第150話 初めての電凸


人の配信にこんなにも緊張するのかというのを今身に染みて感じている。


というのも今日は、HESKALのエース。光マナの生誕祭だった。

朝から昼にかけて、色んなイベントが行われていて、


夜には電凸企画だった。



そして俺の番も直に迫ってきている。

夜音は最初の方に終わったようで、電凸が終わるとウキウキと俺の家に戻ってきた。


一応話の内容は固まっているとはいえ、結構ドキドキする。



そして、マナって凄い人なんだって改めて感じた。

朝は、個人で色んなことをやっていた。

どうやらシングル曲3曲目が出るらしい。


そして昼からは、HESKAL1期生、同期の人たちとオフコラボで色々していた。



そして夜には電凸だった。

俺は結構後の方で、ずっと来る人の話を聞いているのだが本当に色んな界隈の人が居る。

そしてHESKALの人もあらかた出尽くしたようだった。






俺の番だ。



『さて、次に来るのは!HESKAL新星、白海ネスイさんでーす!!』


ーおおおお

ー来たか

ー来ると思ってた

ーハブられたんかと思ったぜ

ー流石に来るか

ーネスイきちゃああ


「あ、えっと、HESKAL4,5期生の白海ネスイです!今日は本当におめでとう!!」


『ありがと!!!さてさて、ネスイは会話ボックスどれを選びたい?』


ー知ってる前提なのHESKALらしい

ーこれがいい

ーそれはそう

ー会話何を選ぶんだろ

ー個人的にはどれも気になる。


3つある。

上から順に

・マナとやってみたいこと

・一緒にやりたいゲーム

・デート行くならどこ


そして、最後にマナから何か質問が飛んでくる。

本当に人それぞれっぽい。


「まあじゃあ一番上で」


『ふぃーマナとやってみたいこと~』


ーお、それ選んだの

ーゲームかと思ってた

ーそれな

ー意外

ーネスイなんて答えるんだろ

ーひな以外は割と正常に回答してた。


「マナとやりたいことはね~、なんだろうな」


あれ、思い返すと結構あるな。

事前に決めてきた気がしたんだが、案外多くて迷っちゃう。


「まあ、あれだな一緒に3D配信とか」


『お、いいね~。ネスイは3D配信やったことあるんだっけ』


「そうだね1回だけ。今度は何人かでやりたい!」


『オフでまた会いたいね~楽しいし』


「そうそう」


あんまり人と関わってこなかったが、今になって凄く楽しいと思っている。

もっとコラボをして、色んな人と関わって色んな配信をやりたい。

そんな気持ちが今あった。



『はい!じゃあ私からも質問~』


さて、エースからはどんな質問が来るんだ…?


『どうやったらFPS上手くなれる?』


どうやったら……か。


結構これは試されている。

この大人数の中でどれだけ良い返答が出来るのか。


まあ自分の言葉で頑張ってみよう。


「FPSってやっぱり慣れだとは思うんですよ。」


『うんうん』


「でも結構コツを掴むって言うのは慣れと違って意識しないと見つけられなくて、」


「あとは、自分のスタイルが世間からどう見られても気にせず誇ってほしいです」


『なるほどね~。確かにネスイは結構独特だもんね~』



ー似てるね

ーうん

ーそうだね

ー某プロゲーマー

ーいや、あれとは違うくね?



俺も最初はかなり叩かれた。

弾を避けるなんてチーターでもできっこない。

だからこそチートとは言われなかったが、ゲームの本来の趣旨からずれてるとか本当に言われてきた。

けれどチームメンバーはそれでも優しくしてくれた。


lucusはいっつも相談に乗ってくれて、endmは励ましてくれた。

wartなんかは、私もと同情して笑ってくれた。


これで今があるのだ。



「まあでもエイムは頑張ってよくするしかないですね」


『あはは、弾当たらないと意味がないもんね~』


『そういや、ネスイは次の配信何するの?』


あれ、まだ俺のターンなの。

そろそろ次の人……あれ?


「あれ、もしかして俺最後?」


ー正解

ーよくわかったじゃん

ーそうだねww

ー知らなかったんだwwww

ーさっきこっそり変えてたよ

ーわろた

ーどっきりやらせじゃないのおもろい


「え、まじか」


『いやぁ、ネスイといっぱい話したいことあったからさぁ』


「ふぇ」


もう話すことなんてないだろ……とは思うが、まあ出来るだけ付き合うか。

夜なんて寝るくらいしか予定が無い。


『そういやネスイって誰と会ってみたいとかあるの?』


「誰と会ってみたい……か。まず誰が居るか分かんないんですよね」


もう1年が経ちそうだが全然網羅できていない。

4.5期生という孤立した立場だからこそ余計にだ。


「なんかゲームができる方っていますか?」


『ネスイとゲーム出来るHESKALかぁ……まあ一人』


ーい、るにはいる

ーう、うん

ーまあな

ーこれは会わせて良い人なのか……?

ーだいぶコラボする人少ない

ー皆苦手らしい


「一応聞きますか」


かなりの問題人のように感じるが、一応聞いておこう。


『まずゲームはめちゃくちゃ上手いよ。FPSは本人が好きじゃないみたいだしHESKAL杯も上手く行かなかったようだけど』


『でもキャラが……なぁ』


「キャラ……?」


ーうん…

ーそうだね

ーやべえやつ

ーえぐい

ーあいつだけなんか違う

ー何をどうしたらHESKALに来たんだよ


「キャラってそんなにひどいことになるんですか……?」


『いやひどいわけじゃない、けど尖りすぎて……』


マナが言葉を詰まらせるほど……?

そもそもやばいやつなら噂の耳に入りそうだけどな。


「ちなみに名前って」


『4期生のマーラルって人だよ。また調べてみて』


「マーラルさんか、分かりました!」


ーついに名前を読んだあああ

ー名前を言ってはいけない人だろこれ

ーわんちゃん配信見てるよあいつ

ー今配信回してないの!?

ー今日はマナ以外配信してないよ

ーマーラル/呼んだか?


『あ、マーラル見てたのw』


ーマーラル/今度覚えとくんじゃよ


あ~そういうキャラ……?


「まあそろそろ帰っていい?」


『いや、あといくつか質問答えてよおお!!!』


「じゃあ今度枠立てて」


『おっけ~』


あれ?冗談で言ったけど通った?


ー草

ー配信決定

ーなんの配信だよwwww

ーなにこれw

ー意味分からん

ーこれがHESKALだっ


『じゃ、今度予定送っとくね~』


「あーい」


まさか本当に配信決めるとは。

まあHESKALだから許されてる部分が多い、というべきか……?



「じゃ、おつねすー。マナもおめでとう!」


『ありがとう!バイバイ!』


と、これで通話は終わってくれた。

これで一安心。


次なんの配信するかイーサさんに相談しようとスマホを点けた。

すると、先に彼女から一つメールが届いていた。



《マーラルは私がマネージャーだよ。》



あ、終わった。



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