第98話 お疲れ様

「まじか……………」


ー惜しい!!!

ーめっちゃ惜しかった

ー結構上手かったけどこれは無理

ーきついな

ーもともと3vs4の時点でここまで行けるの凄い


葵はあのタイミングで能力開花を撃った。

それは簡単な仕組みでとても強い能力だった。



5発だけ貫通させてダメージ量を上げる。



敵の位置が分かり、そして動かない。

そんな相手には効果抜群だったのだ。


流石に知識不足という点もあるだろうが、警戒心が足りなかったな。


ちょっと反省だ。


「いや~でも惜しかったの凄いな。流石HESKAL1位」


ベルはそうフォローしてくれた。


「いや、ベルもナイスだよ。3人しか居ない中で十分自分の能力を発揮できてたし」


まあ3人だし仕方ないか。

十分頑張ったし良いだろ。


「まあいっか。楽しかったし」



そう思ってると、マナが直接呼びに来た。


「ホールに集まって~!」


そう言っていた。

おそらく配信も切らないとなと思ったので、


「じゃああとはマナの配信でよろしく!」


そう言って俺たちはホールに戻った。


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「お疲れ~!」


ベルがそう言って中に入って行った。

すると氷と目が合ったので近づく。


「氷!お前えぐい」


「いやいや、最後勝とうと思ったんだけど無理だってすぐわかったわ」


「だからってあの作戦は凄いよ」


流石にあそこまで頭が回らなかった。

やっぱり氷は面白いな。


「でも、最後は負けて悔しいよ」


「あ~。あの作戦は葵が考えたんだぜ。」


そう言って氷は一人の少女を指さした。

その子は端でスマホを触ってた。


声かけに行こうかと思ったとき、


「よし!皆集まって~」


どうやらエンディング?をするらしい。

速いなと思って時計を見たらすでに1時間近くすぎてる。

1マッチでこれだけ時間過ぎるのすごいな。




「さて、というわけで皆どうだった~?」


「勝ちたかったぜ~」


「皆さん強かったです。」


「強かった…………」


「というわけで今日は終わり!!オフコラボ楽しいね。ネスイ、何かある?」


「え?俺?」


唐突に話題を振られて混乱する。

とりあえずなんか言っとくか。


「もっと強くなります!」


ーお前はもういい

ーもう強くなるな

ーパワーバランス終わる

ー次は1vs5とかなるぞw

ードクターストップだわ


「ネスイ強すぎるから私達じゃ勝てないよ……………」


そうマナがつぶやいた。

俺は失笑しつつ、


「皆強くて楽しかったしまたなんかしたいな」



「そうですね。次は5vs5でやりたいですね」


「そうだね!というわけで配信は終わり!何か告知ある人~」


「はい」


マナの呼びかけに唯一見慣れない人が声を上げた。

おそらく彼女が黒山葵さんだろうか。


「というわけで、来週末3Dで歌うので皆来てね!!!」


歌えるって凄いなあと思いつつ黙って聞く。


俺も歌ってみた動画出そうかな……………

いや、声がひどいから止めとこ。


「はーい、というわけでお疲れ~」


ーお疲れ!!!

ーお疲れさまです!!

ー面白かった

ー良かったです

ーまた次も待ちます


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「というわけで終わり~!」


「お疲れ様です!」


というわけで3vs4の配信は終わった。

こんな大人数のオフコラボはもちろん初めてだったので緊張したが、やっぱり楽しかった。


一応何人かに挨拶してから帰ろうかな。


「えっと……………ネスイさんですよね?」


そう思ったのだがこちらから来てくれたみたいだ。


「黒山葵さん?」


「はい!葵で良いですよ。ネスイさん上手かったですね」


「あ、、えっとありがとうございます。葵さんもうまかったですよ」


長いロングヘアで、一見おとなしめの高校生?大学生?と言ったところだ。


「いえいえ、今までネスイさんを見てきたんですけど凄く面白いです!」


「あ、えっと……………ありがと」


初対面の人に言われると少し緊張するな。

少しぎこちないがまあ仕方ない。


「私もネスイさんとコラボしたいんですけど4期生って良いですか?」


「ん?」


「あ、いや。すみません。嫌なら別に良いんですけど」


またコラボかよ……………。

いや、別に嫌じゃないしむしろ嬉しいのだが。

こんなにコラボして良いのだろうか?

4.5期生という肩身の狭すぎる中で。


まあ4期生って絡んだこともないし新鮮だから少し楽しみだな。

っと思ったけど氷って4期生だったか。


「もちろん!やりましょう!」


「あ、ありがとうございます!!!!また追って連絡します!!」


そう言って深くお辞儀をした彼女はその場から去って行った。

めちゃくちゃ育ち良さそうだなとかどうでもいい事を考えていた。


もう少し誰かと話そうかと思ったが、

帰りが遅くなるとどっかの誰かさんがうるさいのでやめておく。



「じゃ、ありがとうございました!」


会場で皆にそう言って俺も帰る。






ちょうど、門から出た時、1人少女が居た。


「もえ?どうかしたのか?」


「帰り方が、分からない…………」


そうかと思わず笑ってしまったが、まあ同じ方向だからと思い、

一緒に駅まで歩いて行った。






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もえと別れて電車に乗ってから

俺はまた色々考えていた。


何度もプロゲーマーという思考がよぎるし、それが並大抵ではやり遂げれないと分かっているからこそまた拒絶して。


この繰り返しもそろそろ疲れてきた。



今のゲーム環境、仲間とやるとやっぱりあの時の楽しさというのは忘れられない。

だからこそ戻りたいのだが、色々な事情がはばかるのだ…






そろそろあの季節か……………。


まずはそのうちの一つを片付けようか。

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