第71話 後日談…?

さて、朝からうるさい1日だった。


朝ご飯はまず3人前。

夜音にそう伝えられていた。


なぜなら春陽が寝泊まりしていたからだ。


「ネスイの料理好き~」


「そう言ってくれると嬉しいな。」


春陽の言葉を素直に受け取りつつ、俺もご飯を食べる。

夜音もいつも通りの様子だ。


大体食べ終わったところで俺は昨日1つ浮かんだ疑問をぶつけた。


「春陽はいつ俺とプリームが同棲してることに気が付いたの?」


「ん?最初からだよ。部屋に入った時に確信した。」


「まじか」


結構早めから気が付いていたのか。

それでもあんまり気が付けなかったのはちょっと危機感に欠けてたな。


「私もまさかだったよ」


「そりゃあ。プリームの事なら何でも分かるよ」


「そうなのか?」


「だって私プリーム好きだもん」


「は、春陽」


「そこのてえてえ要らん」


俺の家でやるなら、昨日の夜にしとけよ。


「まあ、私が人気無い時に一番最初に助けてくれたのはプリームだもん。

私はこれからもプリームが大好きだよ!」


なるほど。

そういや出会ってすぐの時に、春陽はプリームが大事みたいなこと言ってたな。



「なるほどね」


まあプリームも案外良いことしてるんだな。

家でもその効力を発揮してほしいところだ。



「あ、ネスイ!せっかくだし買い物でも行こうよ」


「え?でもお前帰らないと」


春陽は昨日帰る予定だったのに。

すぐにでも帰らないと親御さんは心配しそうなんだが……


「良いよ。私の親はどっちも海外転勤で居ないんだ」


「そうか…なんかごめん」


ちょっと触れてはいけないところに触れた気がする。


「大丈夫だよ。昔からなんだし」


「そう…」


俺が声を出す前に先に夜音が声を出した。


「私たちも春陽と同じで家族がずっと海外出張で居ないんだ」


「だから、気持ちは分かるよ。いっそ一緒に住む?」


「いいね!プリームの家きれいだし」


「は?」


いや、後半の文に謎が詰まってたんだが。

てかご飯もどうせ俺が作るんだろ?


あ、いやプリームがわんちゃん…


ってそれはないな。


「春陽。帰るとこがあるなら帰りな。」


「くううう。仕方ないか」


春陽は少し悲しそうだったが仕方ない。

そういや春陽の家は豪邸みたいな感じなのかな。

少なくともお手伝いさんが居るということは結構な裕福なのだろう。


なんか、何とも言えない感情だな。

見捨てることは出来ないような。


「じゃあ今日買い物でも行くか?」


「ちょっと!?ネスイ!?」


「い、行きたい!!」






そんなこんなで今俺はショッピングモールに居る。

何をしているかというと、彼女たちの服の試着が終えるのを待っている。


俺は審査員らしい。




2人とも出てきたんだが、俺には全く違いが分からない。

これがファッションセンスってやつか。


「まあ二人とも似合ってるよ」


春陽はベージュのコードを基本とした感じ。

プリームはコートというよりは白いパーカーだ。



「私はネスイの色気にしたから私の勝ちじゃない!?」


「いやいや、アニメに出てくるような可愛い系をした私だろ!?」


「はあ」


俺は額に手を当てて呆れることしかできなかった。




この2人と一緒に歩いていると少なくとも視線を集める。

これでも容姿はどちらも端麗だ。


そしてその中に挟まれた普通の俺は凄く痛い目線を受ける。

精神ダメージはもう結構追い詰められてるぞ。



そしてこの買い物はちゃんと夕方まで続いた。

俺としてはどこを周ればそんなに時間が経つのか不思議だった。


じゃあ何してたかというと、

後半はベンチに座って今日の配信を考えていた。


久々のblancだし、雑談何話そうかな。



そんなことを言っていると、結構な量の紙袋を持った彼女たちが戻ってきた。


「そろそろ帰りますかあ」


春陽はそう言って出口の方へ歩き出す。

夜音も春陽と喋りながら横を歩いている。


配信だけじゃすぐ言い合いになるから分かんなかったけど、

この2人は結構仲がよさそうだ。


夜音が楽しそうなのが俺にとっての何よりだった。







「じゃあね。また配信しよ!」


春陽はタクシーに乗って帰って行った。

結構濃い2日間だったな。

夜音も疲れたのか喋る気力はなさそうで、ただ黙って横に付いていた。



あっという間にもうすぐ年明けだ。

1年何やったかなと言われるとやはりVTuber活動だろう。



年越しは何してすごそっかな、そう思いながら帰り道を二人で歩いた。


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