第125話 奏炎に挑む1
「奏炎ってこれか………」
ラスカさんが提案したクエストを探す。
ーあるね
ー確かどのレベル帯でも行けるんだっけ
ー懐かしい
ー昔やってたな
ーこれ4人だとまじで楽しい
「えっとまあ大体説明すると、技術が全てです。」
「はい?」
春陽は未だ理解できていない、というかまずクエスト名を探すのに必死だ。
「まずレベル統一、挑戦者は全員統一でlv50になる。そしてスキルもその50地点で獲得できるもの+戦闘前に選べるものだけ」
「つまり、プレイスキルがすべてで、今までの培ってきたステータスは関係ないということ?」
「プリームさん、そういうことです。」
ラスカさんは案外説明が上手いのか、夜音もあっさり理解してくれた。
「では早速行きましょう。ここにテレポートお願いします。」
彼がピンを刺したところへ3人も続けて移動する。
「こんなところがあったのか」
炎という文字があるだけに、テレポートした先は真っ赤な炎に囲まれた場所だった。
どうやらクエストを受諾できる地点は洞窟の入り口らしい。
つまり、洞窟内での戦闘ということか。
「そういや、ラスカさんってジョブは何ですか?」
「僕のジョブは騎士だよ。全体的にバランスが良いやつだからね」
なるほど、つまり俺と春陽がヘイトを集めつつ、ラスカさんが攻撃&防御
おそらく夜音が攻撃主体になってきそうだ。
「では行きますか?」
「はい!」
「行きましょう!」
「行けます!」
「では、スタート!」
ラスカさんが受諾したことでクエストが始まった。
洞窟内へ入れることになり、少しずつ前へ進んでいく。
よく見ると、ステータス画面は少し弱体化を食らっているかもしれない。
夜音は逆にレベルが低いからこそ強くなっているかもしれないな。
「あそこの洞窟で戦闘が始まります。」
ラスカさんが指さした先は大きな空間となっていた。
いかにも戦闘用と言える地点ではあった。
「来ましたね…」
少しずつ轟音が洞窟内に響き始める。
次第に音が大きくなり、上にひびが入り始めた。
「彼女こそが、私たちが今から戦う相手。奏炎です。」
「あれが奏炎」
と俺がつぶやいた一方で、夜音と春陽は何か話していた。
「奏炎って何かあいつに似てね?」
と夜音が言って、
「うん。似てる」
と春陽が言い返す。
そしてラスカさんも話は聞いていたようでくすっと笑いつつ、
「実は奏炎はHESKALのとあるメンバーがモデルになったと言われているんですよ。しかも声優はその方本人だそうです。」
ーそうそう
ーこれ結構知られてない
ー知らなかったんだけど
ー初耳
ー言われてみればあいつに似てるか
「やっぱりだよね!狐に見えたもん」
「だよね~」
と共感しあっている中俺だけが話に入れない。
「えっと、誰に似てるんだ?」
流石に気になってしまったので思わず聞いてしまう。
「えっと、私たちの同期の2期生の影 妖狐っていう人だよ。」
「そんな方が居たんだ」
そろそろ覚えてきたかな?とか思っていたがまだまだだったらしい。
ー妖狐結構好き
ーこいつらと違ってキャラが壊れない
ーこいつらがおかしいだけ
ー普通はこんなに口調変わらないんだよな
ーなんなら素が出てるでしょ
ー影 妖狐/なんじゃ?
ーあ
ーあ
ーきた
ー見られちゃった
と、コメント欄に彼女が現れたのだが俺たちは奏炎に夢中だった。
『よく来た開拓者め、今宵我が手によって滅ぼさせてやるぞ』
「始まります!皆さん頑張って!」
ラスカさんの声のすぐあと、攻撃が始まった。
まず、奏炎は炎弾を撃ってくる。
けれど頻度が高く、また範囲も広い。
しかも4人居ることで一度に降られる量が多くなる。
「とりあえずこの攻撃をかわしつつプリームさんは攻撃に回ってください」
「分かりました!」
おそらく、ラスカさんの存護のもとで夜音による攻撃が始まる。
俺は一瞬春陽の方を見た。
彼女は少し軽くうなずき、そして挑発を発動した。
まさか伝わるとはと思いつつ、俺も挑発を続けて発動する。
「とりあえず俺たちはひたすら避けるしかない。」
挑発を受けた奏炎は俺たちに攻撃を集中させた。
そして、いつにか彼女の手には炎をまとった剣を持っている。
「ネスイ、あの剣何?まさか来るとかじゃないよね…私避けるのきついんだけど」
春陽はそう若干愚痴を漏らしつつも声だけ聴けばやる気は十分だった。
「さてやるぞ~」
俺は彼女の動きを見ていた。
すると、奏炎は突如地上に降りてきた。
「ほら!」
と言って春陽は少し離れたが俺は離れない。
『お主ら、なかなかにしぶといの。だがその命運もここまでじゃ』
奏炎は持っていた剣を掲げて、
『残滓時にあらず、我、炎によって打ち砕くもの。』
少しずつ、剣に炎がまとわれていく。
まずくね?と思ったが最後だ。
『終われ、我に挑みし者よ』
彼女は剣を持ち、俺に襲い掛かった。
かなりのリーチを誇る武器で、避けるのに精いっぱいだ。
カウンターなんて考えるだけで死ぬ気がする。
「避けていてください!お願いします!!」
ー大体ここで一人死ぬ
ーてかこの奏炎に耐えれる人居るの
ー無理
ー剣の攻撃力おかしいよ
ーいまだにこれだけ理解してない
「分かりました!」
いつまで耐えられるかなんて考えずに、俺はひたすら避け続ける。
すると、さっきまで夜音を援護していたラスカさんは急遽体制を変えた。
「ネスイさん、ここまで走って行ってください」
ラスカさんがピンを刺し、そこに向かっていく。
「春陽さんは俺の方へきて、火力援護お願いします」
「了解です!」
これで全員役割を持った。
俺が走り続けおとりになる。
そして、とある一時、すべてが終わるかと思うほどの強い光が流れた。
「残夢一閃」
まるで勇者のように聞こえた彼の声はずっと頭に残る。
「ええ」
光が落ち着いたところで目の前を見ると、奏炎が立ち崩れていた。
ー上手すぎるw
ーここで一閃撃つんだ
ーえぐ
ーかっこよ
ー声が良かった
「さて」
「ん?」
さてって何…もしかして
「ですよね~」
ちゃんと第二形態が用意されていたようだ。
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