第106話 episode2
中学に上がってすぐのこと。
夜音はやはり人柄がよかったからか周りから人が集まっていく。
その一方で、別々のクラスになった俺はクラスに上手くなじめなかった。
趣味が合う子は居たし、一応皆の輪の中に入って話すことは出来た。
けれど、クラスの雰囲気自体に俺はついていけなかった。
その結果、学校に行く頻度が少しずつ減っていき、次第には家にいる方が多くなった。
夜音は俺の気持ちを受け取ってくれたのか、学校が終わった後も俺の家に居てくれた。
また、風夏とよく会うようにもなり、話すことも多くなった。
流石に学校に行けなくても勉強はしようということで、風夏や夜音に教えてもらうこともあった。
今考えれば俺はすごく負担だったんだろうな。
そして、家に居ることが多くなると、当然色んなことに興味を持った。
その一つがPCゲームだった。
一応親にモニターとかは揃えて貰っていたのだが、前までは友達と外で遊ぶことが多く使わなかった。
この機会にと、俺は触った。
それが始まりだった。
何をしようか悩んでいた時に現れたのが、
【world war】
世界中で期待されていたゲームがつい最近配信開始していたのだった。
面白そうだと思い、俺もやってみた。
面白かった。
最初こそは操作が難しくてやられることも多かった。
けれど何度もやっていくと次第に実力は上がっていき敵を倒せるようにもなった。
そして、オンライン大会が中学生以上ということに目を付けて挑んだ。
優勝したのだった。
最初は、ゲームをしていて楽しいという感覚でいっぱいだった。
でも少しずつ、いろんな大会に触れていくことで次も勝とうという焦り。
皆に追い付かれてしまうんじゃないかという恐怖に包まれていた。
もはやゲームを楽しめているのかすら怪しかったのだった。
焦燥感と不安に包まれた中生活がどんどんおろそかになっていく。
風夏や夜音の心配も無視して、
風夏なんかは呆れていたんじゃないかと思う。
日常生活から目を背けていたのだ。
夜音からも。
夜音の家事負担がどんどん重くなっていった。
俺がしなくなったからだ。
でもそんなことに気が付けなかった。
いや、気が付くはずがなかった。
一日中部屋に引きこもり。
ずっとゲーム。
今思えば凄く社会的に終わってた人間だったのかもしれない。
でもたまにリビングに行くと夜音は絶えず笑顔だった。
まるでしんどいとは言わない何も感じていないような。
でもこんな生活は唐突に終わりを告げた。
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