第160話 練習配信④
いや~その、なんだろ。
「敵強くね……?」
とさっきからずっと感じてる。
キルが取れないのはまだいいが、キルログすら全然流れない。
おかげで安全地帯とは比にならないほど人がまだ生きている。
ざっと40名。
「あちこちで銃声は聞こえるのになぁ」
ーおかしいね
ー人の減り遅すぎる
ー敵は見つけれるのに
ー強い人めっちゃ居る
「俺も誰か倒しに行くか?」
特に理由はないが、戦っていた方が楽しい。
と、近くを探索していると足音が聞こえてきた。
「これは……下?」
おそらく下につながる空洞だろうか。
ちょうど小屋が近くにあるので、ここから降りれる。
「行くか」
ちょっとちょっかいでも掛ければ良い、そう思っていた。
「は!?」
いやいや、なんだここ。
俺が降りたところは、洞窟、というよりは地下迷宮。
色んなところが入り乱れていて、入口と出口がどこかも分からない。
「いや、なんだここ」
最近のアプデで追加されたのか?
まあ最近やってないなら知らなくて当然かもな。
そして、さっきから聞こえてきた足音はどんどん大きくなっていく。
「これ来るな」
俺はスナイパーを構えた。
敵が横から出てくるその瞬間を撃つ。
いや、まじか。かすったなそれ。
当たって欲しかったが仕方がない。
こんな迷宮で長期決戦なんて嫌すぎる。
だから俺はさっさと攻めてけりを付けたい。
のだが……。
「なんだよここ!!!」
行った先に敵は居ない。
その代わりにたくさんのルートが仕込まれている。
どこがどこと繋がっているのかもわからない。
だから足音がどのルートかもわからないのだ。
「え?どこ……は!?」
まさかの後ろだった。
相手はリボルバー使い。
ギリギリ直感で避けた。
そして敵はまたどこかへ行く。
ー上手い
ーここ把握してんの強すぎる
ーやば
「いや、まじでなんだよここ」
もはやこれは上に抜け出した方が早いか?
「これ来た道戻るか…ってどっから来たんだっけ」
FPSで迷子なんて聞いたことないんだが。
ここの場所はマップにも記されないし、本当に全貌が分からない。
「いやこっちからってあぶな!」
次もまた真後ろから。
相手はだいぶ把握してるのか、ここを駆使している。
「あ、こっちだこっち」
そういやこうだったなと思いだして、来た道を戻る。
こんな地下迷宮とはおさらばだ。
「ばいばい~って痛い!」
敵はしぶとい。
俺が逃げる瞬間に出てきた。
いや、それは仕様上動けないから避けれない。
ー草
ーこれはどんまい
ー避けれないようにしてんのおもろい
ー地下迷宮とか闇
ーそんなとこあったんだ
ー物資強いけど把握してないと迷子になって詰む
ー上手い人はそこ上手いイメージ
「これ後ろから追ってくる?」
俺はスナイパーをもう一度構える。
もう逃がさないという気持ちで、冷静に予測位置にスコープを合わせる。
「ふぁ!?」
いや、俺の思っていた上がり方じゃない。
まさかのグラップラーだった。
「え?まじかよ」
敵は何ごとも無かったかのようにリボルバーを撃つが、俺は想定外でパニックだ。
いや、そんな上がり方あるのかよ。
「やっべ」
とりあえず近くの岩あたりまで逃げたいのだが、距離が遠すぎる。
「は!?上手すぎるなんだこの人」
特別エイムがうまいという訳ではなかった。
ただ、俺の移動位置にグレネードを投げまくる。
そして、俺が振り向いたと同時にグラップラーで移動する。
そしてリボルバーを撃つ。
洗練された動作に驚きつつ、なんとか対処する。
「立ち回り上手いな」
迷宮の時といい、今の攻撃もそうだがエイム特化というよりはそっちの方に尖っている。
トリッキーな感じだ。
「うーん。やっぱそこ下がるよね」
流石に敵も1vs1は不利なのかグラップラーで下がった。
その間サブマシンガンで撃ちこんだのだが、綺麗に避けられた。
「は?後ろ!?」
いや、まってそれは想定外。と思ったのだがデコイ。
なんだと思ってまた前を見ると、
「っっ!」
敵はリボルバーを構えていた。
それも俺の頭を
「あ、やばい」
俺が見た時にはもうすでに弾が目の前まで押し寄せてきていた。
これじゃ間に合わない。
ギリギリのジャンプで被ダメを最低限にしたが、それでもダメージがでかすぎる。
「いや、これは決める!」
ここで何か考えたらだめだ。
俺はもう被ダメなんて考えずただ敵にスナイパーを当てることだけ考えた。
「頭に当たれ!」
いや、当たらなかった。というより敵は俺の方に遠回りしてグラップラーで向かってきた。
そのため弾が当たるわけが無かった。
「???」
混乱でしかない。
見たことのないプレイだ。
敵は決めるぞという覚悟でリボルバーを握っている。
これ当てられたらほぼ終わりかもな。
ただ、舐めてもらったら困る。
俺は弾を避けて、サブマシンガンを全弾当てた。
「よし!関門通った!」
この銃声が火を点けたのか各地でも銃声が鳴り響き始めた。
俺は巻き込まれないよう岩陰に入る。
ーおおおおww
ーおいww
ー名前見ろ
ー草
ーいやそんな気がしてた
ーそうだと思った
lucus
「いやお前かい」
あんなに見たことないプレイをしたのはあいつだったのか。
今度教えてもらお
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