第142話 4期生と絡む

『どうもこんにちは』


ーやっ!

ーきた

ーまさかだなー

ーいやまあ絡みはあった……のか

ーない


今回は久々の、他チャンネル側でのコラボだ。

一応なかったわけはなく、プリーム側で配信をしたり、春陽側で何度かやったわけだが。

その二人以外とやるのはこれが初めてだ。

しかも、あまり絡みのない方だ。

ちょっと緊張気味かもしれない。



『さて、今回はコラボということで、どうぞ』



「あ、どうも~HESKAL4.5期生の白海ネスイです」


ー8888888

ーきちゃあ

ーまさかだな

ーこのコラボはまじで想定外


「えっと、黒山葵さん、よろしくお願いします!」


というわけで、今回のコラボは黒山葵さんだ。

青色と黒色のロングヘア、それに合わせて白い制服みたいなものを着飾っている。

見た目は本当に幼いようにしか見えないし、声もまんまだ。


HESKAL4期生であり、マナの配信で一度だけ顔を合わせた。

その時は結構口も動く方だと思っていたんだが、なんだかおとなしい。


『じゃあ、今回はこれ。じゃじゃーん』


棒読みみたいな感じで出したゲーム。

それが今回のゲームだった。


『ancient craris』


打ち合わせていたのに一瞬なんだっけとなってしまった。

マナ含め皆でやった配信で行ったゲームだった。

複数人同士で陣地を取り合ったりする人気FPSだ。


『今回は2vs2のモードやっていくよー』


ーおお

ーいいね

ー葵とネスイか、よきよき

ーいいね

ー(`・ω・´)b


「さてさっそく行きますか」


『ほーい』


彼女のパーティに参加してマッチングを開始する。

するとすぐに敵とマッチングした。


「キャラ何使おうかな」


『私はタンク、ネスイ守れるから』


「いや、俺がアタッカーなのか」


いや別に良いけど不安だな……。


とりあえず知っているアタッカーから一人キャラを選んだ。

確かこのキャラはサブマシンガンを使う、高速型のキャラだ。

一方で葵さんが選んだキャラはいまいちわからない。

タンクなのは間違いないのだが……


「とりあえず行きますか」


肩慣らしに2ラウンド先取のショートマッチ

相手側のキャラが分からないので、1ラウンド目は様子見でもいいかなと思っていた。


『私、前歩く』


そう言って、彼女が戦闘に立った。

俺は周りを警戒しつつも、彼女に付いていく。


『いた』


敵2人は彼女と射線を繋いでいた。


そして、どちらもアタッカーだった。


「おけ、後ろから攻撃する。」


彼女を盾として攻撃を入れていく。

彼女はシールドを広範囲に展開して、俺への攻撃を防いでくれている。


「一人は結構削ったよ」


大きく削った方は後ろに下がって行った。


このゲームにある、いわゆる必殺技は多少ダメージを稼いだり、時間経過を待たないと使えない。

だからこそ、1ラウンド目はそこまで警戒する必要もないだろう。

ただ相手も粘り強く、葵さんが押し切られていた。


『ごめん。』


流石に耐えきれず、彼女はやられた。

けれどそのおかげで2人とも結構削った。


「ここ居るかな」


俺の謎の勘の読みは正しく、1人キルした。

ダメージを食らわず1vs1に持ち越せたのは葵さんのおかげだろう。


足音から嗅ぎ付けてきた敵をそのままやって、1ラウンド目は制覇した。





2ラウンド目はそのまま始まる。

相手が2人アタッカーということもあって、同じ戦略でいいのではと思ったのだが、相手側そうはいかなかった。



「いないか」


さっきと同じ進路はたどらず、敵と競り合わなかった。


『どこだ』


葵が進む方向に俺も進む。


「後ろじゃない?」


なんとなく、まあ俺なら後ろを突くかなと思った。


『ほんとだ』


彼女がそう言ったと同時に敵が後ろから撃ってきた。


「やっば」


俺は慌てて何発か避けて、彼女の後ろに下がった。


『ウルト撃っていいよ』


「あ、いいの?」


さっきから俺しか攻撃しなかったのはおそらく俺がウルトを貯めれるようにしていたのだろう。


『頼んだ』


「おっけ~」


俺のウルト、能力開花は、一定時間内のサブマシンガンのDPSを上げてマガジン数を増やす。リロード時間も少し早くなる。

ダメージ量は変わらないが量が増えればダメージ量も必然的に増えるだろう。


「行くわ」


ちょうど片方の敵がリロードを始めるために引いた。


そのタイミングで俺が前に行く。


まずはサブマシンガン1マガジン目。

敵はアサルトライフルの照準を俺に切り替えて撃ち始める。

だが、俺はしっかり弾を避けつつ、ダメージを入れていく。


葵さんも多少入れてくれているおかげですんなりと倒せた。


そのまま引いた敵を倒しに行く。


『そこの壁の裏』


そう言った彼女の通りに見に行くと、リロードを終わらせた敵が立っていた。


「ありがと」


このままエイムを合わせて、フィニッシュだった。



ーうまーい

ーナイス

ーつよい

ータンクの役割完璧だわ

ーすご


「ナイス~次本番やるか」


『そうですね』


そう言ってプツンとマイクが切れた。

正確には配信のマイクが。


まあこういう時はよくある。


配信機材が不調だったり、他の声が入りかけたり、後は……




『ナイスです!!次も頑張りましょ!!』


「え、あ、うん……。」


やっぱ葵さんってそういうキャラだったのか……。






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