第194話 氷山の一角

「雑魚敵も尋常じゃないほどに強いな」


道中に湧くモンスターはどれも氷属性。

少しでも油断すれば自分が凍結させられ一定時間行動不可。

確率とは言えど、行動不可はだいぶ痛い。


しかもそいつらの攻撃力はバカにならないし、凍結連鎖なんてされたら洒落にならない。


『そうじゃ、だから難しいのじゃ』


そう言いつつ炎魔法を適切に使う影妖狐。

この人がHESKAL2期生でかつ、まともなVTuber枠らしい。

どういうことか意味不明だが訳が分からないわけでもない(?)


『そうじゃの、まあこれも序盤なんじゃがな』


「え、どゆこと?」


ーここすべてが強い

ー手加減ないんだよなぁこのクエスト

ー油断したら終わり!以上!

ーまじむずい

ー神威とlatent抜いたらこれが一番難しいだろ

ー上手いなぁ

ー妖狐流石に技の使い方完璧すぎ


『さてここまではわしが援護出来たのじゃが、ここからがネスイにも頑張ってもらおうかな』


「え?」


突然そう言われたそのタイミング、ちょうど着いた場所は明らかにフィールド。

氷山の中をくりぬいた場所という印象であり、空洞という表現の方が正しいかもしれない。


とにもかくにも、その奥に何か光が見える。


『さて始めるぞ、あ、敬語とかは抜きでいいのじゃ。がんばろうな』


あれ一瞬キャラがほどけたような?

とかそんなこと考える暇もない。


光が開き始め、中から出てきたのは氷の魔物。

全身が氷で出来ており、胴体のさらに中心部は水色の光が漏れ出ている。



敵がつららを飛ばしてくる。

自機狙い、まあ簡単に言うなら自分の方向へ常に攻撃してくる。

厄介だがこれは走れば問題ない。

妖狐の方は炎技で潰す判断をしている。


「なんで避けないんですか」


『避けても追いつかれるのじゃ』


必死に攻撃をするあたりギリギリで防いでるよう。

これは俺がどうにかするしかない。


「流水!」


腰に携えた小刀を抜き、攻め方を変える。

飛んでくるつららを砕きながら進む。

流水は障害物を砕けば、それに従って速度も上昇する。


だから今の条件下にはぴったりだ。



5,6本を砕き散らせた先には魔物が1体佇んでいる。


「よしここだああ」


さっきから光る中心部分を素早くなった流水で振り切る。



『ナイスなんじゃ!これが難しすぎてどうにもできなかったのじゃ』


とりあえず攻撃がひと段落付いたか。

俺は急いで距離感を取り、次の攻撃に備える。


『次はわしがどうにかするから後ろで待っておれ』


「え、あ、そう。分かった」


とりあえず邪魔にならないよう出来るだけ後ろに下がる。

影妖狐は敵の猛攻を魔法攻撃で封じ、あっさり2フェーズ目を終わらせた。


『ここは得意分野なのじゃ』


ー相変わらず上手い

ーなんでここできるの

ーうっま

ー魔法使い適正すぎる

ー理想の動き方やなぁ

ーこれは良い判断


『さて次からはお互い頑張るしかないのじゃ』


氷の魔物はまた別のフェーズを始めた。

そしてそれと同時にフィールドが少し狭くなる。


「なるほど?」


あいつが繰り出したのは至って普通のビーム。

ただフィールドが狭くなったことで避けるのが格段に難しくなった。

しかもクールタイムというものを知らないのか、ずっと攻撃をしてくる。


『これ当たると凍結確定だから気を付けるのじゃ』


「え、まじか」


このビーム明らかに攻撃力が高そうだなぁ

しかも自機狙いってことは凍結中も撃たれるってことじゃないか?


