第164話 練習配信⑧

うーん。

最終決戦はまさかの1vs3


よくよく考えてみれば、ここまで勝ち抜いてきた3人だということ。

これ、俺勝てるのか?

コメ欄をチラ見すると結構やばい3人組らしい。


「うわぁ、上手いな」


俺が少しずつ近づくのだが、嫌な配置に弾を撃ったり、グレネードを投げてくる。

距離は結構離れているのに、グレネードを正確に投げてくるとは。

これは相当な実力と見てもいいかもしれない。


「おっと」


敵二人がアサルトライフル、あと一人がスナイパーで俺を攻撃してくる。


避けるのに必死で反撃など考える余裕もない。

ただ、距離がまだあるため、どっかのendmみたいな正確さは無かった。

それでも油断したらやられるのだがな。


「はっ!?」


まだ避けとけばいいか、と思っていたのだが攻撃を仕掛けてきたのはあっちだった。

さっきまでアサルトライフルを撃ってきてた敵がグラップラーで移動してきた。


いやいや、このタイミングで!?

と思ったが考えてる余裕はない。

まずはリボルバーに切り替える。


「一発!」


グラップラーで宙を舞った敵に一発撃つ。

割と頭を狙ってゆっくり撃ったので命中してくれる。

ただ、敵はフルHPのようでやられはしない。


もう一発!


とやろうとしたのだが、このタイミングでスナイパー弾が飛んできた。


「あぶね」


間一髪避けたが、これのおかげで撃つタイミングを見失った。

敵はとっくに地上に立ち、俺の方に銃を向けている。


あれは……スナイパー!?


「え、近距離!?」


いやいや、この距離でスナイパーってまじか。

弾が避けるのが厳しいところまで詰めてきて、撃つ。

流石に対策してきてるな。


奥にもスナイパーを狙ってる敵が一人。

そして、アサルトライフルを持っていた敵……もスナイパーを持っている。


3人にスナイパーで狙われている。


「やばいやばい。」


早すぎる弾など、一発でも十分だ。

近距離からなんてなおさら、集中して避けられるかどうか。


スナイパーだけでも3人分を避ける。



「いや、これはやるしかないな」



できるできないじゃない。

やるのだ。



同時に3つの弾が放たれた。

まずは一番近いやつから対処しないと。


これは……右……いや左か!


俺の真ん中を狙ってきた。

これは右側でも左側でもいいのだが、裏からも撃たれている弾が右側に来ていた。

これは左側に避ける方が良い。


というかそうしないと詰む。


「うわ…」


そう思ったのだが、左側にも弾は飛んできていた。

いやそらそうだよな。


ただ、ちょっとだけ距離がある。

左側の弾を避けるには十分の時間があった。


なら避けてすぐカウンターか?



俺は近距離まで詰めてきた敵をリボルバーで抜いた。

流石に近距離だと敵も対応しきれない。

これで一人。




ただ、奥に居る二人はどうすればいいのか。

今ある武器はサブマシンガンとリボルバー。

サブマシンガンはまず当たったところあまり効力がない。

だとすると、リボルバーなのだが一発で倒せず、また距離があるので当たるかも怪しい。


なら……



さっきリボルバーで抜いた敵に確殺をする。

普通、確殺というのは相手チームがその人を蘇生させないためにする。


だが、違う目的もある。

その一つが物資確保だった。


今回の場合は後者だ。


すばやくリボルバーで確殺する。

もちろん相手側からすれば、物資確保などごめんだろう。

だからスナイパー弾が飛んでくるのだが、距離さえあれば避けられる。

それが、俺の年々積み上げてきた成果とも言うべきだ。


「よし!これで!」


なぜ、相手の物資を欲しがったか。

その理由は一つだけ。


スナイパーだ。


まずは、1人標的を決める。

敵は、この状況に気が付き、すぐさま隠れようとする。

だが、俺は何度だって言う。


「その後ろ姿!貰った!」


まずは一人。

しっかりと時間を使って頭を狙ったため、しっかりキルが入る。


「さてさて、」


ただ、これで終わりじゃない。

もちろん敵からすれば距離があるので蘇生を選ぶだろう。



だからまた敵から物資を取る。

それがグラップラーだ。


「簡単に蘇生させるかっ」


グラップラーで距離を詰める。

敵はまさか詰めてくるとは思っていなかったのだろうか。

普通に蘇生を開始していた。


蘇生解除をするも、それは遅い。

その隙が俺の獲物でもあった。


「よっしゃあ」




この場に立ったのは俺だけだ。

つまり、俺の勝ちだった。



ー????

