第210話 打てる策はまだある

『よし、ということで3戦目の作戦だが。』


『降りる場所を変えてみないか?』


「ほう」


『なるほど!?』


『確かにそれなら初動で敵が居ないという心配もないですね』


今降りている場所に敵が居ない、つまりキルポイントが初動で狩れない。

これは大きな痛手だった。


だから初動で敵を狩る方法、その一つがこれってわけか。

もう順位ポイントとキルポイントの積み重ねで1位は硬いのだが、もう少し余裕を持たせてもいいし、最後まで突っ走るのはもはやお決まりだ。


油断大敵という言葉がある以上、まだ頑張るしかない。


『まあでもおおよそは上手く行く。俺の計算が合ってたらな』



とlucusがピンを指して降りた場所。

それは配信内ではほとんど降りない、いわば第二候補にして秘密の降り場だった。

街だから敵は多い。

ただ敵側からすればまさか4人が降りてきているとは思っていないだろう。


一方で俺らは、配信外でムーブなどを一通り固めているので意外と動ける。



作戦はかみ合った。

初動で武器をそろえると、俺たちはすぐさま敵陣に入り込む。


『あそこに敵がいるよ~!』


wartが言うと、その建物にendmが入る。

サポート役で俺もlucusも攻撃に加わる。

だからこそ負ける要素がない。


結果的に、街に俺ら以外3パーティ降りていたが、全員壊滅。


白い流星が主となって街を制圧したのだ。



しかも嬉しい誤算が付いてきた。


『敵が来たか。良いな』


まさか白い流星が加わる戦闘音だなんて誰も思っていない。

本来なら別の場所に降りてるはずだからな。

そう考えて敵はどんどんやってくる。


おかげでキルポイントもざっくざく。



『あ!lucusキルログ見て!!』


『ん?お!これはアツい』


「どうした?」


『どうされました?』


俺とendmはキルログを見ても何があったか分からない。

ただ、他二人は気が付いたようだった。


『2位のやつがここで死んだ。ほぼ1位確定かな』


『いぇーい!やったね』


『まあ、まだ油断は禁物ですね』


「そうだな」


2位と3位のポイント差は覚えてない。

まあlucusは記憶しているだろうし、その彼が1位ほぼ確定と言うならまあそうだが。


まだ最後まで頑張る…そう思った矢先。


『少し遊んでみるか?』


lucusが突然そんなことを言いだした。


「lucus何言ってるんだ!?」


『ちょっとまだ油断は……』


『いいね!!!やっちゃお!』


lucusのおふざけ提案にwartが乗ってしまった。


『よし、endm。あっちの方向に突っ込んで来い!』


『え、わ、わたしですか!?』


「まあこういうのもありか」


大会と言えど、固くなるのもな。

ゲームは楽しんでやるもの。

初心忘るべからずってやつだ。


楽しみ過ぎな気もするがな。


『仕方ないですね。私がすべてを終わらせに行きましょうか』


『他3人でこの街は守り切れるだろ。頑張るぞ~!』


『いぇーい!楽しくなってきた!!!』



さて、波乱万丈な作戦が始まった。





そしてキルログも荒れ始めた。

主にendmが流れてくる。

というか彼女で埋め尽くされるのだ。

彼女の行った方向にはもう一つの人気の街、いわば激戦区だ。


いくつものパーティが居るその街を単身で乗り込み、破壊しに行った。

そりゃ荒れるのも無理はない。


「あそこに敵居るか。」


俺たちも街に攻めてきた敵を倒す。

が、wartにより先手はほぼ確実。

しかも俺がスナイパーで抜いて、大抵は3vs3。

こっからはlucusの指示で優位な立ち回りを持って終わる。



もはや俺たちが居るこのラウンドは荒れているなんてものじゃなかった。








もちろん結果は1位。

まさかの3連続1位ってことに界隈がざわついたがそれどころじゃなかった。


〈なんかDブロックだけおかしくない?〉


〈endm異常すぎる〉


〈荒れてるとかレベルじゃないwww〉


〈白い流星戻ってきて良かったわ。こういうのが見たかった〉


〈まじでもう見れないんじゃないかくらいの無双劇してた〉


〈このゲーム知らん奴でも見てほしい試合〉


〈endmが海外勢にも恐れられてるの納得〉


〈戦いたくはないな〉


〈世界大会のレベルってこんなんなんだ〉


〈バケモンを可視化した感じ〉


〈皆endmの異常性に夢中で他3人の化け物さに気が付いてない〉






スクワッドも無事1位を獲得。

まあデュオと並んで二つともアジア大会進出というのはでかい。

まあ本戦はこれからだから油断は出来ないし、これからも頑張るか。



リビングに行くと、やはりいるのは夜音。


「あ、おつかれ~どうだった?」


「まあ、1位通ったから次はアジア大会かな」


「え~まじ!凄い。頑張って」


「ああ、もちろんな」


アジア大会はこの国で行われる。

ただ世界大会となると、今回はオフライン大会らしく、海外まで行かないといけないらしい。

初海外かもなぁ。


「海斗がblancだなんていまだに信じられないよ」


「そっか、まあこの3,4年間の努力をこの機会に出せるように頑張る」


「うん。私の大好きなblancはどこまで行くか楽しみだな~!」


本人の前で言われると、こっちもプレッシャーだなぁ。

とはいっても頑張るしかないのは当たり前。


本戦はこれから。

でも予選1回戦で抜けたので、しばらく空きが出来た。


白い流星でまた集まって練習するか。


早速俺は皆に声を掛けた。


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【後書き】

無双劇って本当に書いてて楽しいんですよ((

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