第167話 この人本当に何者?
「えっと…どうも、endmと申します。」
「うわぁ、endm!?」
wartはいつの間にか俺の横から、彼女の目の前まで移動していた。
「ビジュが良すぎる……なにこれ」
舐めまわすように全体を見て、最後に目を合わせる。
「これで白い流星揃ったね」
ついに4人が揃った。
wartが年々言い続けていたことであり、まさか叶うとは思わなかった。
横で、lucusは笑い、endmはニコニコと黙ってる。
「あ、blancですよね?よろしくお願いします」
endmは俺と目が合うと、そう一礼する。
顔を上げる時に、たなびく金髪のロングヘアがまた綺麗。
「blancです。えっと…よろしく!」
いざ顔を合わせると緊張するのはオフ会あるあるなんだろうか。
「さてと、endm。どっち使う?」
lucusはendmに機材の説明などを始めた。
彼女は真面目に聞いていて俺はちょっと笑ってしまう。
「いやぁ、endmってやっぱりまじめだね」
横に居たwartがひっそりとそう言った。
「まあな、それはもともとだけど。」
「しかもビジュが良い。あれは聖女か何か!?」
「wartとは正反対だな」
「何を!!!!」
あ、やべ。
本音が出てしまった。
ただ、別にwartもビジュが良い。
endmと系統が違うだけ、といえば伝わるのか?
endmが聖女。
それと違ってwartは無邪気な女の子。
まあ俺の中ではそういう印象だ。
「さて、午前中は何するんだっけ?」
endmが機材設定をしている間、lucusはそう聞いてくる。
「えっと~普通に練習とかじゃなかった?」
「そうだな。まあ4人で適当にランク回してみるか。」
「動画用に撮影ですよ、皆さん」
しっかり予定を頭に入れてるのはendmだけだった。
俺らはすみませんと苦笑いしつつ、席に着く。
ちょうど彼女も設定を終わらせたところだ。
「じゃ、1戦行きますか~」
このメンバー。
オフでやるのは初めてだがどうなのか?
というか全員ヘッドホン付けてるし、通話とあんまり変わらない?
って思ったのは口に出さないでおくか。
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「ナイス~」
無事1マッチを終えた。
しっかり1位を取れる安定感がこのチームにはある。
だからこそ、このチームは居て楽しいのだ。
「てか、もうこんな時間なんだ~。昼ごはんどうする~?」
wartにつられ俺も時計を見る。
よく考えればendmが来るのも割と遅かったし、時間もお昼時だった。
「そうだな、ここら辺二人は初めてなんだっけ?」
「そうですね…私は結構離れてるので」
「俺もここら辺に来たことはないな」
というか自分の街と、故郷以外行ったことが無い。
今度旅行で夜音連れ出すのはありかもな。
「じゃあ外でご飯食べてうろうろするか。」
「配信は結構遅めでしたもんね」
一応配信は午後から夕方。
そして夜の枠もあったりする。
夜の枠はなんと……っていうのは後でにしとくか。
とりあえず午後からの配信だが結構時間が空いている。
ここら辺に来ることなんて滅多にないしうろうろしてみたいな。
「じゃ、そうしよ~」
「そうだな。車手配するよ。玄関に集まっといて~」
「分かりました。」
「りょ~かい」
やっぱ、この家。何か普通とは違うえげつなさがあるな。
妙に緊張するのは、やはりこういう家に慣れてないからだろう。
「blanc、行きますよ」
「あ、ごめん!」
endmに呼ばれてはっと戻ってきた。
急いで準備を済ませて彼女の方へ行く。
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「凄いですね。これは…」
「あぁ」
車に揺られて数分、あっという間に都会に飛び出した。
自分たちが住んでいるところとは雰囲気が違う。
なんというか、凄い。
「はは、まあ俺もこの街が大好きだよ」
「私も~」
lucusとwartは一応この街を何度も見ているんだろうか。
後で、色々この場所聞いてみるか。
「というか、なんか視線凄いな」
「それは思いました」
さっきから通行人の視線がおかしいほど向かれている。
まあ原因は紛れもなくこの車。
なんか有名人でも乗ってんじゃないかくらいの高級車なんだろう。
「いつもの事だよ」
いつも乗ってんのかよこれ。
「ふわ~ってあそこじゃない?」
wartが指さした先の店。
「ん?」
あれ見たことないな。
よくあるファストフード店でもない。
横に居るendmは若干だが驚きを隠せていなさそうだった。
「あれって…、三ツ星じゃ…。」
「endm大正解。たまたま席取れたからさ。」
「ふええええ、lucusすげええ」
いやいや、どうなってんのこの家庭。
三ツ星レストランなんて、一生に一度行くか行かないかくらいなんだが。
しかもlucusの奢りで良いのか?
「ここ何度も行ったことあるけど世界一美味いよ」
「いや、まあそうでしょうね…」
endmも言葉数を失い、wartに限っては黙ってしまった。
「コース料理なんて初めてだ…」
wartがぽつりとそう呟き、俺は心の中で激しく同意した。
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「さてさて、まだ時間あるし、あそこのスカイツリーにでも登るか?」
「ふぇ……高級料理ってあんなに美味しいんだ」
「美味しかったな。」
「あれ、作ってみたいですね」
なんか一人だけえぐいこと言ってるんだが、まあいいか。
今までにない美味しさで危うく失神してしまうとこだった。
「それかどっか行きたいとこあるか?」
「はい!」
wartが元気よく手を挙げた。
「はい、どうぞ。」
「lucusの家でゲームしたい!」
「え?観光は?」
lucusは少し驚きの目で彼女を見つめている。
「世界が違い過ぎて、一旦休憩したいです!」
「私も出来れば、戻りたいです。」
「そっか、blancは?」
「二日目もあるし、今日は戻ってもいいんじゃないか?」
「よし、じゃあそうしよう!」
というわけでlucusの家で撤収だった。
思ったより時間は余っているのだが、ちょっとくらい配信時間を切り上げても良いんじゃないか?
まあ俺の視聴者なんて大体ゲリラ配信に対応してきてるしなんとかなるだろ()
白い流星、初オフ会の配信が始まった。
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【後書き】
リアルで無双するlucus君。
次話から配信でーす。
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