え、当たったらおしまいかよ。



「これどうやって攻撃を入れれば良いんだろ」


『チャンスを見計らって頑張ってくれじゃ』


ーだいぶ難関場所なんよなぁ

ーこれきつい

ーここダメージの入れ方分からん

ーここまで到達することなかなかない

ー避けるのきつい

ー当たったら即終了なの痛すぎる


「う~む」


何か良い技…って思ったけど何も思いつかない。

避ければ避けるほど速度アップというのが本来回避盾の強みでもあったが、ビームは当たり判定にならないらしい。

だから振り切るということ自体が難しいのだ。


「これ俺の速度上げれたりします?」


『出来るのじゃ、』


流石は魔法使い。

味方のバフもなんなくこなしてくれる。


おかげでスピードも上がってさっきの問題は解決だ。


「よし行ける!」


ビームの狙うスピードよりも俺の動きの方が上回り、魔物には到達できる。


これで3フェーズ目が終了。

まだHPはどちらも削られていない。


『さてこのフェーズが大問題なのじゃ』


またフィールドが狭くなった。

最初の状態よりも半分ほどだろうか。

少なくとも行動は格段にしにくくなり、速度というものが活かしにくくなってきた。


『ネスイならどうするかの』


ーさて……

ー難所出た

ーここなんよな

ーどれだけ頑張ってもここで終わる

ーノーダメ以外クリアできない地帯

ービームが可愛いよ



皆がおびえるほどの最難関地帯、どんなのだろうか。


まずは上から氷柱が落ちてくる。

まあこれは神威と戦っているときに死ぬほどやったのでまあいい。

ただフィールドが狭いからこそ落ちてくる場所を見分けるのが格段に難しいが。


そして数秒経つと次は自機狙いの氷柱が魔物から飛んでくる。

もうおかしいなこれ。

自機狙いと言っても常についてくるわけじゃなく、直進で居たところを突いてくるだけ。

つまりずっと動けば対処は可能ではある。

ただ上の攻撃と真正面からの攻撃を判断するのが難点か。


「は?」


いやいや嘘だろ。

だいぶきついのに次は横からも自機狙いの氷柱。

もはや氷柱のオンパレードでもある。

着実に判断しないとすぐ終わる。


『あぁ』


影妖狐はここでダウン。

まあ俺はまだ耐えられるかなと言った感じだ。

ただ魔物に攻撃するタイミングなんでそんな簡単に見つけられるわけもなく、避けるので精一杯だ。


「ん?周りがおかしくね」


上と横とをグルグル視界を動かしていたからこそ気が付けなかったが、


壁が迫ってきている。


着実に少しずつ…。


「えぇ」


まさかのフィールドまでも変化。

攻撃パターンは変わることなく、そしてさらに避けずらくなっていく。


「え、これ無理だろ」


流石に適応するよりも、氷柱にぶつかるのが先だった。

すぐに俺は凍結状態になり、この後は言うまでもない。


『やはりネスイでも無理なのかや』


ー人の心ない地帯

ーたぶん理論上を突き詰めてる

ーこれえっぐい

ー神威と並んでいいだろこれ

ーでも正直これ出来たら割と行ける


「え、これって攻撃入れないとダメなの?」


あの壁の限界を越えたらフェーズ終わりとか?そういうこと考えては居たが、


ーだめ

ー無理だよ

ー攻撃居るよ

ー研究必須

ーもはや弾幕

ーここまでくると攻撃力とか関係ない

ー道中くそむずいから攻撃力居るよ

ー攻撃要らない系ならtop3入る。


『流石に無理じゃったか、別のところでも行くのじゃ』


「そうですね、平穏なダンジョン狩りましょ」


特にその後は何もなかったが、流石にあの氷山の一角を切り落とすことなど到底叶わない。


でもいつかは成し遂げたいと思ったり?


そんなしょうもないことを考えつつ、配信が終了した。





あれ、そもそも別にこれコラボ配信じゃなかったな。


配信を閉じてようやく気が付いたネスイだった。

 



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【後書き】

なんか書きたかったので書きました←

作者の書きたいやつを自由に書いてるだけで読者さん達の求めてるものじゃないかもしれない…許して。


最近誤字とか脱字とか矛盾とか多すぎてやばいです。

この作品内外に関わらずそういうのを見かけたらこの作者さんも疲れてるんだなぁとか思ってあげてください。


星評価いっぱい貰えてうれしい~!これからもよろしく!

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