第156話 レジェンド帯トップの戦い


「こっちはカメラ付けたぞ~」


『私もおっけ~』


『もう付けました』


『俺も大丈夫だ。』


「よし。じゃあやるか」


1マッチだけの本気の勝負。

しかもこいつらとの戦いなんて、久々すぎる。

一応一人ひとりの特徴を掴んでいるとはいえ、勝てるかは分からない。


「じゃ、各自マイク切ってスタート!」


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いつも使う、通常マップにしようという意見はあったが、4人でそんなに広いマップを使っても面白くない。

なので、少し小さい公式マップを使うことにした。


「いやぁこれ勝てるのか?」


とりあえず、武器はスナイパーとサブマシンガン。

ショットガンも捨てがたいが、このメンツで近距離特化はだいぶまずい。


「う~ん。まあたぶんここには居るかな」


endmは比較的安定なところを選んでると見た。

完全に経験則だが、lucusは立ち回りが難しい山裏、そしてwartが高いところ。


うーん。思いあたる場所が多すぎて、これは絞れない。


「とりあえず、安全地帯の中心取るか」


他3人をすぐ撃てるようにはしておきたい。







と、思ったのだが、とある街にたどり着いたとき、最悪な敵に出くわした。


「うわ…endmかよ」


はっきり言ってこのメンバーのなかで一番相性が悪いと言って過言でもない。

いわば、最強の盾と最強の矛がぶつかるような状況だなこれ。


だが、endmはこんな場で引かない。

カメラが回ってなくても変わらないだろう。


「目つけられてそうだな」


まだ銃弾が飛び交ってはいないが、相手もちらちらこっちを見ている。

ここで引くと彼女に押し切られるからこそ、ここでやるしかない。


「行くか」


渋々スナイパーに切り替えた。

すると、相手側も即座に銃を構えている。

あれは、アサルトライフルか?


挨拶の一発を相手に撃ち込む。

だが、遠くからの攻撃は当てるのが難しい。


流石に当たらず、俺はそのまま攻めに行く。


「いや、やばい」


彼女のエイム力はすさまじい。

結構離れているのに、良いところを突いてくる。

おかげで避けることに集中してダメージを通しに行けない。


「あれ?」


ここでendmは下がった。そして近くの家に入った

彼女をよく知っていたからこそ、ここは攻めに来ると思ったので意外だ。

いや、ここは一旦おとなしく離れるべきかもしれない。


と思ったが、彼女が取った行動の理由はまた別だった。


「は!?後ろ!?」


俺はギリギリの感覚で避けた。

すると俺の横を通ったのは一つのスナイパー弾だった。


俺は後ろを急いで振り返るも、奥にあるのは山だけ。

ただ、スコープで覗くと、1人の物影が見えた。


「あれは…wartぽいな」


まさかここから寸分迷わず撃ってくるとは。

そして、銃声が鳴り終わる瞬間にendmが戻ってくる。

まさか、彼女も見えたのか?


いやいや、ここにはマサイ族しか居ないのか?


ともかく、また後ろから撃たれないよう、俺も近くの建物に入る。

が、ここで彼女は決め切りたいのか、攻めてくる。


「室内戦はまずいな…」


そもそも避ける場所が狭すぎる。

ただ、この家は一応バルコニー的なものがあるのでそこから外に出れる。

もはや使うのは確定かな。


「いや、流石に来るか」


endmはすぐに家に入ってくる。

そしてそのまま2階に駆け上がり、戦闘が始まる。


彼女のエイム力はやはりすさまじい。

年々その鋭さが上がっている。

なんとか避けつつ、俺もサブマシンガンで応戦しているが、

ダメージを食らわないように必死で、サブマシンガンのエイムを合わせれない。


「ここは、一旦下がるべきか?」


まったく反撃に移せない。

彼女はリロードのタイミングで一旦1階まで下がるのでダメージもろくに出せない。


俺はここでバルコニーから外に出た。

すると、彼女は絶対ドアから外に出る。


俺はそこをスナイパーで抜こうとした。


「うぇ!?」


まさかの彼女もスナイパー持ちだった。

さっきから遠距離攻撃に移らないので、アサルトライフルとショットガンかなとか思っていた。

流石に想定外だ。


そして、彼女は寸分の迷いすらなく、頭を抜きに来る。


「いやまずっ」


ぎりっぎりで回避する。

目が合ってから弾が撃たれるまでのスピードがおかしい。

流石はendmのエイム力というべきか。


とりあえず俺はスナイパーを一発撃ち込む。

しかし、彼女は冷静にドアの裏側に回った。


「いや、これは行くしかない」


今彼女のスナイパーはリロード中。

ならば、アサルトライフルくらいは避けれる。


俺はすぐに彼女の方を攻める。

案の定endmはスナイパーのリロード中。


これはサブマシンガンの即キルでいいか。


「よし」


絶対キルできたと思った。

だが、違うかった。


俺の画面はendmにキルされたとの表示。


「え?」


一瞬なんで死んだか分からなかった。



そうか、

ちょっとだけ経って理解した。

彼女は、順当に戦って勝てないと気が付いたのだろう。

イチかバチかの戦略に出た。

俺が前に出る状況を作り出し、そしてスナイパーヘッドでわんちゃんを狙った。


「いやあまじか……」


流石にこれは悔しいが勝つ。

もしももう少し考えていれば分かったことだ。


「観戦画面見とくか」


負けたのは仕方がない。

とりあえず彼女らの戦いを見るか。





ざっと、まとめるとwart vs lucusはwartの不意打ち勝利。

そしてwartとendmはかなり終盤で戦いが始まったが、エイム力が勝るendmがかった。


だが、単純にレベルが高く、また俺の実力も落ちている。





練習しないと。




世界はまだまだ甘くない。


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