第141話 さあ行こうレジェンド帯へ
単刀直入に言うと、めちゃくちゃ沼った。
それこそ、ビギナー帯からエキスパート帯に行く時間と同等、いやそれ以上の時間がかかったんじゃないかな。
けれど、ようやくその沼も終わりかけ、エキスパート帯後半戦だった。
「どうだろここ」
『よし、そこで』
あんまり降りたことのない場所に変えた。
というのも今まで降りていた場所は初動落ちすることも多く安定しなかったのだ。
まあ気分を変えるためにもいいだろう。
「俺のとこに1人居るわー」
『2パ居るぽい感じがする』
場所を変えたとはいえ、敵が降りないわけではない場所を選んだ。
初動でキルを稼ぐのも案外ありな気がするからだ。
それのせいで初動落ちしているのだが、まあ仕方がない。
『そっち行く!先攻めて良いよ』
「了解」
アサルトライフルを拾えたのでそれ一つで戦いに行く。
若干心細い気がするがいいだろう。
「目の前居るわ」
ちょうど敵が家から出てこようとしていた。
おそらく俺には気が付いていないようで、すんなりと外へ出てくれた。
「今!」
銃口を敵の頭に向けて放った。
相手も初動だったからシールドは無く、すぐやられた。
『やば、こっちに一人来てる!』
急いでwartの方に向かう。
敵を挟み撃ちにすることで、すぐ敵のHPは溶けていき1パーティ壊滅した。
もう1パーティは少し遠くの場所に下がっていったらしいのでとりあえず初動は抜けれた。
と、こんな感じの初動ムーブを繰り返している。
中盤キルはあんまりおいしくないので、序盤と終盤で一気に稼ごうという作戦だ。
というのも、中盤は敵が見つからない。
相手側も中盤は交戦したくないのか、きれいに避ける立ち回りをしている。
エキスパート帯はそんな印象だった。
いや、これはあくまでエキスパート帯前半の話。
後半になると急にレジェンド帯の人の頻度が増えた。
どちらかと言えばレジェンド帯のマッチに入っている感覚だ。
中盤も結構な量の交戦が広がる。
全員がポイントに飢えているからこそ銃声を嗅ぎ付けやってくる。
終盤生き残ったプレイヤーは本当に選りすぐりの精鋭でとても強い。
だからこそ中盤キルで稼ぐのだ。
『うわーあそこもやってる』
「行く?」
『いや、あれはスナイパーでちょっかいかけるくらいで』
「そうだな」
ー銃声しか聞こえない
ーエキスパート帯おそるべし
ーもうレジェンド帯だろ実質
ーどこも戦ってる
ーその割に人数の減りおせえ
「まじでなんでこんなにまだ人居るんだろ」
安全地帯も収縮して終盤に差し掛かるところ、まだ40人近く生きている。
正直少しでもミスれば周りからの集中砲火に耐えられない。
『これはもうレジェンド帯だね。あ、あそこ抜ける?』
「おけ」
wartがピンを指した先にスナイパーを向けて撃つ。
流石にスナイパーを簡単に外すほど腕は落ちてないようなのでどんどん抜いていく。
まあ中盤から終盤はこれでキルを稼ぐかな?
「うわ~移動やばい」
安全地帯は結構マップの左側に偏っている。
だからこそ、右から来る人が多く、交戦も大量に行われている。
けれど射線切りが皆綺麗で、簡単にスナイパーで抜けない。
『どっか攻撃仕掛けに行くべきかなー』
「そうだな」
流石に人数が多すぎて立ち回りの問題ではなくなってくる。
少しでも人数を減らすべきかも。
「横抜くわ」
ちょっと無理やり感が出るが、一番近くで戦っている敵にスコープを向ける。
岩裏を駆使して戦っている敵達のチャンスを見つける。
『おけ、1人抜いたら即攻めるよ』
「抜いた!いこ!」
一瞬の隙を見逃さず撃った。
それは綺麗に頭に吸い込まれ、1人ダウンを取った。
すぐさまwartが攻めに行き、後から俺も付いていく。
『よし!やった!物資漁って奥側も行くよ』
「了解」
敵の物資に4倍スコープは入っていた。
これで準備万端だ。
今キルした敵と交戦していた敵を倒しに行く。
おそらく彼女の考えはこうだろう。
『ここやれる?』
さっと置かれたピンの先には墜落している飛行機。
おそらくその中に居るだろう。
「ちょっと見てみる」
距離としてはざっと30mと近い位置にあるのだが、敵は俺たちに気が付いてなさそうだ。
一瞬だが胴体が出る時がある。
けれどここでダメージだけ入れてもキルできなかったら、互いに均衡するだけだ。
「抜けそうなら抜くわ」
『おけ』
ーこれはうめえ
ー世界チャンピオンまだ衰えてないなこれ
ー全然大会行ける
ースナイパーそこ決めれんの!?
