第175話 相方

「お疲れ様~」


「うぃ~」


一旦配信は終わりだ。

夜にも一つ控えているから準備もしないといけない。


「じゃ、私はご飯作ってくる~」


と一目散に飛び出したのはwart


「おい、ちょっとまって!」


と後から追いかけていったのはlucus



ぽつんと部屋に残されたのは俺とendmだ。


「いや~凄く気持ちよかったです」


ちょっとニヤニヤしながらこっちを向いてくる。

ただ、負けたのは事実だし何も言い返せない。


「どうやったらあんなにエイム当たるんだ?」


もはや彼女の下に付いた方が早い。

現にエイム力では断然負けている。


「そうですね~やっぱり敵と照準が常に一致するように心がけてます」


と自信を持ちながらマウスを動かしている。

画面の先ではエイム練習場が点けられていた。


「そんなに敵を追えるのか!?」


俺とはエイムの当て方がまったく違う。

だからこそ違和感に感じることも多いし、全弾当てているのも十分おかしい。


「まあ、結構当たりますよ。命中率は負けましたけど!!!!」


「なんかごめんなさい」


endmがちょっと頬を膨らませていて若干可愛い。


「私も一つ聞きたいんですけど」


「どうやったらもっと弾を避けれるんですか」


えっと…


感覚!とか言ったら怒るだろうな~


「まあ敵の位置を予測して…あとは慣れかな」


最初から弾を避けられるような才能があれば、別に良いんだけどそうじゃないならわからない。

まず、弾を避けたプレイヤーが実際ここに現れた時点で怖い。


「でも、弾が早くてキャラコン追い付きません」


「うーん、弾が撃たれたタイミングで、どこに飛んでいくか読まないと

間に合わないかな」


「才能羨ましい…」


画面を見ながらそう呟いた。


「まあ練習すれば行けるよ」


あそこまで避けれれば行けるんだろうな…。

絶対追いつきそうで怖い。

もしendmがこの才能を開花させたらっと思うとドキドキする。


「そ、そうですか」


まだわずかに希望を持ったようだった。

彼女はゲームを閉じると、こっちを向いた。


「あの…少し言うタイミングが無くて言いそびれちゃったんですけど」


気恥ずかしそうに彼女はそう言った。

目が全然合わない。


「実は…次にある世界大会、デュオ部門があるんですけど」


「blancさんって相方決まったりしてますか…?」


「まったく」


そもそも、デュオ大会があることすら覚えてなかった。

まあ確かに出るのもありか…そうなると相方が……ん?


「それは良かったです」


ちょっとした安堵が彼女にはあった。

次に来る言葉、俺にも想像が付いた。


「私がその役、担っても良いですか」




ちょっとした沈黙。

だからといってなにか考えたわけでもない。

答えは決まっている。




「もちろんだ、これから頑張ろうな!」



「はい!」


俺が出した手を彼女は握った。

これからendmが相方…、凄く面白そうでワクワクしてきた。


「なんやかんやデュオ大会とか出たことなかったな」


「そうなんですか、また私が教えます」


ソロ大会にしか興味が無かった現役時代。

ただ今は皆でやることにも興味が湧いてる。


「世界、取りましょう!」


「おう!」



俺は初めて相方が出来た。

それはとても心強くて、凄く頼もしかった。

世界を取ってやろうか。




「一旦練習するか?」


「そうしましょう!」


俺も席に着いて色々教えてもらう。


wartとlucusが返ってくるまで、永遠に教わっていたのだった。


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【後書き】

ようやく書けた!

スランプ中に書くの結構苦痛だけど、書いてる内容は凄い楽しい!!

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