第143話 参加型でも問題ない

『ナイスです!!次も頑張りましょ!!』


「え、あ、うん……。」


急な人格の変化に驚きつつ、


「次どうする?」


『いや~どうしようかな~。2vs3の参加型ありかなー』


「まあいいんじゃない?」


『おっけ~マイク付けるね』


「あ~ちょっとまって」


『ん?』


流石に、ちょっとそのままにはしておけない。

気になりすぎて配信に手が付かない。


「葵さんって、キャラ作ってるの?」


『あ~えっと、まあそうだね』


「やっぱり。ありがと」



まあそらそうか。

HESKALでキャラ作っている人と関わることが無かった。

いや、夜音みたいに声を若干変えている人は居る。


けれど人格ごと、キャラが違う人は初めてかもな。



『ほーい。あ、お互い敬語無しため語でやるよ~』


「あ、了解」


まあHESKAL同士が敬語使い合ってるのは見苦しいか。


配信のマイクが再びオンに切り替わった。



『じゃやるか』


ー参加型だあ

ーちょっと雑魚すぎて入れない

ーこれ弱いと晒されるだけw

ー強い人見る方が楽しい

ーネスイたおしてええ

ーいくかあ


「参加型でショートマッチ2ラウンド制ね。ルールは概要欄に」


俺が説明している間に、黙々と部屋が立てられていた。


『じゃ、先着で』




これでも、結構な同接が居ることであっさりと埋まってくれる。

2vs3というハンデでどこまで行けるか楽しみだ。


「はいじゃあやっていきますかぁ」


さっきと同じ、タンク1アタッカー1の構成だ。

葵がさっきと同じタンクキャラ、俺もさっきと同じサブマシンガンのアタッカーだ。

敵3人がどういう構成で来るかは分からないが、

俺のプレイを見ているからこそ、タンク1は考えてもいいだろう。


「がんばるか」


1ラウンド目が始まった。

割と敵も強いかもしれないので油断は禁物だ。


葵が前を歩きつつ、俺が周りを見ながら着いて行く。


『ここ』


さっとピンが指され、その瞬間に銃声が響き始める。

音的に一人アサルトライフルが居る。


「タンク1アタッカー1ヒーラー1か」


めちゃくちゃ綺麗な構成で攻めてきた。

結構ヒーラーの役割が厄介で、これをどうにかしたい。


『前走る。ヒーラーお願い』


「分かった」


彼女が一時的なガードとして前へ出て行った。

彼女にヘイトが向き始める中、俺は少し遠回りをする。


頼む、耐えてくれと思いつつ、後ろに回った。


「裏から撃つよ」


裏に回ると一番手前に居たのはヒーラー。

他2人もタンクにヘイトを向けていて俺には気が付いていない。


ヒーラーにヘッドラインを合わせて、1人落とした。

流石に敵二人も気が付いて俺の方にも撃ってくる。


「そっち合流するわ」


『了解。私も下がる』


葵と俺は一旦下がって合流した。

態勢を整えたかった。


「こっちから行こ。アタッカー最優先で倒す」


『任せた』


画面の奥で彼女は少し笑ってるんじゃないかとでも思う優しい声。

やっぱり素がちょっとあふれてるな。



「行くか」


葵が進んだ方向に進む。

タンクというのはやはり頼もしく、ダメージをすべて受け持ってくれている。

しかも、彼女が使っているキャラはバリアだけでなくちょっとだけ回復していくらしい。

条件は知らないが、結構強い。


『ここ。』


「おっけ~」


サブマシンガンのリロードを終えて攻める。

相手側もタンクを前に出して後ろからアサルトライフルを飛ばしてくる。


アサルトライフルは弾が遅いので比較的楽だな。


「おけ倒した!」


ちょっとずつ与えていたダメージが散りに積もって山となった。

あとはタンクだけだ。


『ないす』


彼女を前にだして、後ろからサブマシンガンで撃つ。

案外これで被弾を稼げることで安全にタンクまで撃破した。


「まずは1ラウンド」


ーつっよ

ーなんだこれ

ーうめえ

ーあそこで回る判断強すぎ

ー流石だわ

ーネスイ初めて見たけど凄いなこれ


「さて、次行くかぁ」


『ヒーラー使いたい』


「いいよ~」


そうかルールを変えてるからキャラもラウンドごとに変えれるのか。

もちろん大歓迎。

同じ戦略だけだと飽きてきてしまうし、なおさら良いだろう。


「ヒーラーって思ったより居るんだな」


アタッカーの画面しか見ていなかったけれど、ヒーラーのキャラもけっこう居る。

1人1人キャラの特性は違うらしいし、ちょっと面白そうだ。


「俺もアタッカー変えようかな」


サブマシンガンじゃなくて、もっと特徴的なキャラを使いたい。


というわけで選んだのは、リボルバーを使うキャラ。


『決めた、』


葵がそう言って選んだのは、白髪ロリみたいなキャラ。

いや、FPSで可愛いキャラとかあるの?


「そのキャラってどんな感じなの」


ー最強

ー覇権

ーぶっちぎりの最強だよ

ー使い方さえ合ってれば環境破壊

ー強い

ー化け物


結構強いらしい。というか環境破壊って一体どんな技撃つんだ……?



「よしやるかぁ」


リボルバーは結構一発一発を重要にしないと相手に隙を突かれて終わる。

今回はタンクが居ないからこそ、少し慎重に進まないと。


「こっちから回るか」


少し立ち回りを重視しつつ、先に進む。


敵がちらっと見えた。

おそらくタンク1アタッカー2か?


『アタッカー二人』


葵にも若干見えていたようでそう言った。


「了解」


リボルバーで照準をし続けながらゆっくり進む。


「居た!」


見えた瞬間にヘッドに合わせて撃った。

まさかのこれだけでHPを半分削れる。

これは強い。


『もっと攻めて。私がサポートしてる』


葵の言葉を信じて、足を速める。

やはり敵はアタッカー2タンク1。

タンクをどうにかしたいが、何も策略は出てこない。


と思ったのだが、


『タンク削った』


まさかの一瞬でタンクのHPも半分まで削られていた。


『攻めて』


俺にバフ的なものを掛けてそう言った。


「りょうかーい」


俺は前線に歩み出た。

もちろんヘイトは3人分食らう。

けれど、葵のキャラが強すぎて、回復が追い付いている。


『ウルト、吐いていいよ』


あーそうだった。

ウルトすっかり忘れてた。


「おけ」


と思って吐こうとしたら、先に彼女が能力開花をした。

見た感じ…なんだこれ


すっごいオーラが彼女にまとわれている。

すぐさま俺も撃つ。


範囲内の敵に確定のレボルバーを撃つ。

ダメージ量もバカに出来ないほど大きく、アタッカーが一人倒れ、タンクももうちょっとしかない。

よし、追い打ちを、と思ったが


「あれ終わった?」


ラウンド勝利という文字が画面の真ん中に映し出されていた。


『私がやった』


「あ、そう?ナイス!」


ーあーあ。ぶっ壊れだ

ーあそこから敵2人倒せるヒーラーのウルト

ーバフ掛けれるしダメージも出せるし回復も出来る

ー最強やん

ーこれが環境破壊か…


「あそこで二人やったの!?」


『そう。連射スナイパーで』


おーまじか。

結構えぐいヒーラーなんだな……。


「さて、次やるか」


「俺もそのキャラ使いたい」


『ダメ』


ーダメだな

ー出禁

ーこれはまじでやばい

ーたぶんネスイが使うと誰も勝てない

ーそれこそ1vs4に



使ったらだめらしい。




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