ーエイムよすぎ
「おけ抜いた!」
『ナイス!』
wartがダッシュして敵陣に突っ込む。
そして彼女が撃つ後ろで援護射撃をして、倒す。
結構キルポイントも盛れてきた。
『あっぶね。一旦下がろ』
「そうだn……後ろスナイパー!!」
後ろを振り向いた先に僅かにスコープを覗く敵が居た。
いや、これはきついか?
そう思いつつ、撃たれた弾を全力で避ける。
少しでも判断が遅ければ、間に合わなかった。
でも今回は避けたんだ。
「避けた!」
『えぐ』
ー今の避けんのwwww
ー絶対当たったと思った
ーすご
ーそれ避けれんの意味分からん
ーえぐい
『こっち行こ。敵居ないわ』
「おっけ……あ、あそこ抜けるかも」
『え?』
ちょうど移動中の敵が居た。
ちょっと距離もあるので、抜けたら良いなくらいで撃ってみた。
「あ、抜いた!」
『は?』
「あそこ撃つね」
流石にもう一人は物影に隠れた。
それに俺もスナイパーのリロードが必要。
ならばアサルトライフルで応戦するしかない。
『私先行っとくね』
「おけ、すぐ行くよ」
とりあえず敵が出るのを待つ。
相手も安全地帯から外れているので動くしかないだろう。
動いた瞬間にアサルトライフルで撃ってやる。
俺が少し動こうとフェイントを掛けると敵も動き出した。
「よし、行ける!」
アサルトライフルのエイムは若干衰えている気がするが、それでも100発撃てば90発は当たる。
十分に敵に命中したことで1キルゲットだ。
「よし、すぐそっち行くわ」
1人になったwartに俺も合流する。
『やばいよこの人』
ー??????
ーアサルトそんなに当てないで
ー当たらんて
ーこの人おかしい
ーエイムもやばいやん
ー絶対被弾しない人から絶対弾当たる人みたいになってる
ーendm引き継いだなこれ
『あ、後ろから来てる!』
「おけ」
まだ10人近く残っていた。
もはや探しつくしてもどこに居るか分からない隠密さだ。
「あ、ここだ」
思ったより近いなと思って、ピンを指した時
『あ、ごめん抜かれた』
相手も気が付いていたようですぐさまwartが抜かれた。
蘇生する間に敵も詰めてきそうなので、ここは下がる。
けれど敵も逃してくれはなさそうだ。
「せめて一人だけでも……」
そう思ってスナイパーを構えて撃った。
ーは?
ーえ?
ー??
ーはい?
ーえぐい
ーやば
ーなんで当たんの
ーやばすぎ
「え、頭当たったわ」
『ナイス!!!』
なんかたまたま頭に弾が当たってくれたようで人数不利は解消した。
『これ攻めてもいいんじゃない?』
「そうするわ」
アサルト&スナイパーという、近距離には全く向いてないのだが、このまま突っ込んだ。
敵はショットガンを構えて、一発放った。
ギリギリでそれを避けるとアサルトライフルで何発か入れる。
相手のクールタイムは終わりもう一発撃たれる。
さっきよりも距離が近いことで若干かすったがまだ痛くはない。
「よし!」
しっかりとアサルトライフルの弾を頭に入れることを意識して倒した。
が、流石に1人というのが他の敵にバレていたようで、
「うわ、きつい」
敵2人から集中攻撃を受けてやられてしまった。
まあ何はともあれ
「レジェンド帯到達!!!!!!」
ーはっや
ー早すぎ
ーおめでとう!!
ーやばい
ーうまあ
『おめでとう!!私もレジェンド帯行けた!!!』
ちょうど同タイミングで行けたのは奇跡かもしれない。
まあなんだかんだ行けて良かったか。
『次はtop100配信かな?』
ーおっ
ー来たか
ーやるよなもちろん
ーありがとう
ー見るわ
「え?」
とんでもないことがまた始まりそうだ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます