第170話 まあそうなるよね
試合も割と中盤に迫ってきたころ、戦況が動き出した。
「そちらにお願いします。!」
「俺こっちのカバー行く」
「ちょっとまずいかも」
lucus達の交戦が始まった。
俺も加わりたいがあまりにも距離が離れている。
だから声を聴くことしかできない。
「いや~やばい!」
wartが落ちた。
そして、それに続いてlucusも落ちる。
「ごめんなさい。私下がります。」
endmは危機感に仰がれたか、流石に下がった。
ただ、ここで二人を失ったのはだいぶ痛い。
2vs4は十分不利だからだ。
「まあこれはしゃーない。」
「私はblancの手元でも見とくかぁ」
とちらっとwartが顔をのぞかせてくる。
ちょっと居心地が悪いなとは思ったが、まあ声に出すほどでもない。
「わぁ、やっぱ動きが違う」
「いやどういうことだよ」
「やっぱこういうゲームって人によって動き違うじゃん!?blancってこんな風に動くんだって」
「あ~確かにな」
まあwartが言ってることも分からなくもない。
というかむしろそれだろう。
俺も後で他のメンバーの手元みたいなとか思いつつ、プレイに集中する。
「あ、まずいかもです。」
少しずつ人の減りが加速してきたタイミングでendmがそう言った。
HPが若干減っているのでおそらく敵に絡まれたのだろうか。
「流石に無理でした…」
といいつつ一人キルに持って行けてるのはすごい。
流石に彼女はやられてしまった。
となると残り俺だけ。
しかも、1vs4だしこれは捨てマッチかな~と少し思っていた。
一応立ち回りを意識していたけれど、あんまり得意分野ではなかった。
だからこうして、敵と会うのだ。
「あやっべ、」
先に目を付けたのは俺だが、おそらく相手も気が付いた。
1人だと悟られてはすぐに攻められるからこそ、ここは下がっていきたい。
ちらっと周りを見ると、まさかのendmとlucusもこっちを覗いている。
さっきやった神業もう一回できないか?
いや~やりたいな。
ただ、それには少し時間がかかる。
相手の弾の軌道を読めるようになるために。
攻められる前に読めれば吉、出なければ凶。
この賭け、もちろん出る。
「じゃ、魅せますかあ」
さっと隠れた岩陰から俺は顔を出した。
敵の弾丸一発交わすと、少しずつ下がり続ける。
敵は当然の4人。
反撃はもちろんする暇が無いのでパス。
ただ軌道を読み、避けることにだけ集中する。
「なんだこれ!!!」
「なにこれ……やばい」
そして、ついに俺が1人だと悟られた。
だが、こっちの方が早かった。
「見てろよ?」
俺は後ろを振り向いた。
「え?」
珍しく声を出したのはendm。
おそらく何をするのか分かったようだ。
正解、と心の中で呟きつつ動き始める。
アサルトライフルは2人。
1人は主に俺を追うように撃ってくる。
そしてもう1人は足元を狙ってくる。
まあこれはまだ序の口だ。
ただ、スナイパーとリボルバーが厄介だったりする。
どちらも結構正確に撃ってくる。
さっき前を向いただけでも避けるのでギリギリだった。
「まあこうするか」
だから、俺は完全に後ろで避けない。
スナイパー、およびリボルバーがリロード中の間だけ離れる。
そして、撃たれるタイミングではまた注目する。
すると、結構綺麗に避けれる。
さっき完璧に避けれなかったのは、スナイパーというものに意識を向けたからだ。
だから、今回は変えてみた。
スナイパーとリボルバーに意識を向ける必要が無いように。
ーやばいよ
ーまじでなにしてんの
ーこいつおかしいって
ー一人だけやってるゲーム違う
ー弾避けるって何
ーふぁ?
さて、結構離れられたか?
敵も流石に追うのを止めてくれたようで一旦休憩できる。
「blanc……やばい」
「これって本当にチートじゃなかったんですね」
「おい、疑ってたのかよ」
endmの言葉にツッコミを入れる。
「いやいや、でもあんなプレイされたらチートなのかな?って思うじゃないですか!」
「俺も若干チートかと思った」
「まあ、ここで疑い晴らせるならいいよ」
まあ疑われるようなプレイスタイルだしな。
弾避けるなんて他に居ないし。
「何はともあれ、とりあえず一件落着……ってあれ」
「あ、もしかしてこれって…」
wartの出した言葉の続きを聞く前にすべてを悟った。
〈あなたのアカウントからチートが検出されました。しばらくお待ちください。〉
「あ」
ーおいwww
ー誤BANきたあああ
ーwwwwwwwww
ーいやまあそうなるよねえ
ー知ってた
ーチート検出されるプレイヤーってこれか
ーこれはトレンド行くな
「まじか、じゃあとりあえず配信終わるか?」
ーはっや
ーいやまあ仕方ない
ーしゃーないな
ー夜もやるんだっけ
ー次やるの?
「アカウント戻ってきたら夜やるよ!夜は手元出します!!!」
一応事前に手元を出す配信を撮ろうという話をしていた。
「というわけで!」
配信短かったけど仕方ない。
ちなみにendm含め三人は本当に俺がチートを使っていないと知ったため、結構な衝撃を受けていたらしい。
いや疑ってたのかい。
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