第144話 ネスイ主導の救済措置
さて、葵さんとの配信も終わったその週末。
そろそろやらないとなと頭の奥底で考えていたことを無理やり引っ張ってきた。
それは…。
『嫌だ!!!!!』
『なんでまたホラゲー!?もういいじゃん!』
この二人への罰ゲームその3だった。
「思ったより伸びたしシリーズ化しようかなって」
『別のことでいいじゃん!』
『本当にそれ!!!!』
彼女らの言葉も飲み込み、まあちょっと考えてやるのも良いか…。
実際罰ゲームなんて1度だけでいいしな。
「じゃあ、あと一回やったら別のシリーズ考えるか?」
『え、まだやるの…』
『終わった…』
「いや、あと1回で終わりなんだよ?」
マネージャーさんいわく、めちゃくちゃ伸びているらしい。
まあ無理にやる必要もないが、単純に俺が面白いと思ってる。
前提として、この二人もちゃっかり配信に来るしな。
『ぐぬぬ…』
『ひな…やるか』
『うん…』
二人のテンションの差は置いといて、なんとか出来るらしい。
けれど今回はちょっとだけ救済措置をあげるか…。
俺が参加しよう。
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「こんしろ~HESKAL4.5期生の白海ネスイです!」
『プリームの登場だよー』
『なんでそんな棒読み!?青城ひなだぜ!』
ー棒読み草
ー挨拶ざっつw
ーわろた
ーもうテンション死んでる
ーまだ始まってすらないんだよね
「はい、というわけでホラゲー配信第3弾~!!」
『…』
『…』
「いや、誰か喋れ」
ー草
ーしーん
ーこれはお先真っ暗
「今回は流石に俺がプレイします。ちゃんとホラゲー耐性あるの証明するかぁ」
『うぅ。絶対耐性ある』
『そうなんだぜ……』
そう前振っておいて、実はホラゲー無理です、とはならないので安心してほしいな。
「さて、じゃあいくか。」
今回はコントローラーでやる。
横にあるのを握って、早速プレイ開始だ。
この二人がやったホラゲーもまだまだストーリーは続くが、
あれだと二人がうるさすぎて配信にならないだろう。
だからいっそ、ストーリーがない単純なものを選んできた。
ただマンションに居る色んな鬼から逃げるゲーム。
マンションからは出れず、その中で色々やり繰りしないといけない。
「フェーズ1。よしやってこ」
俺も初見なので結構楽しみだ。
噂によると初見殺しが結構あるみたいで、少し難しいというのも聞いた。
初動はマンションの一角の部屋にスポーンした。
とりあえず、部屋を一通り見てみる。
『無駄に凝ってある』
『いやなんでそんなに画質良い?』
「確かに思ったよりきれいだな…」
ーホラゲーなのに絵は綺麗
ーまじそれ
ーなんでここ凝ってんの
ー皆それ言う
ー思った
「特になさそうだな…」
部屋になにか手がかりがあるわけではないだろう。
俺が家を出ようと玄関に立ち入った時、事態は動き出した。
『え、何!?』
『着信……?』
スマホが光った。
そしてキャラはスマホ画面を見た。
「えっと、母親からメール?」
「絶対部屋から出ないで。外は今危険……だってさ」
『へえ~じゃあ出るか』
ー出るんかい
ーさて、こっから
ー始まるぞ……
ーフェーズ1は難しくないけど怖い
「出るぞ?」
部屋を出ると、急に不気味なBGMに変わった。
そして今まで居た部屋には戻れない。
「フェーズ1、鬼から逃げろ……行けるかな」
『鬼……?』
『いやいや、そんなわけ……』
「あ、近づいてきてる。」
少しずつコントローラーの振動が大きくなっている。
そしてちょっとずつ足音も聞こえる。
「ちょっと進むか」
足音が聞こえる方へ向かう。
『あ』
『あ』
「こいつか」
俺の目の前に急にその〈鬼〉が現れた。
けれどそれよりも、俺はここで耳がつぶれるほどの悲鳴を2人分浴びた。
ー死んだ
ーうるさ
ーえぐい
ー死ぬ
ー耳死んだ気がする
ーイヤホン勢おわった
「あ~なるほど。巻くのかこれ」
一発目、何すればいいか分からず死んでしまった。
一応ヒントボタンがあるので、最悪見るとするか……。
『なんだよあれ!?』
『鬼ってあんなに怖いの!?』
大丈夫か?これ俺の耳持たない気がする。
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