第50話 対策

さて、5マッチ目。

もう今いる場所に敵が降りることはないと見ていいだろう。


4マッチ目に降りてきた近くの敵も、状況を見て避けたのだろうか。


とりあえず敵が近くに来ないことは確かだ。

ゆっくり漁りつつ、今回も1位を狙っていく。


今現時点で総合3位に俺は躍り出た。

2位はプリーム、1位は氷だ。


1位を取るためにはこの2人にどう勝つかが大事になってくる。


理想は大量キルと高順位。


これが出来ればベストなのだが、キルをすればするほど、殺されるリスクも上がっていく。


(5マッチ目は様子見か)


6マッチ目も大事だが、5マッチ目でも失態を起こさないように気を付けたい。

4位、5位ともポイント差をどんどん付けていかないといけないからだ。



とりあえず敵を探して、スナイパーでキルを取ろうかな。


俺はそう思い、森の中へ探しに行く。





(とりあえずキルするか……)


明らかに4マッチより、敵が発見しにくくなっている。

もしかしたらスナイパーを警戒しているのだろうか。



いや、流石に気のせいだと思い、俺は敵を探し続ける。




街の外には敵が居ないのかと思い、家の中に入った。


すると足音が聞こえてくる。




すぐにショットガンに切り替えて、ゆっくり進む。

敵の位置が把握できないから、よう注意だ。




「うわ!」



すると、後ろのドアから攻撃を仕掛けてきた。

反応が遅れてしまい、結構ダメージを食らった。


とりあえず平静を保ちつつ、回復する。

相手が詰めてくるか、注意しながらだ。


相手もそんなに甘くないのか、俺が1つ目の回復を終わった直後に攻めてきた。

HP的には不利だが、ここはやるしかない。


ショットガンでエイムを合わせて撃つ。


相手もサブマシンガンで近距離戦に持ち込んでくる。



結構ギリギリであったが、弾をいくつか避けたことで死ぬ前に倒せた。


(あぶねえ……)


体感敵がどんどん強くなっている。

だからこそ油断は出来ない。



【コメント欄】

ー勝つんだね

ー知ってた

ーもう驚かん

ーえぐいなあ

ー現実逃避しよ




家の中に敵が居るのが、多く探すのが面倒だった。


とはいえキルポイントを稼がないと今後に影響するので、とりあえず3キルした。


安全地帯に移動をすると、後は高台からスナイパーで撃ちまくるのだが。



(全然いねえ)



