第48話 インタビュー

『さて、続いては現在4位の白海ネスイさんです!!』


そう言われて、俺は主催者側の配信に入る。


「あ、えっと……こんしろ~」


ー4.5期生の人だっけ

ーあ~

ーこんしろ~

ー新規の人か

ープレイ全然知らないなあ


なんとなくではあるが、HESKALのファンに認知されていてよかった。

誰?で埋め尽くされると少し萎える。


「中間4位ありがとうございます。」


『はい。ということでインタビューをしていこうと思うのですが。』


いつの間にルナさんに進行が変わったんだ?

とは気になったものの、突っ込まずに黙って質問を聞いた。


『まずはこの3マッチの感想などを聞いても良いですか?』


「そうですね。1マッチ目は順調だったんですが、2マッチ目は焦りが出てしまって判断を間違えたんですよね。

 ただ、3マッチ目にその反省を振り返って、1位を取れたので結果的にはいい流れじゃないかと思います。」


俺が話している裏でプレイのハイライトが流れてきた。

思った以上に皆すごいプレイをしていて、少し心配してくる。


『2マッチ目も10位は取っているので凄いですよね。ではこの後の3マッチどう考えていますか?』


「今4位なので、3位、2位と順番に順位を上げていきたいですね。」


『良いですね。4.5期生ということで注目も上がっていますがそこらへんはどう考えてますか?』


なんだろう。

企業のプレゼンみたいな質問が飛んでくる。

やはり警戒されているのだろうか…


「そうですね~。まあ1位目指してとりあえず頑張ろうかな」


『いいね!ネスイちゃんはやっぱ1位取れるよ!』


『わぁ!』


光マナさんの存在を忘れていた。

おそらくルナさんも忘れていたのか、少し驚きの声が出ていた。


『ちょっと!忘れないでよね』


ちょっぴり怒った彼女に少し俺は笑みがこぼれる。


『それで、マナちゃん。どうしたの?』


『いや、1位を取る理由が聞きたいなと』


『確かにそれは気になる…』


光マナさんが来てからルナさんも少し和んだのか、言葉が柔らくなった気がする。


「そうですね。視聴者の期待に応えたいし、」


少し考えた。

というよりは言うかためらった。


「それに、大会って楽しいので」


やっぱり大会は楽しい。

練習でみんなと仲良くやるのもいいが、

大会で真剣にやって成果を出すのが気持ちいい。


『ほう。いいね!!頑張れよ!』


光マナさん、もうマナさんでいいや。

マナさんは元気よく声を上げた。

対称的にルナさんは感心するかのように頷いていたようだ。


『では、引き続き頑張ってくださいね!』


最後はルナさんがしめくくり、俺は配信を出た。

おそらく次がtop3のインタビューなので、プリーム、夜音の出番があるのだろうが

プレッシャーがかからないようにこれ以降のインタビューは聞かない。


そして、俺は自身の配信に戻る。


「どうだった?」


ーよし

ー良いよ

ーこの調子で

ー順調


「4マッチ目まで時間あるし、マシュマロでも返すか」


コメント欄でも今このタイミングと笑われたが、

暇ですることがないのでマシュマロでも返す。


練習しろよと思う方もいるだろうが、頭を休憩させないと4マッチ目以降に支障が出そうだ。


「さて、まずはこれからだな」


『HESKAL杯頑張ってください!

 ちなみにこの大会が終わったら何をしますか?』


「ゲームばっかりじゃなくて色々喋りたいな」


この大会を見て人は少なくとも流れてくるだろう。

そういった方にも面白くなるように、雑談を上手くなりたい。


「あとはオフコラボだっけ?やってみたい」


ー1期生の打診をお忘れで?


「あ、そうだった。1期生の方たちからのコラボ打診忘れてた」


半分ノリなのだろうが、本気でもおかしくない。

マナさんとアクリスさんだっけか。

とりあえず予定に入れとこうかな。


「まあ、大会終わったらのんびりやるか」


次の質問を表示する。


『HESKAL杯で上位が取れるよう期待してます!!

 質問ですが、高校生活はどうですか?』



「高校生活ね…」


ーそういや気になるな

ー高1だっけ?

ーそうそう

ーあんまり日常聞かないよな

ー気になる


「まあ、結構普通かな」


特にこれといったものはない。

まあ、のんびりと授業を聞いてる。


といっても最近はこの仕事で頭いっぱいだが。


ー恋愛は?

ー友達は?

ー勉強は?

ー成績は?

ー部活は?


「質問攻めやば」


「恋愛はしてない、友達は居る

 勉強は中の上くらい。

 成績も一緒

 部活は無し」



ー学校でもネスイのこと聞く?



「聞くね。ちょっとうれしいけど身バレしないように頑張らないと」


ー身バレ怖い

ー炎上が怖いよな

ー身内くらいにしてくれ

ーVTuberやってるのを知っている人は?


「知っている人は、10人くらいか?」


まず白い流星のメンバー

それに加えて、夜音。


あとは両親くらいだ。


両親にVTuberをやると伝えた時は、すぐやめなさいって言ってきたなあ。

まあそのまま無視して突き進んだ結果こうなったんだけど。


「まあ、そんな感じかな」


ーもうこんな時間

ー4マッチ目始まるか

ーがんばれ!!

ー応援してるよ!!


「さて、やっちゃいますか。」


頭も落ち着けた。

2マッチ目のようなキルペースで、3マッチ目のような安定感を。


そうすれば1位も見えてくるはずだ。


「目指せ1位!」



HESKAL杯後半戦が始まった。


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