第131話 初歌い手動画?
ひなに誘われてスタジオに入った。
Vtuberの人たち専用なのか、複数人でも歌えるようになっている。
「こんなとこあったのか」
HESKALはビルの半分くらいを占めていると夜音が言っていた。
最初は、そんなに要るはずないだろとか思っていたが、
こういう部屋も必要か、と改めて感じた。
「ネスイってなんか歌える曲あるの~」
ひなはスマホを見て、曲を探していた。
「まあ、有名曲なら」
一応夜音に聞かされまくっているおかげで、歌詞も若干覚えている。
「じゃあこれは~?」
そう言って彼女はスマホ画面を見せてきた。
映っていたのは結構最近出てきた有名ボカロ曲だった。
「いや、それめちゃくちゃキー高いじゃん…」
俺はこれでも男子高校生だ。
しっかりと変声期を迎え終わっている。
そんな人に高い音なんて出るはずがない。
たまにいるが、あれはまた例外だ。
「いやいや、メインパートじゃなくてこっち!」
と指を指された。
どうやら、この曲、高い音が主体のように見えたが、裏で低い声も奏でられるいるらしい。
そこまで注目したことはないので知らなかった。
「これならいけるかもな」
試しに聞いて見たら、少し低い声が聞こえた。
キーも高いのはないのでこれなら俺でも歌えそう。
「まあやってみるか」
「よし!決まり!これお願いします~」
この曲、版権とか大丈夫なのか?と心配したが杞憂だった。
どうやらHESKALはこのボカロPさんのスポンサー?をしているらしい。
その代わり曲をカバーして動画配信サイトで投稿するのが許可されてるとか。
HESKALって凄いんだな。
「ネスイってどれだけ歌えるの?」
「う~ん」
分からないというのが正しいか。
たまに夜音とカラオケ行くのだが、点数採点なんてろくに見たことがない。
「まあ90点くらいなら…」
「上手いじゃん~」
「そうなのか?」
インドアすぎて分からなかった。
というより、横の夜音は95点をバンバンたたき出すせいで、平均が分からなかった。
「まあ、とりあえず楽しくね~」
「これ動画出すの?」
「駄目?」
「いや、いいよ」
とりあえず確認だけ。
動画出すからにはちゃんとしっかりやらなきゃ。
マイクチェックなどはいまいち疎くて分からないので、ひなに任せた。
「これでいいはず」
と彼女が言ったので多分大丈夫だ………よね?
「じゃあお願いしまーす」
初めてのカバーが始まった。
始まりはひなからだったので多少緊張はほぐれたようで、案外スムーズに出せた。
「もう終わりかああ」
あとはさっと編集して今夜中には出来るらしい。
俺もどうなっているか分からないから楽しみだ。
「本来は私だけのカバーだったから皆びっくりするだろうな~」
「確かに」
もしかして、初めての歌ってみたじゃね………?
「今日ありがと!なんやかんや初めてリアルで会ったね」
「まあ確かにな。」
ひなとはコラボはしたことあったがオフコラボはなかった。
「今度ちゃんとオフコラボするか」
「そうしよ~」
配信の時とは違って、案外落ち着いてる。
もしかして?と思ったことがあった。
「ひなってキャラ作ってる?」
いや、これは踏み込むべきではなかったか?
と思ったが後には引けない。
ひなは一瞬黙った後に
「そうだよ~というかキャラは大体皆作るよ」
「そうなのか」
言われてみればVtuberでキャラ作らない俺が目立っていたのも納得できる。
プリームこと夜音や、春陽は案外素を出しているけれど、出せてない人もそりゃいるか。
「ちなみになんでそんなキャラになったんだ?」
「聞きたい?」
ちょっと恥ずかしそうにそう聞いた。
俺は静かに頷くと、え~という声を出しつつ答えてくれた。
「清楚で下ネタ言うってなんかよくね!?」
「やっぱ素出てんじゃねえか」
思わず突っ込んじゃった。
てっきり、ひなはそういうことは無関心ですよ~感だったのに。
「まあ、いいか。これからもよろしくな」
「はい!」
マネージャーこと岩佐さんがドアを出たタイミングで俺もこの部屋を出ようとする。
「あ」
1つ思い出したことがあった。
「何?」
「ホラゲー配信続きまたやるぞ」
「は?」
「おい!!!!」
俺はそれだけ言うと走り去った。
後ろからひなが追いかけてきた気がするが、まあ追い付いてないのでセーフだろう。
岩佐さんは別の仕事が入っていたらしく、ビル内で別れた。
帰り道、歌い手も案外面白いなと感じていた。
歌ってみたもありかもな……
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【[歌ってみた]白風の塔 cover清城ひな&白海ネスイ】
夜見ると、ひなが動画を出してくれていた。
試しに聞いて見ると、案外よくできていた。
でもやっぱりひなの声が綺麗で、たまたま俺の声がそれがマッチした感がある。
HESKALって皆うたみた出してるのかなと思い、検索をかけまくったネスイであった。
ーコメント欄ー
・ネスイま?
・歌い手デビューきたあああ
・いやネスイ声良すぎる
>>それな
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