世界でも注目されている元プロゲーマーは、隣の幼馴染のせいでVTuberになる
第104話 Even if time is impossible, if it is the passage of fate
第104話 Even if time is impossible, if it is the passage of fate
「おはよ……夜音?」
そういえば横で一緒に寝たんだっけとか思いつつ、俺はスマホを触った。
ただ、彼女が微動だにせず寝ていることに若干不信感を感じつつも何も思わなかった。
気が付いたのはそれから少ししてからだ。
「あ。夜音、今日どっか行く?」
なんか一緒に行こうかと思って声をかけたのだが彼女は何も反応が無い。
ちょっと申し訳なくも身体を触って揺らすも何も言わない。
「夜音?」
流石に俺でもわかった。
「やばい」
心の中で凄い焦りと不安を感じつつ、何をしたらいいか考えた。
まずは病院だ。
特別に担当の先生から連絡先をもらってるのですぐ電話する。
『どうした?』
「夜音が起きなくて…どうすればいいですか」
俺は通常通りに言えていただろうか。
何も変じゃないだろうか。
『そうか。すぐ救急に連絡しろ。俺は病院で準備する』
「分かりました」
そう言ってすぐに救急に連絡をした。
さいわい、病院が近くにあるからこそ救急車もすぐ着く。
次に風夏だ。
昨日あれだけ相談しておいてあれだが、話すしかない。
『朝早くから何~?』
「夜音が目を覚まさない。」
『は?』
「もう救急に連絡はした。あとで来てくれ」
『…分かった。』
彼女の冷静さは保てているようにも見えた。
だが若干声が震えていたのを俺は聞き逃さなかった。
とりあえず俺は病院に向かった。
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病院の先生も結構気にかけていたからか準備はすでに終わっていた。
だからこそ検査なども着々と進み、病室へと夜音は運ばれた。
本当に大丈夫なのか?と思っていると病室に先生が現れた。
「海斗、最初に言うが彼女は大丈夫だ。」
「本当ですか?」
「ああ。薬の効果が出始めた。」
薬、そういえば彼女に毎日飲むように渡したやつがあったんだっけ。
夜音のことだからたまにサボっているのかと思ったが案外毎日飲んでいたようだった。
「今彼女の脳内には二人の人格が生きているだろう」
「生きている?」
「旧夜音は今時間軸のもとに生きている。今までは時間が飛んだりした感覚がしていただろうな。」
なるほど……………。
あんまり理解できていないが、ようするに、意識が今二つともあるということかな。
「言うならば、彼女は今解離性同一症。いわば二重人格ってやつだ。」
よく聞いたことがあるやつだった。
まさか彼女が側面するとは思わなかったがな。
「どちらの夜音が目を覚ますかは俺にも分からない。だが、効果がすぐ出たということは旧夜音にも意識があるんだろうな。とだけ言っておこう」
そう言って先生は病室から出て行った。
本当に大丈夫なのかと見守りつつ、椅子に座っているとまた病室が開いた。
「夜音!」
そう呼んだのは風夏だった。
彼女は急いで駆け寄ってきたようだ。
でも、彼女の顔を見て安心すると一言。
「懐かしいな…」
そう呟いていた。
風夏と俺は夜音をただ見つめていた。
特に何かを思うこともなく、ただ見ようという本心が行動に移ったのだろう。
「夜音って高校行ってどうなの?」
沈黙を破ったのは風夏だった。
「そうだな。テストは散々だけど、でも友達付き合いは上手く行ってそうだよ。」
「VTuberは?」
「え、まあプロゲーマーと両立してて大変だけど」
「違う!夜音の事!!」
「あれ?夜音がVTuberやってるの知ってたの?」
「当たり前じゃん!」
それは想定外だった。
俺でさえ気が付いたのが高校入って夏休みとかだぞ。
「で、どうなの?」
「まあ、楽しくやってる感じはするよ」
「それならいいけど…」
そう言って窓の方を見つめた。
俺は何をしているんだろうと思い、横に居た風夏と一緒に窓を見つめる。
「すべてはあの時から始まったんだね」
風夏の言葉。
それに感化されたのだろうか。
俺の中で封じていたはずのパンドラの箱が開き始めた。
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