第40話 無自覚無双劇
「まだ15人も居るのか」
流石はランクマッチ。
いくら低ランクでもやはりカジュアルより生き残っている人の量が多い。
「どうしよっかな」
正直配信としての取れ高は十分すぎた。
対空をスナイパーで当てるなど、他のFPSならまだある。
だがend worldは別格で難しい。
ーこれ昇格戦じゃね
ーえ、そんなわけ……
ーあれ、でも
ーこれ1位取ったらダイヤ行く説ある
ーまじか
「あそこにも居る」
そう言って、敵にスコープを向けて撃つ。
その弾は安定に敵に当たり、またキルが増える。
「でも、流石に見つけにくいなあ」
流石にプラチナ帯なので、立ち回りは強くなっている。
そのため敵側も射線管理を徹底してるため見つけにくくなっているのだ。
「移動かあ」
次の安全地帯に自分の居る所は入らなかった。
かなり強かったのにと思いつつ、移動を開始する。
「あ、待って。前に居るわ」
慌ててしゃがむ。
スナイパーだと障害物に隠れた時に撃てば、
銃声で気が付かれるのだ。
なので俺は足音を立てずにショットガンを構えて近づく。
「いけいけいけ」
相手との間合いをだいぶ縮めた俺は、すぐに真正面を颯爽と走る。
そして足音で相手が振り向いたとき、俺はもうショットガンを構えて撃っていた。
特に被弾をすることもなく、また安全地帯に行けた。
なんやかんや今のところ被弾回数は結構少ないだろう。
ーちゃんと立ち回りすげえわ
ーエイム良すぎ
ーうわああ
ーもう敵10人も居ないよ
ーこいつ倒しすぎ
俺はいつの間にか、16キルをしていた。
しかも終盤でのキルもあったことでポイントは結構高いだろう。
「もしかして、わんちゃん昇格行ける?」
ー今さら
ーはよヒーロー行ってくれ。マッチングしたくない
ー敵の溶け方が怖い
「あ、あそこ戦ってるのか」
山であまり見えないが、銃声の位置的に山の裏側で戦っているのだろう。
「一個試したいものがあってさ」
俺はそう言って、アイテム欄から空襲爆弾を選ぶ。
さっき敵を倒したときにドロップしていたので、使える時があるかもと思って持っていた。
「これ山の裏投げてわんちゃんやれないかな」
そう思って、大体この辺だという角度をつけて投げた。
あまりよくは見えないが、
その場所にたくさんの爆弾が落とされているのが周りから見てもわかる。
「あ、3キル」
ーもうなんでもあり
ー何してもキル取るやん
ー普通出来ないわ
ー神業
ー神プレイ集かなにか?
やっぱりアイテムは強い。
俺も少し驚いていたが、やはり範囲が広いと狙える敵も増えるのだろう。
「あと5人か」
なんとなく、居るんだろうなという場所はある。
だがそこは自分が行くと立場的に不利になる場所ばかりだった。
つまり皆立ち回りをしっかりしているのだろう。
「どうしよっか。」
今いる場所は安全地帯の中心部ということもあって、ヘイトを買いやすい。
ならば端に移動したいのだが、どこも人が居そうだった。
「あそこやるか」
なんとなく一番使いやすそうな家に居る敵をやりに行った。
俺はショットガンで近距離戦に持ち込んだ。
相手は来ることが分かっていたのか、ショットガンで応戦していた。
俺は弾を避けていたが、通路が短いので1発もらった。
だがそれでも俺の方が当てていたということもあり、倒せる。
「強いぞ!」
ー啞然
ーこんなことあっていいの?
ーやばいって
ー次のHESKAL杯がちで面白そう。
「あそこの敵、窓から倒せないかな」
自分の家から対角線上に一つ家が建っていた。
現に敵が中に居ることは分かるのだが、攻め込みにくい。
ならばその場からやれないかな、と思った。
「行け!」
ちょうど射線が重なり合ったタイミングで撃った。
するとその弾は見事に的中した。
だが胴体に当たったようで、敵も自分の位置に気が付いた。
そしてこの銃声が火種となったのか、あちこちで戦闘が始まった。
「銃声えぐいえぐい」
やはり、全員安全地帯の端にある家に居たようだった。
しかも少し距離が近いということもあり、窓からの攻撃が始まった。
だが大体はアサルトライフルの音で、どちらかといえば倒すというよりダメージを削るのだろう。
「待って。行けるかも」
だが俺はスナイパーがあった。
全員ダメージをもらいながら戦っている今なら、胴体でもいいんじゃないか?そう思った。
そしてその考えは予想通りだったようだ。
「やべえ」
俺は2キルした。
最後の敵は感づいたのか慌てて下がっていた。
だがそれを逃がすほど俺は優しくない。
すぐに家から出ると間合いを詰める。
おそらく敵は回復している最中だ。
そして家に入った時敵の後姿をショットガンで撃った。
だが相手は気が付いていたのか、それを横にずらして避けた。
そしてそのあと、相手はショットガンで応戦してくる。
「やばい」
俺は慌てて下がった。
ー何で当たってないんだ?
ー瞬発力えぐい
ーネスイトレンド行ったなあ…
ーやばすぎ
ーもはやチーター
少し落ち着いて、相手の様子を見る。
だが相手も様子を見ているのかほぼ顔を出さない。
ならばここで仕掛けるのがいいだろう。
俺はもう一つのアイテム
影分身を取り出した。
これはいわば自分とそっくりのキャラを作り、攻撃しに行ってもらう。
いわばおとりだ。
そして敵はきれいに引っかかった。
「よしゃああああああ!!」
画面の中心にはチャンピオンという文字が輝いていた。
ーつよすぎ
ー頭おかしいのか
ーえぐいえぐい
ーやばああああ
キル数 22 順位 1
こんな好成績を収めた。
当然プラチナ帯で収まるわけがなく、普通にダイヤに行った。
「こんなあっさり行くっけ?」
ー行かねえよ
ー行くわけがない
ー普通に世界記録狙ったら取りそう
ーやば
ーHESKAL杯楽しみすぎる
HESKAL杯は明後日行われる。
そのためにももう少し念入りにいろいろと詰めておくべきだろう。
もはや誰もがスパチャ解禁配信とは思っていなかった。
ちなみにネスイはトレンドに入り、
また配信同接数は3万人を突破して、
登録者数は80万人を超えていたのだが、彼が気が付いたのは配信後だった。
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