第82話 神威を倒す配信②

さて、このダンジョンのクリア率が低い理由を知った。


「これ、リセットなの…」


まさかの途中スタートではなく完全初期スタート。


ただ神威のセリフが、

【また会ったな。だが何も変わらぬ時空をもう一度感じるがいい】


と、初見時とは違う。


ーこれが地獄なんよなw

ーただでさえあたおかな前半を安定させないと地獄

ーネスイは攻略とか見ないでやるから面白い。

ーとりあえず前半戦頑張れ

ーまあ、行けると思う

ー時間の問題



とりあえず、前半は同じような攻撃だった。

なのでまた加護を使って前半戦をくぐりぬける………………のだが。


「なんでこんなに沼るの」


案外敵の攻撃範囲が広すぎて、上手くはまらないときがあった。


そんな感じで10回目くらい、



「よし!!ようやく前半潜り抜けた!」


ただこっからが問題だった。

敵はまず真上から剣を降らせてくる。

判定は狭いが、それでもしっかり避けないといけない。


「こっからだ………」


そして真下からも剣が突き刺さってくる。

一応突き刺さる直前に赤いマークが出るので避けることは出来るが、上を見ながらの回避なので相当な難易度だ。


「これ早く倒さないと後半地獄かもな………」


もしこれがずっと続いたら地獄過ぎる。

だからさっさと詰めることにする。


「フェールキル!」


敵との間合いを急速に詰めて、弱点を突いてくれる強力な技だ。

だが、HPはあまり削れず、この繰り返しだった。


「上から、次下から……」


確認するタイミングを間違えると即死ぬ。

ただでさえ時間が足りない。

上からの剣も下からの剣も相当な威力を持っている。


「あっっっぶね」


とここで、別の攻撃が入った。


(は?前半のやつ…)


まさかの前半で苦しんだ剣が降ってくるやつが繰り返された。

もはや地獄絵図だ。


「これ、どうやって避けんの?」


そう言いつつも、落ち着いて避ける。

ただ、まったく間合いを詰めれる気配がしない。


ー草

ーなんだこれ

ー地獄過ぎる

ーソロクリアが難易度高い理由これ

ーこれでもまだ中位くらいの攻撃ってま?

ーまだ前半戦なんだよなw


「とりあえず、隙見てフェールキル入れてくか」


一応攻撃を入れれそうなタイミングがないわけではない。

けれど少しでもタイミングをミスれば即終了。

落ち着いてやっていこう。





「おっけ~。結構HP削れてきたんじゃない?」


パターン化したような攻撃にちょっとずつ慣れてきた。

とはいえ危ない場面も多く、早くこの場を終わらせたい。


と、思ったんだが、また別攻撃が始まった。

神威から降り注ぐ剣は落ち着き、今は真下からの剣のみとなった。

だが、神威自体は紫色の光に覆われ、何かを願っている。


【わが力となりて現出せよ】


そう脳内に直接響きそうな声とともに、3体のモンスターが召喚された。


1体目は戦士ゴブリン、近接型モンスターだ。

2体目は魔女、遠距離から魔法を打ってくるモンスターだ。

3体目はアンデットコウモリ、飛行しながら地上へ急降下してダメージを与えてくる。


ちなみにどれか1体を取っても討伐に苦戦するモンスターだ。

そしてそれをモブのように扱うこのステージは異常だった。


ー前半戦の佳境これ

ーまじでこいつえぐい

ーしかも神威の攻撃もあるから死ぬ

ー本当にここ通過率1%もない

ーてかここクリアしたらまじで凄い

ーネスイ~行ってくれ!


とりあえず神威の攻撃は若干止んでいる。

とはいえ、ずっと真下から剣を突き刺してくるので止まることは出来ない。


「いや、これ結構やばいな」


魔女が絶えず、炎魔法や氷魔法を打ち付けてくる。

そして、コウモリが上から急降下してくるのでタイミングよくしゃがまないといけない。

だが、近づいてくるゴブリンの剣攻撃も避けないといけない。


そしてそんな中で神威の真下からの剣も避ける。


地獄すぎる。



「は?とりあえずゴブリンからやるか」


まずは近距離で詰めてくる敵からだ。


「案外行ける?」


思ったよりゴブリンのHPは少ない。

ただ、他敵の攻撃をかわしてなので時間はかかる。




「よし、次に魔女」


ゴブリンは苦戦せず倒した。

そして魔女を狙う。

まず、アイテムからスピードポーションを使う。

そして魔法攻撃には一定のクールタイムがある。

その隙に魔女を狙うのだ。



「ここだ!」


下から突き刺す剣には気を付けつつ魔女を倒す。

案外HPは少なくてすぐ倒せた。


-強い!

-これ倒せるの大きすぎる

-魔女とゴブリンはやばい

-これある?

-いや、きついんじゃないかな

-コウモリは倒せる!

ー落ち着いて~


「あと、コウモリか。」


さっきから空から急降下で降ってくる。

それをどうしとめるか。



「まあこうするよね」


コウモリが落ちてくるのをギリギリで回避して、短剣を投げて攻撃する。


「よし!」


コウモリと魔女は案外早く倒せた。

攻撃はやばいが、パターンが分かればまだ避けれる。



そしてただ真下から剣を出すだけとなった神威を倒しに行く。


「これ勝てる?」


ーいけ!!!

ーまじで行ける

ー強いなああ

ー落ち着けば近づける



神威は特に何も動かない。


流石に油断すると即死ぬので落ち着いて剣を回避しつつ、着々とダメージを稼いでいく。


そして………………



「これで!終わりだ!!!!」



神威のHPバーをすべて減らした。



「ん?」


なのに神威は一向に倒せず、クエストクリアの表示もされない。



【ほう、ここまで詰めるとは。流石に本気を出させてもらおう】


ー始 ま っ た

ー本 当 の 戦 い

ーこいつの怖いところは後半戦

ーまじで勝てない

ー前半戦も殺意えぐいのに

ー後半に比べると比にならんよ



え、後半戦あるの?


「は???流石に聞いてないって!」



まさかの神威は第二形態になった。

そしてフィールドは箱のような空間へと変わった。




「え?」





そして神威は本気の攻撃を始めたようだった。




(これが最難関………………)




AFG最難関という言葉の意味を改めて理解した。




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