第102話 It is also important to consult
「急にすまない。助けてくれ」
ピンポンを押して、すぐに俺はそう言った。
如月 風夏
俺が相談しに行った相手は昔からの夜音の親友でもあり、俺の友達でもあった。
俺がプロゲーマーをしているという事実を知っている人物でもあった。
また、ざっくりだが夜音の病気や状況について知っている。
だからゲームや、夜音について相談することもあった。
今回の相談は後者だった。
彼女がドアから出てきて、何?とそう言った。
そしてそのまま彼女は俺を部屋に入れてくれた。
「坂峰と久々に会って一発目にそれを言われる私の身にもなってほしいよ。」
彼女はやれやれと言いながら椅子に座った。
「ごめん……………」
申し訳ない気持ちも多少ある。
だが、今は相談に乗ってほしい気持ちの方が上だった。
「で?何?夜音?」
「ああ。」
彼女は察しが良いのかすぐに分かったようだ。
俺はさっき起きた出来事についてすべて教えた。
「そろそろね…まあそんな気はしてたよ。」
「そうか……………」
「坂峰はどう思ってるの?」
「やっぱり、今生きている夜音を大事にしたい気持ちはある。
でも、昔の夜音を消すという覚悟がまだ決まらないんだ……………」
風夏は黙って聞いてくれた。
俺が話し終わった時、うーんと声を上げつつ、
「まあ、私にも楽しい時間を共にした夜音を消すという覚悟は決めにくいよ。」
「だよな……」
なんかだんまりしてしまう。
どちらも夜音を大切にしているからこそ、すぐに決断できるわけがない。
「どうするべきだと思う?」
俺は頼りの彼女に聞いた。
「昔の夜音を出すことは可能なの?」
「え、無理だと…いや、そういや医者が行けるみたいなこと言ってたな……………」
俺がどうすべきか絶望しているとき、言っていた気がする。
「もし出来るならの話だけど。その昔の夜音と話せるのなら。私は一緒に話して決めるべきだと思う。」
「それ、夜音本人は自分が死ぬことについて考えてるってことだぞ?」
「うん、でも彼女ならそれ相応の覚悟ならあるよ。私には分かる」
そう風夏はきっぱりそう言った。
「そうか。まあ彼女を信じるのも一つの手段だな」
「そうだね。」
そう言って、彼女は上を見上げた。
「今の夜音はどう思ってるんだろうなあ」
「確かに……………」
そういや彼女は何も事情を知らない。
いつか伝える日が来るとは分かっている。
だが、やはり覚悟は決まってない。
「覚悟……な」
「何日居るの?ここに」
「分かんない。1か月かもしれないし。」
「そう。また何かあったら声かけてよ?心配するし。」
「ありがと。」
相談は終わりかな?
と思い俺は帰ろうと荷物を取った。
俺が帰るかあと思い、ドアを開けようとしたとき、
「あ、そうそう。一個聞きたいことがあったんだよ。」
「ん?」
俺は何かあったのかな?と思い振り返る。
「変な事聞くかもしれないんだけどさ」
「坂峰、VTuber始めた?」
彼女は俺のVTuber事情については知るはずがない……………。
だから一瞬俺の時が止まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます