第49話 後半戦の開幕
3マッチを終え、後半戦に入った。
4マッチ目を始まると、やはり戦況にも変化があった。
敵の減りが遅い。
作戦を変えた人も多いのか、人の減りの速度は明らかに違う。
ちなみに、俺が降りたところに敵はもちろん来ていなかった。
だが、さっきまで居なかった奴が一人近くに降りていた。
もしかしたら攻めに来る可能性もあるので、俺は警戒しつつ漁る。
(ショットガンが出なかったか…)
これに関しては運としか言いようのないのだが、武器はアサルトライフルとスナイパーしかなかった。
まだ、スナイパーが出ていただけましだろうか…。
そして、想定していたことが起きた。
(誰か来てる?)
さっき近くに降りた敵が早くも攻めに来たのだ。
すぐに漁って倒しにでも来たのだろうか。
どちらにせよ、とりあえず接敵は避けられない。
俺はアサルトライフルに持ち替える。
流石に近距離でスナイパーはリスクが高い。
敵の足音も聞こえる。
おそらく音の大きさから横の家に居るだろう。
(先手打つか)
俺は今漁っていたところを飛び出し、敵が漁っているところの屋根に上る。
そして、アサルトライフルで屋根と天井を壊す。
2階にそのまま着地して、少し警戒しながら探す。
おそらく1階に下がったということは、下に居るのだろうか。
俺はずっと下を見ていた。
でも敵が壁を伝って屋根に上っていた。
(やば)
俺は急いで上を向くと、ちょうど武器を構えていた敵が居た。
すぐにアサルトライフルで牽制する。
正直負けたと思ったが、エイムの調子がよく、全部頭に当たったことで致命傷にならずに倒せた。
エイムの調子がいいなら、もう少しキルペース上げてみるか?
俺は、自分を信じて敵を探しに行った。
ただ、2マッチ目のような失態はせず、引くところは引くように心がける。
道中で息をするかのように、スナイパーで3キルした。
と言っても敵同士が戦っているところにスナイパーで狙っただけなので無理はしていない。
安全地帯もそこまで遠くなく、1つ家を占領して、そこから攻撃をする。
ただショットガンはいまだ見つからず、アサルトライフルで周りに横入れする。
(あ、あそこやれそう)
画面内にシールドが割れた敵が見えた。
HPが少ない証拠でもあるので、アサルトライフルで狙ってみる。
相手はまさか横からくると思わなかったのか、あっさりやられる。
これで5キルと結構順調だ。
ちなみに残り人数はまだ30人弱といる。
さっきの休憩中に知ったのだが、
HESKAL杯に参戦している人にゲストが居るらしく、総勢60名らしい。
だから残り人数はまだまだ残っているというのが分かる。
また安全地帯が変わったので、移動を始める。
ショットガンがまだ見つかってないのでついでに探したい。
道中少し遠くで同じように移動している敵が居た。
もちろんスナイパーで狙ってプラスで2キルだ。
これが異常なプレイだと俺は気が付かず、普通に進む。
【一方ネスイのコメント欄では】
ーは?
ーこいつえぐいって
ー別配信から来ました。ただの化け物でした。
ーただの頭おかしい
ーこの時点で7キルとかペース狂ってる
ーまじで1位狙ってるぞ
ーわんちゃんある?
ー全然あるぞ
ースナイパーってこんな強かったのか
ーアサルトライフルでダメージそんな当てれる?
ー俺の最高ダメージ数越された
ー※ヘッドショットになること前提
ー頭当てすぎ
ーこれチーターよりチーターしてる
ーいやもうこれ人力チート
ーえ?これチーターじゃないの?
ー一応…
ーチート使ってないけど使っているって言われて反論できん
ー残り人数まだ30人くらい居るぞ?
