第145話 ラウンド2

「お~結構いけるな」


ーいや早い

ー女子二人の悲鳴無視やん

ーわろた

ー早いなぁ


鬼を巻くということをマンション内でやるのが難しい。


「あ~ここ追ってくるのか」


色んな感じの事を試したのだが、案外ついてくる。

結構距離を離しても全然追いかけてくるのだ。


「え~これ条件違う……?」


ーお

ーよく気が付いた

ーきた

ー流石

ーお~


「正解っぽい??いくか」


さて、女子二人の悲鳴はうるさいらしい。

俺はミュートにしてるから分かんないや。


一旦つけてみるか。


『うわあああああ』


『まだ来るのおおおおお』


真っ暗闇の中というのもあるが、そんなに怖いか?


「あ~分かったかも」


1つ閃いた。

とりあえず、俺は鬼と出来る限り距離を離す。

鬼は階段を移動するのが遅い。

だから、階段を駆け下りて距離を稼ぐ。


「これじゃね?」


俺が目を付けた先は、エレベーター。


『早く乗って!!!!!!』


ひなの悲痛な叫び声につられて、エレベーターに乗った。



《ラウンド1クリア》



というあっさりとした文字が画面に浮かんだ。


「お~これでいいんだ」


『よし!!!!!』


『よし終わろうか。』


ーお~

ーナイス!

ーこれはうまい

ー気が付くの早くね?

ーヒントすらないのにえぐい


「これどこまで行くんだ?」


よく考えたら、エレベーターを乗り込んだだけで自動で動き始めた。

ただ不穏なBGMが流れたままだ。


「あ、止まった」


結構な階を通り越したところで来た先、その名も、


『X階……?』


『なにこれ』


屋上、とは言えないが駐車場という表現なら正しいかもしれない。

壁はくりぬかれていて、車が止めれそうな感じのスペースが広がっていた。


「あ、ここ光ってる」


近くに駆け寄って見てみると、そこには一通の手紙だった。


『えっと、私を見つけて?なにこれ。プリームなんだと思う』


『……』


『あれ?』


ー死んでて草

ーわろた

ーもう意気消沈してる

ープリームまじでホラゲー無理なんだが

ー一種の拷問わろた


「まあ、ラウンド2行ってみるか」


とりあえず百聞は一見にしかずと言うし、行ってみるか。

手紙を閉じると視界はゆがみ始めた。


そしていつの間にかさっきの部屋に戻ってきた。


《ラウンド2》


「とりあえずラウンド3目標で頑張るか」


『そうしよう!!!!!!!』


『……うん』


まあ、ラウンド制覇なんてこのメンツじゃ無理だし、良い目標なんじゃないか?


「さて……部屋出るぞ」


ラウンド2の始まりだ。


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さて、舞台は先ほどと変わらずマンション内。


「なんか魔女の声が聞こえるな」


微量ではあるが、何か薄暗い笑い声が聞こえてくる。


『こわいいいいい』


『怖い!!!!』


「あ~エレベーターはやっぱり無理か」


流石に条件に適していないと言われ、乗れない。

私を見つけてってどういうことだろう……。


ーこれよく考えたら面白いんだよな

ーこれは考えれば分かる

ー面白い

ーラウンド2は面白い


『私を見つけてっていうのがヒント……?』


『それっぽいよねー』


「その私ってやつを見つけるか」


と言っても場所のヒントなんか知らないわけで、ひたすら色んなところを歩き回るしかない。

出来るだけ今回の敵に近づかないように。


と思ったのだが、案外早く出くわしたな。

一旦こいつらミュートしといて、っと


「やっぱり魔女か」


見れば見るほど不気味だ。

壺を抱え、そして暗闇のマンションだからこそ余計の怖いかもしれない。


ー魔女ね~

ー耳潰れそう

ーてか潰れた

ーネスイ~こいつらミュートして

ーまじそれあり

ーうるせえ

ーもはやアンチ


「お~そういう攻撃か」


魔女は浮きながら移動する。

そして抱えている壺から出てくる謎の液体を掛けてくる。

おそらく当たったらゲームオーバーだ。


まあ、様子見で逃げてみるか。

とりあえずさっきまで下の階だったし、ひたすら登ってみる。

すると、


たすけて


という小さな声が聞こえてくる。

上に連れて若干大きくなっていき、最上階にたどり着くと、一番端の部屋から聞こえてくる。


「あ、この部屋入れる」


後ろから魔女が追いかけてくる中、部屋に入っていた。

中に居たのは、小さな子供2人だった。


「なんか居る」


『怖かったああ』


『やべええええ』


こいつらのせいで音が聞こえなかったが、ラウンド1とは違った不気味さを出した

BGMだった。

サウトラとかあったら買うんだけどな。


「話しかけてみるか」


二人の子供たちの元へ駆け寄った。

おそらく魔女は部屋に入ってこないようで、ゆっくり話が聞ける。


『えっとなになに、私達を安全な場所に連れて行って、だって』


「安全な場所……となるとやっぱりエレベーターに乗って上の階か。」


『そうだね!』


「じゃあ行くかあ」


『早くね!?』


『待ってネスイもう少し待って!』


「さて~」


二人の話なんて無視しつつ部屋を飛び出した。




エレベーターはどうやら指定の場所しか乗れないようで、今回は1階、いわば一番下だ。



「なんか魔女の声でかい。」


思ったより近い位置に居たようで少し下がったらすぐ気が付かれた。

とりあえずひたすら階段を下りるのだが。


「あれ、速度早くね?」


明らかに速度が速い。

しかも攻撃範囲も大きい。




ついに、ついに見つけたぞ




そういう声が若干聞こえた、

そのあたりで、一瞬後ろを振り向いた。


『ぎゃあああああああああああああ』


『うわああああああああああああ』


まさかのすぐそこに居たようで、ゲームオーバーだった。


ー油断したw

ー流石にびっくりしたわ

ーネスイが驚かないの怖すぎ

ー分かる

ーホラゲー耐性やば


「いや~まじか~」


『はぁ怖かった。』


『それ~でも私分かったことがある!』


プリームが何か言いたげそうだった。


「なんだ?」


『ヘンゼルとグレーテルに似てるね』





確かに。


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