第140話 桁が違うエキスパート帯

「よし!」


『ナイス!!』


ーペース早い

ーなんでもうエキスパート帯なんだよ

ーこれレジェンド帯行ける

ー強すぎる

ーなんでそんなに行けるの

ーまぁこっからが戦い


さてさて、あまり沼ることなくブロンズ帯~ダイヤ帯を潜り抜けてエキスパート帯に到達した。

ここまでざっと3時間ほど。

結構ペースは良いのかも。


『私も結構ポイント盛れてて嬉しい!』


「まあ…でもこっからなんだよな」


ーそれはそう

ーまじでそれなんよな

ー沼帯ここ

ー頑張ってくれ…


エキスパート帯はおそらく母数的にも一番多い帯な気がする。

けれど、ここからレジェンド帯に到達する人は結構限られている。

その理由は簡単で、


レジェンド帯とほぼマッチするのだ。


今までは、居ても1人居ないかどうか。

けれどエキスパート帯はレジェンドとマッチする確率が格段に大きくなり、

それは上がりにくなることを意味する。


まだwartもレジェンド/エキスパート帯じゃなかったからこそ、あんまりマッチングしなかった。

けれどここからが本番だ。


「さて、やるかぁ」


『とりあえず見に行きましょうか』


ーちなみに今シーズン一番難しいらしい

ー必要ポイントも変わったしね

ーまじでむずい

ー冗談抜きで過去最高レベル

ーエキスパート帯がすでに強い


「そんなにやばいの?」


『やばいっすよ!レジェンド帯の人たちが暴れすぎなんすよ』


「ほーん…」


噂によればendmは既にレジェンド帯に到達しているらしい。

そういう人がうじゃうじゃいるなんて鳥肌が…



「まあ一回様子見するかぁ」


この配信の目標決めにも良いかも。

あわよくばレジェンド帯到達なのだが、そう簡単には上手く行かない気がした。



『そうだね~ここ降りるか』


「おけ」


とりあえず武器を最優先で拾う。

そして多少シールドや、武器を揃えたら即狩りに行く。

敵側が準備する前に行くことでアドバンテージを生かす先鋒だった。


『ここの2階に居るよ!』


「了解!」


同じところに降りたwartは先に攻めていた。

情報収集も大事だから助かる。


「やるわ」


武器はショットガン。

サブマシンガンが拾えれば良かったのだが一つの家でそこまで揃うことはなかなかない。

仕方なくショットガンを構えて、敵がいる家に乗り込んだ。


『敵は多分スナイパー構えてる!私も向かう』


wartが来る足音を聞きつつ、俺は敵の居る2階に上がった。

やけに静かだからこそ、角待ちを警戒していると、



「やっば」


まさかの後ろからの出待ちとは聞いていなかった。

撃たれたが、振り向く暇もなく小さな部屋に入る。


HPはざっと10くらい。

スナイパーで頭を抜かれたのはまだ良かったが1発当たれば即死だ。

ここでwartの助けを待つのもありだったが先に敵が攻めに来て、確殺を取られる方が早い。


『やばいね。間に合うかな』


「たぶん無理かな。俺が行くよ」


ここで一発食らったらノックアウト。

まあ耐えればベストといった感じか。


敵が少しずつ近づいてくる。

俺は落ち着いて部屋のドアを開ける。


敵の位置を考えて、どう弾が動くか思い描く。


さて行くぞ



まずはしゃがんで反対側の壁へ走る。

ここで弾を避けれるかが正念場だ。


よし、相手のスナイパーは綺麗に俺の横を行った。


だが相手のスナイパーはマガジン数4の乱射系武器。

だからこそまだ最高3弾持っていると思って考えた方が良い。


相手がリロードをしている隙に1発ショットガンを入れる。

流石は高ランク帯。

俺が撃つタイミングで動いて当たる面積を減らしている。


そして敵が一発スナイパーを撃つ。

若干スコープを覗いていたからこそ、ここは正確に撃ってくる。


けれどその弾は対策済みだった。

俺はギリギリまで弾を見つつ、かすりもしないように避けた。


敵のマガジンは2だ。

だが、ここで敵は近くの部屋に隠れた。


ここで攻めに行くのもありだが、一方通行だからこそスナイパーを撃たれると死ぬのでむやみに攻めれない。


俺は出たところを狙ってショットガンを出る。


『もう着く!耐えて!』


「ああ」


そうは言ったが次の攻撃で決着がつく。

ここで敵の攻撃を避けれれば、wartが間に合うだろう。

だが、ここで食らうと確殺が入れられて不利になるだけだ。





敵が出てきた。

ここで俺は決め……ん?


俺はまず勘違いをしていた。


なんで敵はスナイパーだけだと思った?


「まってそれショットガン……」


流石にショットガンを避けれるほどのスペースが無かった。

これはしてやられたか…。


「ごめん」


俺がショットガンを撃つと同時に敵もショットガンを撃った。

敵はまだHPが残ったが、俺は耐えられるほどのHPが無かった。



『ドンマイ!』


wartが2階に上がる前に俺はスナイパーで確殺を入れられる。


『あ、やばい』


そうだ。このランクマッチはデュオだ。


今は1vs2なんだ。



『ごめん!』


敵はまるで待っていたかのようにwartを後ろからキルした。

後ろからもスナイパーを持った敵が居たのだ。


どこから潜伏していたかは分からないが綺麗な罠にはめられたようだ。


ーこれはしゃーない

ーレジェンド帯かぁ

ー策略がもうレジェンド

ーえぐい

ー敵うますぎ


「大丈夫かな」


一発目から不安でいっぱいだった。





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