。



『凄い元気な子ですね。』


「だろ、あれが1年以上もこの家に住み着いてんだぜ。逆に怖いよ」


『隣が幼馴染っていいですね。何か安心します。うらやましい』


「まあ色々あってな。あ、そういや思ったんだけど桐谷真白ってendmの仮名?」


『いえ、本名です。あ、さりげなく初めて言ったかもですね。』


まじか。

ここで本名を知ることになるとは…。

桐谷 真白、凄く良い名前だ…


『とりあえず1週間お邪魔します』


「良いよ~ごゆっくり。」


と同時にドアが勢いよく開けられる。


「真白ちゃん!勝負だ!」


と大量のゲーム機を持って現れた。







レースゲーム。なぜか俺も参加させられたのだが結果はこう。


1位が俺、2位がendm。

そして最下位が夜音だった。


「ま、まあ私レースゲームは苦手だから。そう!私が得意なのはFPSなの!」


急に言い訳タイムが始まった。

彼女お得意の時間だ。


「真白ちゃんは何が得意?」


『私ですか?私はそうですね、同じくFPSゲームは割と出来る方だと思いますけど。』


割と、じゃなくてだいぶ出来るけどな。


「え、まじ?夜一緒にやろうよ!勝負だよ勝負!」


辞めとけ~そいつは世界1位にもなりうる存在だぞ。お前がendnには勝てないぞ。


『えっと、まあ良いですよ。PC貸してもらえますか?』


「ん?ああいいよ。」


『じゃ夜に勝負ということで。ご飯でも作りましょうか?』


「え、良いの!?真白ちゃんのご飯食べたい!」


「俺もお願いしようかな」


今日は普通に俺が作る予定だったのだが、まあ真白ことendmの料理も少し興味がある。


「あ、冷蔵庫のは勝手に使っていいぞ~」


『たくさん揃ってますね。ありがとうございます~!』


と彼女は料理を始めた。

夜音はルンルンとしながら、ゲームを再開。

俺はソファに座って、二人を観察している。





endmもよく考えたらこいつがプリームだなんて知らないのか。

じゃあ夜の戦いってやばくね?


夜めちゃくちゃ荒れる気がする…

どうなることやら…


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【後書き】

夜音とendmの絡み見たかったんですよね(誰やお前)

まああと2,3話後にはアジア大会が控えているんですけど、彼女はどうしていくんですかね。




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