第215話 みんなで決意を

『あ―――美味しかった!!!』


今までにこんな美味しい夕食なんてあったか?というくらいの満足感を手にして、

練習していた場所に戻ってきた。


『それは良かった。担当の調理の人も喜んでるだろうよ』


『すべてが美味しかったですね。wartめっちゃ食べてましたね。』


『そりゃあ美味しいのは食べれるだけ食べないと』


『私は流石に太るのでやめましたが…いつまでも食べれそうな品々でした』


『太る…げっ』


「まあまあ」


endmはめちゃくちゃ栄養バランス気にしてたな。

その反対がwartって言う感じだった。

二人とも個性が出ているなってlucusとはこっそり話していた。


『あ、そういや一度皆に聞きたかったんだけど』


「ん?」


『どしたの~』


lucusがそう切り出した。

どうしたのだろうか。


『もうすぐ大会が迫っているわけだし、一つくらい目標を立てない?』


『いいね、それ!』


『確かに良いですね。出来ていないことを振り返る機会にもなるわけですし。』


『よし、ということでだが。皆考えはまとまったか?』


「いや、ちょっと時間を」


『おけ、じゃその間に入浴とか済ませてその後にミーティングするぞ』


『りょーかい!』


『分かりました。wart、一緒に行きませんか?』


『もちのろんだよ~!』


『では、お先に入らせていただきますね』


『了解~いってら』


「いってらっしゃい~」


女子二人はそう言って部屋を離れた。

俺らは…何もすることないな。


「なあ、lucusって試合中の脳内ってどうなってんだ?」


『え、俺?そうだなぁ』


今後の試合の参考にでもしたい。

色んな人から助言とかを貰っておくと今後役に立つかもしれない。

作戦の幅は広げとかないと。


『まあまず戦闘時なら、敵がどう動くかっていうのを考えるかな』


「あ~俺もそうするわ」


『だろ?で敵がどう動いても俺らが出来るだけ被害を最小に出来るように立ち回るんだよ。』


「それは難しくない?」


それが出来たら苦労しない。

いわば最有力の立ち回りをするってことでしょ。


『難しいよ、これがやっぱり経験の差とかじゃないかな。

 今は割と初めての状況でも対応できるようになってきたし成長してる』


「流石だなぁ」


どう動いても被害が最小になる立ち回りか…。

言われてみればlucusの指示のおかげで皆攻撃を搔い潜ってやってきた。

彼が言うならそういうことなのかもしれない。


『ちなみにblancがやる弾避けるコツってなんかあったりするのか』


俺か…?

今は感覚で動いてるし、いざ聞かれると難しいのだが。

「え~弾が来るところを予測しつつ、後は見て判断かな。銃口の向きとか見れば行動を先回り出来るしね」


『うん無理だわ。』


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『ということで決まったか?』


『はい!私から!もう少し精度を考えるのと、パターンっていうのを考えたい!』


「パターンか。まあ確かに今敵が何をしているかというのを考えるのも大事だな。」


『でしょでしょ~!』


『wartなら出来ると思いますよ。そのためにはたくさん試合を積まないとですね。』


『だな、よしじゃあ次はendm。』


え、あ、私?という挙動を見せた彼女だったが意外にも考えはまとまっていた。


『私はもっと実践を積んで、AQUAさんと1vs1したときに安定して勝ちたいです』


「良い目標だな。endmなら行けると思うが、そのためにも世界に行かないとな」


『ですね!頑張ります!』


endmは思った以上にAQUAに何かを感じたらしい。

もちろんAQUAも手ごわいが、endmなら全然太刀打ちできるレベルではある。

彼女ならやり遂げるんじゃないか?