ーは?

ーいやいや……は?

ー???

ーなに?

ーなにしてんの?

ー????

ーがちでなにこれ

ーはい?

ーえ?

ーやっばなんだよこれ

ー???????

ー??????

ー?

ーこれやばくね?

ーまじやばい

ー歴史変えてきてる


「いや、まじで楽しいわこれ。またやろうかな」


合法的なチーミングの戦いはやっぱり楽しい。

なによりもクラッチすると本当に快感がやばい。


というか、倒した敵の名前ちょっとだけ見たことあるな。


enjor/kapera/vert


「この人たちって有名だったりする?」


ー知らないのかよwww

ー草

ーめっちゃ有名

ープロゲーマーだよ

ー今一番乗ってる

ー直近のトリオ世界1位とかじゃないの?

ー世界取ってるよー(棒)

ーenjor/you are too strong


「あ、本人だ。対戦ありがとうございました!」


果たして、日本語で伝わってるのか分からないけどまあいいや。


「てか、なんでこんなに上手い人ばっか来るの?」


ーそれ俺らが聞きたい

ーまじで謎

ーいっそ大会開けよ

ー大会作ったら?

ーblanc杯やろうよ


「え~大会か~。だるいー」


ちょっとだけ考えたこともあるけれど、面倒すぎて何もしてない。

それするくらいなら白い流星主催の方が良い。


ーていうか最近配信多いね

ーもしかして……?

ーいやいやまさか

ー大会来る!?

ー復帰!?


「あ、そうだね。そろそろ言っておくか。」


実は前々から一つスライドを作っていた。

それはもちろん……


「はい!世界大会目指します!」


ーきたあああ

ーうおおおおおおお

ーやばいやばい

ーついにか……

ー心の整理付いたのか?


「色々あって大会はやめてたんだけど、だいぶ解決して。そろそろ……ね?」


思ったよりも色んな人から大会はまだか?と言われていた。

まあ確かに、以前までならすぐ断っていただろう。

でも今は違う。


「行きます!世界へ!」


ーうおおお

ーよしよし

ーついにか……

ー歴史変えに来たか

ーよし、優勝者決まったな

ーちなみに今回っていっぱい部門あるんだっけ


「そうだね、次の大会はソロとスクワッドだっけ?」


そういやそんなことをlucusが言っていた。


「もちろんどっちも出るよ」


スクワッド部門、出るならどうする?という話に満場一致で白い流星で決まった。

俺としては嬉しいが、本当に俺で良かったのか?と思った。

ただ、そんなことを言った時

wartが


「いやいや、blanc居ないと始まらないよ」


「ついに……ですか。待ってました」


「そりゃあお前居ないと世界勝てないし、お前が居た方が勝った実感わくし」


と結構うれしかった。

期待に応えられるように頑張らないと。



「ちなみに、これオンラインでアジア代表決めるんだけど、世界大会はオフラインらしんだよね……」


ー顔出し!?

ーえ!?

ーあ、そういうこと!?

ー確かに顔出さないと


「そう、顔出さないとさっていう。まあその時になれば出すけどね」


まずそもそも、勝てるかっていう話なんだが。

年々レベルも上がってるらしいし、予選で落ちる可能性もある。

だからもう少し練習を積まないと。



「あ、そうそう。次の配信なんだけどさ」


ーえ、なになに!?

ー!?

ーなんだ!?

ー告知!?

ーまだあるの?


「白い流星4人のオフで配信やりまーす!」


ーは!?

ー来たこれ

ーやば

ー全員会ったことないんだっけ

ーふぉおおお


「いやあ楽しみ。」


一応予定もほぼ決まった。

VTuber側とも良い感じに噛み合ってくれて良かった。

何より4人で集まれる感動よ。


「というわけで、そろそろ配信終わるか。なんか質問とかある?」


もう良い時間だ。

なんなら夜音はもう寝てるんじゃないか?


ーおつかれ!

ーお疲れ様です!!

ーえぐかったな

ー久々にえぐいやつ見た

ーやっぱblancはこうでなくっちゃ


「無さそうかな。じゃ!お疲れ~!」


配信を切った。

いやぁ、今日の配信は特に楽しかったな。

しかも、ちゃんと世界に行く宣言出せたし。

これから頑張らないと。




これは後から知ったのだが、

トレンド1位~5位をまた独占したらしい。


なんかプレッシャーがやばいな。



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