第72話 2カ月ぶりの浮上

さて、朝は春陽と買い物をして、夜はというと……


そうblancとして久々の配信だ。


ボロが出ないよう頑張らないとな…………



《お久しぶり!blancです!雑談部屋します》


「どうも~!」


ーおかえり~

ーびっくりした

ー昨日急に配信告知するんだもん

ー休止とはいえ心配した

ーSNSも2カ月放置は怖いよ


「ごめんね。色々と家業があったんだ」


VTuber活動で精いっぱいで、こっちの垢はあまり管理できていなかった。

これは俺の注意不足だった。


「さて、まあ色々と喋りますかあ」


正直ゲーム配信でもよかったのだが、他ゲームのしすぎで腕が落ちてそうだった。

もう少し練習してからゲーム配信しようかな。


ーまあ面白かったと言えば

ーやっぱあれか

ーHESKAL杯だな

ーでもblancは【end world】やってない

ーあ~そっか


「いやいや、見たよ?凄かったね」


まあそう言うことにしとくか。

これだけ話題になってるのに無視はできない。


「まあ個人的には春陽さんの動きが凄かった。判断力高いしすごい。」


ーまさかの春陽

ーまあtop5異次元

ーtop2あたおか

ー新参ネスイvs王者風山 氷みたいな感じだった。

ーどっち勝ったんだっけ

ーネスイ~

ーやっぱすごかったなあ…


「皆えぐかったよね。俺もリアタイで見たかったな。」


実際プレイしていたので主催者側の配信はほぼ見ていない。

コメントがどんな感じで盛り上がってたのか後で見ようかな。


「それにしてもHESKAL杯えぐかったな。俺も大会やりてえ」


ー!?

ー大会やりたい!?

ー切り抜き~

ー大会に出ましょう!!!

ー出るしかないだろ

ー元世界王者、現最強格じゃん


「いやいや、現役退いてから全然太刀打ちできないわ」


ー今世界ランキン何位だっけ?

ー分かんね

ー高いんだろうなあ

ー前3位になったんだっけ

ー十分怖い

ー維持きついからな


「見てみるかあ」


別にプレイはしないけどランキングだけ見たいので付ける。

ちなみに最近まったくやってないから全然3桁とかあり得るんだろうな。


そう思ってランキングページを見る。



〈2位 blanc〉


「え!?」


ー!?!?!?!?

ーえ?

ーおめ!!!!

ーすげえええええ

ーなんで2位!?

ーこれはblancの証だな


「なんで2位?」


流石にまさかランキング上がったんだなんて思わなかった。

全然500位とかだろとか思ってたのに。


ー環境がやばいから

ー全然ポイント上がらないらしい

ーblancはあんまやってないから維持ってこと?

ーだとしたら作戦完璧

ー確かに今シーズンランクマ上がらなくなった

ーつい最近環境変わったせいで


まあ視聴者を見るに、武器とか街の変化、ランクポイントの見直し、

いわゆる環境の変化でランクマのポイントを増やすのが難航しているらしい。


そんなことも知らず俺はただ放置してただけなので、影響を受けず留まっているというわけだ。


「まあ、2位か…1位目指す?」


ー行けるだろ

ーポイント差も全然大きくない

ー行こう!

ーこの1週間で目指せ!

ー頑張って!


「じゃあ明日から目指すか」


流石に環境が今どんなんか知る必要があった。

明日から頑張るかは不明だが、ちょっと頑張って見るかあ。




「大会出たいんだけどねえ」


過去のトラウマに引っ張られている自分が情けない。

いや、引っ張られているというよりかは戒めか。


ー出たいなら出てほしい

ー現2位は全然1位行けるのよ

ーランク上位勢で唯一大会出てないよね

ーそれはそう

ーメンバー皆待ってるのに


そういや、白い流星とも連絡を取ってないなあ。

一応VTuberになる契約として副業などは影響が出ないほどなら構わない、と書いてあった。

だから別に抜けたわけじゃないが、2か月放置はもはや幽霊部員だ。


「白い流星って今何やってんの?」


ーなんだっけ

ー参加型よくやってる

ー最近配信多いよね

ー確かに

ー配信者だけの大会開きたいって言ってた。


絶対俺を入れるためだと分かっている。

でも、配信者だけの大会なら面白いかもな………………



「そっか。あとで顔だそっかな」


ーそれがいい

ーそうだな

ーもう1年終わるってま?

ー気のせい()

ー1年早すぎ!


「1年早いな。やっぱゲーム配信頑張ったなあ」


ストリーマーとして活動したのがこの1年だった気がする。

最初は何すればいいか分からなくて、ずっとゲーム配信だったな。



「来年の目標は何にしよ」


ー世界1位

ー他のFPSゲームでもランク最上位

ー世界記録

ー色んな人とコラボ



ー世界大会進出




「世界大会、か…」


ただでさえ出るのが難しいし、出たいとは思わない。


でも視聴者がそこまで言うならちょっとくらい考えてみても良いのか?



「ちなみに次の大会いつなの?」


ー春

ー2月とか

ー予選はもう始まってる

ー決勝が2月の中旬だね

ーあれ



「もう無理じゃねえか」



考えるだけ考えて損した気分だった。


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