4マッチ目で暴れまくったせいで、スナイパーに感づかれたのか。

外に居る敵が全然見つからない。


ただ居ないというわけではなかった。


「あそこ居るなあ……」


家に居るのは対策とはいえ、安全地帯に移動するには外に出ないといけなかった。

俺はそのタイミングを狙うしかない。


やはり偏差の少ないスナイパー。

ほぼ確実に弾が当たるので結構ぶっ壊れた武器なんじゃないかと思う。


安全地帯に移動し始めた敵をどんどん撃ちまくる。


とりあえずこの移動で2人キルだ。



そして、次の安全地帯。

俺は範囲内に入っていたから良いのだが全然敵が見つからない。

もはや暇でもあった。


「敵がいねえなあ」


総合順位を上げるためには、順位ポイントだけじゃなくてキルも重要だ。

1位を狙うならなおさらだ。


だからこそキルに固執しているわけだが、まったく敵が見当たらない。

なのにまだ残り人数は30人弱いる。


やはり皆対策をしてきたんだと思う。


さっきのマッチは室外戦がダントツで多かった。

なのに今は室内戦が多い。

だからキルログは流れているのに全然見つけられない

というような状況に陥るのだ。



「さて、どうしようか」



ぽつりとつぶやいた。

とりあえずこの状況に対応しなければならない。


キルが取りにくい今、俺は順位を伸ばすべきなのだろうか。

とりあえず安定したムーブが必要不可欠だろう。


そう思った矢先に一人敵が舞い込んできた。


俺は結構高い開けた場所に居た。

そして敵が少しずつ上に登ってきていたのが分かった。


俺はとりあえず近くの物影に隠れて、先手を打つ。



敵は俺に気が付いていないのか、俺の真横を通り過ぎた。

そして背後から俺が襲撃する。


ショットガンで2発頭を打つ。

敵も予想していなかったのか、対抗するまえにやられた。


これで4キルだ。

さっきのマッチよりは遥かにキル数が少ない。

まあ仕方ないかと思いつつ、また高いところから敵を探す。





誰も見つけられぬまま、安全地帯に移動する。

範囲には入らなかったので、下がらないといけない。




下は工場となっていて、いろんな建物がすべて繋がっている。

ここが主な安全地帯となっていてこの中に大量の敵が潜んでいるのだろう。



近付くと結構な頻度で銃声が聞こえ、キルログも早いペースで流れていく。

1つの銃声から色んな人が集まっていくことで、残り人数も急スピードで減っていった。


そしてその影響で敵を探しに来る敵も居る。





俺が通路を横切ろうとしたら、その通路に一人敵が隠れていた。

俺は気が付かず、素通りしようとしたら、敵に先手を撃たれた。


サブマシンガンだったからいいものの、ショットガンとかだったらやばかっただろう。


俺はすぐに、壁の裏に隠れたが、相手もすぐに詰めに来るだろう。

とりあえずショットガンに切り替えてまず1発。


相手が出てくるタイミングに合わせたことで、ダメージは入った。

だがジャンプしながら登場したことでヘッドには当たらなかった。



敵はそこまで下がる気はなく、そのままサブマシンガンで突っ込んでくるようだった。

俺はすぐに、1つ上の階に壁を伝って上る。


相手も流石に上を取られたことに危険を察知したからか、すぐに下がった。


とりあえず相手が回復するタイミングで俺も回復する。

他でも銃声や足音が聞こえるため、今戦っている敵の音を見失わないようにしないといけない。



(相手も回復終えたか)



俺が回復を終えたと同時くらいに相手も動き始めたようだ。

それもこっち側に向かっているような気がした。


俺はスナイパーに切り替えて、壁から出てきたらすぐに撃つつもりだった。


だが、相手も警戒していたからか、壁に身体を出すとすぐに引いた。

引くスピードが速すぎて、弾は当たらなかった。



俺が上からリロードしていると、敵はすぐに身体を出してサブマシンガンを撃ち始める。


俺は意識を集中させて弾を避ける。

全弾避けれるわけではなく、最小限に被害を抑えるためだ。


相手が弾切れたので、俺の攻撃が始まる。

とりあえず1階に飛び降りて、ショットガンに切り替える。


相手は弾切れで引いているので、俺はそれを狙う。



「うおっと」


ちょうど居るであろうと予想した場所に角待ちされていた。

そして、スナイパーを構えているのがチラッと映った。

なのですぐに俺は身を引く。

少しでも遅れていたら、死んでいただろう。


弾が通り過ぎた瞬間ショットガンで撃ち始める。

だが相手も遮蔽物を使うのがうまく、あまりダメージが当たらない。


今まで戦った敵の中でもトップレベルだろう。


ショットガンが弾切れすると、すぐにでも攻めてくるだろう。

だから俺はここに罠を置いた。


通路の壁にグレネードを投げて、俺は一目散に逃げる。

そして、俺は通路付近の壁から少しだけ身体を出し、スナイパーを構える。



敵はすぐに俺を追って出てきた。

そのタイミングを俺は狙う。



だが、俺は胴体にしか命中しなかった。

でもそれは対策済みだ。


あえて身を出すことで相手は俺に焦点が向いた。

そして、その拍子で床にグレネードがあることに気が付いていない。



「チェックメイト」




俺はグレネードで1キルを獲得した。


【コメント欄】

ーうぇ……

ー仕組み分かってない

ーグレネードの音を聞こえないギリギリの範囲で投げた

ー天才か?

ーそゆことか

ー誰もキルには口出ししてないやん

ープリーム?

ープリームやんwwww

ー現2位撃破しとる

ーどおりで強すぎると思った。

ー遮蔽物の使い方えぐかったな

ーあれがトッププレイヤーか

ーなんかそれ前も見たな

ー仕方ない

ープリームでも負けるのか

ーじゃあもう……

ーあいつしかいないか

ー1位逃げ切るか、追い付かれるか






結局このマッチで1位は取れなかった。

というのも、ショットガンとスナイパーだけというのが致命的だった。


そのため終盤で大量のヘイトを買ってしまったとき対処できなかった。

だから俺は死に物狂いで逃げた。


結果的に3位ではあったが、1位を取れる試合だったかもしれない。






「おつかれ」


ー春陽とプリームをキルした人

ーキル少ないね(麻痺)

ー順位3位は十分えぐい

ーよくあそこから生き延びた

ーすげえわ





とりあえず5マッチ目が終わった。

5キル3位とまあ、悪くはない。

ただもう少しキルを稼ぎたかったのだが、ここでスナイパー対策されたのが致命的だ。


次の試合どうしようかな。

休憩時間、もはや雑談とかせずにずっと頭を回転させてた。



「あ、いちかばちかやってみるか」




ーん?

ー何か思いついたか?

ーやばそう

ーもうすでに嫌な予感




1つ、良い案が思いついた。

だがこれは一種の賭けだ。

功を奏するかは神頼みになってくる。


それでもやるしかない。


(やっぱこのくらいリスク背負った方がいいよな)




俺は最終戦に向かった。









HESKAL杯5マッチ目終了時点

1風山氷

2白海ネスイ

3プリーム・アラモート

4清城 ひな

5春陽のゲーム部屋


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