第165話 初オフ会

「これで準備良いか?」


早朝から、俺はとある支度をしていた。

白い流星4人で集まるためだった。


集合時間は朝10時なのだが、俺は朝7前に家を出ないといけない。

というのも、俺は少し集合場所に遠い。

だからこそ、早めに用意を済ませて新幹線で移動しないといけない。



lucus曰く、何日居座ってもいいぞということだった。

だから1泊だけ彼の家に住み、土日の2日間楽しむつもりだ。


一応機材はlucusの家にあるらしい。

データもそっちで使えば?とのことだ。

最近VR用の機材は使ってない。

まあVTuber配信で使わなくなった影響でそっちの方が慣れてきた。


大体、用意も済んだので部屋を出る。

リビングのソファで寝ころぶ一人の女子高校生を横目に見つつ、


「じゃあ後は頼んだぞ~」


とだけ声を掛けておいた。


俺が今日早く出るのは彼女も知っていた。

だから彼女は早めに起きて俺の家に居座るらしい。

まあもう今更の事なのでとやかく言うつもりもない。

ただ、彼女も俺の事を応援してくれているらしく、期待に応えないとな。


「じゃ行ってきまーす」


「行ってらっしゃーい」


凄く眠そうな彼女の声を聴きつつ外へ出た。

もう日の光が俺の方へ照らしてくれる。


さてさて、どんなやつらなのだろうかね。


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新幹線で片道2時間半。

俺のところは結構な都心部なのだが、着いた先もかなりの都市だった。

いうなれば第二の都心部とでも言うべきか?


朝10時前なのに、かなりの人でにぎわっている。


「なんやかんや初めてここ来たなこれ」


2日目は特に配信も入れてないしちょっと観光するのもありか?

とか思いつつ、集合場所に急いだ。


lucusとwartはこの辺の人らしい。

endmは俺よりも遠いので、後からlucusが迎えに行くとか。


「どれだろ……ん?あれか」


犬の像の前に居るという連絡を受けていた。

ざっと見た感じ、像の前に居るのは一人だけだ。


俺は少し深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。


大丈夫。絶対に大丈夫。


さて、俺はゆっくりとした足取りで彼の元へ向かった。



「えっと…どうも。」


間違ってたらどうしよ!とか思ったのだが、


「あ、blancか!?初めまして、lucusです!」


ちゃんとあってて良かった。

というかなんだよこのビジュ。かっこよすぎんだろ


「いや、その…かっこよすぎないですか?」


「いやいや、今日は結構適当だよ」


髪もしっかり固められ、白をモチーフとした衣服。

そもそも、顔つきが良すぎる。

何来ても似合いそうだ。


「さて~、wartもそろそろ来る頃なんだが…」


「ていうかlucusって今大学生?」


「そうだな。言われてみれば一番年上か。」


こんな大学生良いな。

どっかの住み着き高校生と交換してもらいたい。


「どうだ?最近、ゲームの調子は」


「うーん。まあ結構良いですね。昨日のVの配信も割と調子よかったです。」


昨日は確か、ソロで案件配信だった。

オープンワールドゲームは大体楽しいなって感じながらやっていた。


「お~いいね。てかなんで敬語!?」


「あ、ごめん」


いや、なんか咄嗟に敬語が出てしまう。

大学生っていうのもそうだが、やっぱり直接会うとなんか……ね?


「いや~でも大会出る気になって俺めっちゃ嬉しいわ」


「え~そうですか?」


「そりゃな。お前みたいな天才が出てくれないと」


「いやいや、そんなわけ…」



「どうも~!」



「うわ!?」


俺の後ろから急な大きい声でびっくりした。


「えっと、wartです!よろしく!!」


後ろから登場してきたのはwartらしい。


「あ、どうもlucusです」


「えっと、blancです」


「うわぁ、二人ともイケメンだあ。」


wartは凄いキラキラした目で見てくる。

というか、wartって本当に身体小さいな。

ちゃんと服は白黒のチェック柄で着こなしている様子だった。


「え、あのさ。wartって本当に高校生?」


「おい!」


「あ、痛っ」


正直なことを言ったら頭を叩かれる世界に居るらしい。

いや、めっちゃ中学生にしか見えないんだが。

これを言うと殺されるからやめておこう。


「あはは、そろそろ行くか。車こっちだよ」


「あ、そっか!lucusって免許持ってるんだ~いいな~」


「免許良いだろ?頑張ったんだよ」


駐車場まで、3人で向かった。

ただ、wartとlucusがコミュ力ありすぎて俺は何もしゃべれない。

早くendmが来てほしいと祈るだけだった。


いや、やっぱりlucusの家柄だ。

車も立派過ぎる。

車種とかは分からないけど絶対高いな。


「これ絶対高い車じゃーん」


とお構いなく乗っていくwart。

だんだん夜音に見えて気が……いやいや気のせいだな。


「じゃ俺の家行くか」



車の中でも、俺は終始無言だった。

ただ二人の会話を聞いてたまに笑うだけ。

コミュ障に人権を!!!!



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「は?なんだこの家」


「なにこれ、本当に家なの!?」


車で向かった先は、凄い宮殿。

それこそマナの家に引きを取らないくらいだった。

流石のwartも呆気としている様子だった。


「あはは、まあたまたまだよ。さあ入って」


こんな家って案外皆持ってるのかなー


と絶対ありえないことを考えた俺だった。


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