第126話 奏炎に挑む2
「さて、第二形態はどちらかといえば地上戦だからプリーム、がんばって」
「まじかあ」
そう彼女は言いつつも、杖を構えて立っていた。
奏炎の第一形態は特に苦戦することなく倒せた。
それでも難関と言われるということはやはり、第二形態に問題があるということなのだろうか。
『お主ら、なかなかやるようじゃのう。だが、そろそろ疲れてきたんじゃないか?
ここで終わらせてやろうではないか』
そう言って、奏炎は扇子を腰から出した。
「というわけで第二形態スタートです!」
奏炎は扇子を振り回しながらこっちに近づいてくる。
出来るだけ情報をつかみたいので、ギリギリで避けるがなかなかのDPSだ。
おそらくダメージ数はそこまで多くないのかもしれない。
けれど、一度巻き込まれればずっと絡められHPは減らされていくだろう。
「とりあえず春陽、挑発頼んだ」
「おっけ~任せて!」
これでも春陽はHESKALの中でもトッププレイヤー。
多少のプレイスキルは身に着けているはずなのでしばらく耐えてもらおう。
「じゃ、俺も行こうかな」
ラスカさんも俺の後ろから飛び出していった。
春陽が引き付けて、その隙をラスカさんが攻撃する。
それが良いコンボとなり、お互い無傷のまま戦闘が展開されていく。
一方で夜音はというと、
「プリーム調子はどうだ?」
「いや、やばいよ。ダメージ通らないかも」
「え、そうなのか?」
てっきり魔術師接待かと思っていたのだがそうではないようだ。
見てて、と彼女が杖から魔法を繰り出すも、
「まじか」
奏炎は一瞬だけこっちを見て、魔法を反射するのだ。
その瞬間隙が生まれるには生まれるんだが、すぐに復帰して広範囲に攻撃を繰り出すので安易に飛び出すとカウンターで死んでしまう。
「どうしよう」
俺と夜音はすることが無くなってしまった。
ーラスカさんうめえ
ー攻撃のタイミング完璧やん
ーネスイ暇そう
ー珍しく攻めるに責められないからな
ー同時に逆方向からやればダメージ入るんじゃない?
「同時に逆方向から?やってみるか」
コメント欄に面白そうな案があったので試しにやってみる。
ラスカさんが攻撃を加えたタイミングで、夜音が魔法を撃つ。
「おおお」
それは見事あたり、少しHPバーが減った。
「これありじゃない?」
「うん。良いかも」
「ネスイ!そろそろ代わって!!」
ちょうどいいタイミングで春陽に呼ばれた。
彼女でも流石に完璧に攻撃から逃れることは出来ないようでちょくちょく食らっている。
そして、それが散りに積もって少しずつピンチに近づいていた。
「おけ、行くか」
「おけ、あとは任せた!」
俺と春陽はすれ違い、次は俺のターンだ。
俺はすばやく彼女の反対側に行き、挑発を使ってヘイトを集める。
案の定奏炎は俺の方を向いて近づいてくる。
奥で夜音の攻撃モーションが見えた時、俺が攻撃を仕掛けに行く。
彼女の攻撃に間に合うよう、すばやく近づき、
「速撃!」
ただ早く攻撃を仕掛けることに特化したこの技で彼女の攻撃に合わせた。
俺の攻撃にヘイトが向いた奏炎は、後ろの魔法を直に受ける。
「これならいけるぞ!!」
「よし!ナイス!」
夜音との間隔を理解しつつ、俺はひたすら引いては攻めるを繰り返す。
夜音の魔法は水魔法だ。
だから、奏炎とは相性が良く、ダメージがどんどん減っていく。
いつの間にかこの連携に見とれていたのかラスカさんと春陽は手を止めていた。
「やっば、攻撃が早くなってる」
HPが減るごとに攻撃スピードが増していった。
簡単には近づけないように攻撃種類も増えていく。
まずは自機狙いの炎弾。
ヘイトを俺に向けていることで夜音に攻撃は回らない。
そして、奏炎は分身した。
片方は扇子、もう片方は剣で攻めてくる。
「ラストスパートか。」
「これは片方狙えば終わるよ!」
と経験者のラスカさんが教えてくれた。
まず、ラスカさんは夜音に攻撃バフをかけた。
そして春陽は俺にすばやさバフをかけた。
こんなところで終わるわけがないよね。と俺は心で唱えていた。
「まあ神威覇者がここで終わるわけがないんだよな」
ーあとちょっと!
ー頑張れ!!!
ーバフ強すぎる
ーバフかけるってことは二人で攻めるの?
ー面白い
俺は速度をあげて限界まで技を避ける。
自機狙いがしんどいのと、二人も敵が居るということで完璧には避けれないが、最低限避けれているんじゃないかと思う。
その隙に夜音が攻撃することでHPはどんどん削れてく。
そしていつの間にか、のこりHPが寸になるくらいに近づいた。
「え?」
なんでもうあとちょっとなのに撃たないのか、
夜音は杖を置いて特に何も詠唱させる気がしない。
「そりゃあねえ?」
「ネスイ!決めちゃってよ!」
「決めてください!」
最後にこんな最後貰っていいのかな?
まあ、いいか。
「終われ!閃電撃!」
回避盾に備わっている小さな小剣。
けれどそこから繰り出される、電撃のような衝撃は奏炎を打ち破った。
『ここまでのようじゃ。お主ら、先へ進むがよい』
そう言って奏炎は少しずつ消えていった。
「ナイス!!!」
「終わった~」
「お疲れ様!」
ーないす!
ー強い
ー安定しすぎなんよな
ー4人生き残るのすごい
ー流石神威クリア者二人いるから
ーお疲れ様!
ー影 妖狐/なんじゃと…
ーあ
ーあ
ーあーあ
「妖狐さんありがとうございました。対ありでした!」
豪華4人PTによる奏炎討伐は幕を下ろしたのだった。
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