ーあ
ーショットガン見つけた
ー終わった
ーもう優勝でいいだろこれ
安全地帯に入った。
ついでに近くの家にショットガンがあったのでちょうどいい。
アイテムも結構あるし、マッチ1位も狙える範囲だろう。
特にヘイトを食らうこともなく、とりあえず戦っている敵を撃つ。
やっぱこのスナイパーは偏差がないからこそ、すごい当たる。
俺の主ゲームの【world war】はスナイパーの偏差が大きくて慣れるのに時間がかかる。
だけどこのゲームならスコープに位置に敵の頭をそろえば良いから楽だ。
どんどん見えてる敵、隙がある敵を狙いつつ、時間を稼ぐ。
後ろに敵が居ない確認もちょくちょくしつつ、ダメージを稼ぐ。
ちなみに今のところキル数は10ぴったりだ。
すごくキルができる。
視聴者の方にはスナイパーしかほとんど使っていなくて申し訳ないが、
1位のためだから仕方ないと割り切った。
ただ残り人数が減っていくと、敵も見つけにくくなる。
スナイパーの音を警戒してか余計に身を出さなくなる。
そして、安全地帯の範囲にすでに入ってしまっていたので、ちょっと暇だ。
「攻めに行くか」
どうせ待っていても面白くないだけだ。
ここで攻めることで、1位に近づく。
そう思った俺はとりあえず、近くの家を目指した。
そこには1人敵がいるはずだ。
さっきから戦っているところにアサルトライフルの弾を飛ばしていたからわかる。
(やっぱり居るか)
まあ、分かってはいたんだが、やはり敵は居る。
2階建て構造でおそらく上に居るだろう。
1階はほとんどが吹き抜けなので少し注意が必要だ。
俺は2階から撃たれても射線が切られている場所に隠れる。
攻めに行くか、攻め込むのを待つか。
これは結構大事な決断で判断するのに時間がかかった。
けれど判断する前に、敵が動いた。
すごい速度でこっちの方へ向かってくる音がした。
俺はショットガンで迎え撃つ。
敵は2階からグレネードを投げてくる。
「うわ!」
思わず驚いて、吹き抜け部分へ逃げてしまった。
そして、それは敵の思うツボだった。
(あ、やべ)
敵は味をしめたかのように、サブマシンガンを撃ち込んでくる。
俺は慌てて身を隠したが、何発か食らってしまった。
結構近距離だったのでダメージも結構大きい。
そして敵は俺に回復する時間を与えなかった。
すぐに下にグレネードをまた投げてくる。
流石に同じ手には引っかからないように逃げるが、それでもグレネードは止まらない。
いくつ持ってんだよ……
と思いつつ必死に避ける。
そして、グレネードの雨が急に止まった。
敵も落ち着いたか?と思ったのがつかの間、
下に降りてきた。
「えぐいって」
とりあえず俺はショットガンで対抗する。
だが敵もなかなかに強くて
俺はだいぶダメージを与えられた。
(落ち着け……)
ここで焦ったらまた判断を間違える。
とりあえず一瞬だけでも落ち着き何をすべきか考えた。
まずは回復。
これは敵の距離的に不可能に等しい。
じゃあ逃げる。
進行方向が敵にふさがれている。
じゃあどうすべきかは一つしかない。
戦う。
とりあえずどう倒そうか。
ショットガンで対抗するのもありだが、相手のエイムの調子を考えると、先にやられそうだ。
ならやっぱり
(スナイパーで奇跡起こすか)
俺はいちかばちかに願いをかけて、スナイパーに切り替える。
相手が少しずつこっちに向かってきている。
想像内で敵の位置を大体特定する。
そして今どっちに銃口が向いているか。
(今だ!)
俺は身を少し壁から出してスナイパーで撃つ。
だが、相手もすぐに気が付いてサブマシンガンを撃つ。
スナイパーで撃つとすぐに身体を引いた。
ここで頭に当たってくれたらよかったのだが、胴体だった。
まあギリギリとはいえHPは耐えてるし
まだいいだろう。
相手も少し、危険を察知したのか上に上がろうとしていた。
そして、意識が違う方に向いたとき、
それが俺にとってのチャンスだった。
スナイパーで撃った直後ショットガンに切り替えていた。
これは、相手が引いたときにすぐ撃てるようにするためだ。
そしてその作戦は功を奏した。
「あぶねえ……」
集中しすぎて、少し疲れた。
というよりほぼ負けただろって心の中では思った。
けれどあきらめなかったことで、なんとかなったのだ。
だが、流石に与えられたダメージは致命的で、
キルをした分の回復だけでは賄えなかった。
結果的に銃声を聞いて駆け付けた敵にやられてしまった。
少し長い戦いだったのか、一気に戦況が変わったのか。
順位は5位で11キルと結構よかった。
【コメント欄】
ー?
ーん?
ー???
ーは?
ーえ勝っちゃうの?
ー信じれない
ーこれがトッププレイヤーか…
ーていうか相手春陽さんじゃね?
ーほんとだww
ー春陽じゃんw
ーじゃあ春陽に勝ったってこと?
ーそういうことか
ー強すぎwww
ーこれ3位載ったんじゃね?
ー2位もわんちゃんある
ーいや、2位と1位はまだ生きてる
ーじゃあちょっときついか
ーまあ、3位もすごい
ーこれ1位見えてる
ーこのペースでやれば全然ある。
ーこわ
ーやば
「11キル5位か…全然良いな」
体感10位とかだった。
だからまさか5位になるとは思わなかった。
「よし、おつかれ~」
ーチーターが来た
ースナイパー王
ー抜きすぎ
ー怖いです
「あ、ええ……」
視聴者に結構引かれてた。
なんでだろう…
HESKAL杯4マッチ終了時点
top5
1風山氷
2プリーム・アラモート
3白海ネスイ
4春陽のゲーム部屋
5清城 ひな
ちなみに5位と6位でポイント差が30ポイント近く違うらしい。
何はともあれ、3位に乗れてよかった。
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