『じゃ、先俺で。』


え、俺が最後を飾るのかよ。

別に大したことは言わないぞ。


『俺は色んな人を見て研究するかな。アジア大会にしても世界大会にしても出来る対策はいっぱい取ってレパートリーを増やしたい。』


『サポートですか。流石はlucusという感じがします。私も何かあったらお手伝いしますよ』


『lucusが更に磨かれる…いいね』


「だなって最後は俺か。」


「油断はしない。最後まで走りきる。」


必ず後半になると綻びが出てしまう。

けれど、それが油断大敵となり、負けてしまうかもしれない。


小さなことだがそれも大事だ。


『いいね、俺もそれ意識しようかな』


『油断大敵…ね、凄く良い!』


『ですね、みんなで頑張りましょ!』


短い短いミーティング、いわばお気持ち表明の場だったが色んなことは整理できたし結果オーライだ。


『ま、世界で戦う前にまずはアジア大会だ。勝とうな!』


lucusは手をグッドの形にして、前に出す。

wartも察したようで同じようにする。

endmも続いて前に出し、

最後になった俺も手をそろえる。


『しゃあ頑張るぞ!!!白い流星目指せ世界1位!!』


「「おー!!!!」」


俺たちは世界に勝つ。

それが誰もが思っている一つの決意。

絶対諦めない、最後まで希望は捨てない。


俺らが世界の頂点を握ってやるのだ。


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『今から練習やる人居るか~?』


『ごめん!うちは学校の課題が』


『私も少し勉強しないと』


ここにきても勉強とは、流石に凄いな。

俺は家でしか勉強せずここはもう遊びに来たみたいなものなのに。


『そっか、頑張れ。blancはやるか?』


女子二人とも行かないのか…lucus1人は寂しそうだな。

しゃーない。


「良いよ、なんでもやるわ」


仕方ない、寝るまで付き合ってやろうじゃないか。


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結局2時くらいまでずっとランクを二人で回していた。

ただ、朝7時に起きたので、あんまり寝れてなくて少し眠い。


今回は朝に解散だ。

wartとかも予定があるらしいし仕方ない。


ただそれより他に悩み事が1つあった。


『あの、少し良いですか?』


endmがスマホと俺とをずっとちらちら見比べて言いにくそうにそう言った。


「どうした?」


流石に心配になり、そう返すと、


『あの、そっちの方で生活一緒に出来ませんか?という本当に無理なお願いなんですけど』


朝から唐突にとてつもない悩み事が出来てしまった。


「え、どうした?話聞こうか?」


俺はざっくりとした話を聞いた。

まず突然今日親が帰ってくるらしく、顔を合わせたくないとのこと。

それと期間は1週間以内に帰る。

大会は必ず出る。

迷惑は掛けない。


とのことだった。

ただ、俺の家に泊めるのもなぁと一瞬思った。


「んーちょっと待ってくれてもいいか?」


『あ、はい。すみません本当に』


流石に俺の家に彼女を泊めるのは色々とよろしくない。

けれど、夜音の家ならわんちゃんどうだろうか。

俺は半ばきついだろと思いつつも聞いてみる。


〈俺の友達がこっちに泊まりたいって言っててさ、女子だからそっちに泊めれたりしない?〉


うーん流石にきついか?


〈いいよ~最低限マナーとかあるなら〉


〈まじ!?ありがとう、まじでいい子だから。1週間くらいいるらしいよ〉


〈おっけ~部屋片づける〉


と、なぜか許可が下りた。

てか最近部屋片付けたはずなのに、また散らかってんのか?こいつ。



「endm良いよ、こっち来ても。と言っても幼馴染の女子の家だけどいいか?」


『もう本当に凄くありがたいです。』


まさかこんな波乱の展開になるとは…。

先行きが不安だなぁ。


まあ大会は最悪もうゲームPCとかあるし開封すればいいか。




これからどうなることやら……。


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【後書き】

流石にずっと大会を書いてるのはしんどいのでもちろん少し手を加えました~!

頑張ります!

新作も頑張ってます、一応春陽視点のサイドストーリーを書き進めてます。

ぜひ楽しみにしててください。


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