第37話 HESKAL杯の練習③
ー勝ったwww
ーなんでw
ーえっぐ
ーおめ!
ーナイス!
初戦、終盤でアイテムという機能を知ったおかげで、
なぜか勝ってしまった。
まあ、何があったかいまいち理解できていないが、勝てたならいいか。
「初戦チャンピオンやったぜ!!!」
ランクマで勝てたのは結構大きい。
まあこれよりも強い実力者が多いのだろうが、
今は少しずつ強くなっていくしかない。
「ふう…敵強いな」
初戦の体感はそんな感じだろう。
だがその方が楽に強くなれて安心もする。
「さて、1戦やったところで、次はスペシャルゲストが来ます」
ーお?
ー誰
ー誰だろ
ー春陽?
ーコラボゲストか
1戦目の途中、
俺が特に何もせず、雑談をしているときに一緒にやっても良いよ!という打診が来た。
なので2戦目からはその人とコラボとなる。
「こちらです!」
『どうもどうも!HESKAL4期生の風山 氷だ!よろしくな!』
緑色の髪と水色の服が特徴的なVTuberの風山 氷さんだ。
今回なんとなくでHESKAL内の鯖で誰か一緒に配信しようと言ったら乗ってくれたのだ。
HESKAL4期生ということもあり、少し近いのだ。
だから絡みやすく結果的に良いだろう。
ーきたああ
ーうおおおお
ー神コラボ来た
ー頭おかしいデュオ出来た
ーやっば
ちなみに俺はどんな人か知らないので、このタイミングで色々知れるきっかけにもなるだろう。
「今回は風山 氷さんに来てもらいました!!!」
『よろしくな!呼び捨てでいいぜ!』
すごく自身にあふれるような声が聞こえた。
女性だというが、普通に男性に感じてもおかしくない。
「とりあえずやりますか」
いつの間にかパーティに入ってきたようだった。
ランクマのデュオを選んで行く。
「自分氷さんのことあんまり分からないので色々聞いても良いですか?」
『おう』
突如質問コーナーが始まった。
ー質問始まった
ー知らないんかい
ー案外ネスイにも弱点が…
「じゃあとりあえず簡単な自己紹介お願いします」
『風山 氷だ!数少ない男性VTuberだぜ。得意分野はfpsだ。よろしくな』
あ、男性の方だった。
俺の配信に出ると言ったってことは、
やはりFPSが得意分野なのだろう。
なんとなく敵が少し居そうな街に降りて漁っているが、
彼の動きはすごく早い。
「FPS得意なんですね…」
なんとなく思ったことが口に出た。
すると氷さんが若干笑って、
『HESKAL杯の優勝者だからな』
「え」
確か、夜音が言ってた。
去年行われた第3回の大会までで、優勝経験者は一人のみ。
ただ縛りにしてもなお1位を3連覇中の人が居るっと
つまりこの風山氷さんこそが、HESKAL最強ということのようだ。
「優勝者ってあなただったんですか…」
思わず驚きが隠せなかった。
ーあ、知らなかったんだ
ー初耳のようだ
ー固まっちゃった
ーあらま
ーネスイなら行けるさ
「まあ、俺なら勝てるか…」
とりあえずポジティブさを少し出すが、次の戦闘で完全に潰されることとなった。
「前に敵が居ますね」
スナイパーで奥を覗いたら、家の中に入っていった二人の影が見えた。
『任せて』
彼のたくましい声とともに、走って行った。
俺は彼の後ろをついていく。
彼が家に入っていき、俺も準備をとショットガンを切り替えた時、
えげつない銃声とともに、2人ともキルが入っていた。
「は?」
俺が到着するまでもなく大量の物資がドロップしていたのだ。
ーは?
ー???
ーすげえ
ー草
ーやばすぎだろ
『ちょっとエイムががばったわ』
これでエイムが悪かったらしい。
俺とは住む世界が本当に違うような気がする。
「これ無理かも」
流石にこの人相手にHESKAL杯で勝つのは無理がある気がした。
ー諦めないで…
ー行ける行ける
ー誰が何を言ってんの…?
若干マイナスな気持ちでいつつ、
とりあえず足を引っ張らないように最善の注意を払う。
この人の反感を買って、敵に回したら大会でひどい結果を残しそうだ。
「やりました!」
とりあえず足を引っ張らないように、隙ある敵は全部スナイパーで抜く。
とりあえず遠くで走っていた2人を抜いた。
「ここもやりました!!」
後ろで武器を漁っている2人も抜いた。
『お、おう。流石だな!』
ーは?
ー困惑
ー意味わからん
ー抜きすぎ
ー氷も引いてるって
頼むから反感だけは買いたくないという思いで、
ひたすら見えた敵を撃ちまくる。
氷さんを死なせて、怒らせたくないという気持ちでいっぱいだった
俺は全く立ち回りを気にしてなかった。
そのせいでキルログは俺の名前で大量に出ていたが気が付かない。
「ここもやりました!」
山の上でずっと狙ってる敵を見つけたのですぐ撃つ。
今までやってきたかいがあったのか、命中率は良い。
『ええ…』
氷さんの引く声すら俺の耳には届くわけもなく、
残り人数は10とありえない速さで減っていた。
ー?
ーもう全員引いた
ーキル数18って何
ーチームキル20(2:18)
ー頭狂ってる
だが残り人数が10人となってくると、当然敵も見つけにくくなる。
「敵が居ねえ……」
ひたすら走り回って、スナイパーで見つけては抜く。
だが氷さんの立ち回りの邪魔にならない範囲でだ。
『あ、やばい』
そいって、急に氷さんがダウンした。
まずい。
「どうしましたか?」
『この家居るわ』
どうやら氷さんが漁ろうとした家には敵が隠れていたらしい。
おそらく敵二人が同じ場所にいたのか、一瞬で氷さんは溶かされた。
そして少し距離が離れていた。
そのためすぐに氷さんは確キルが入る。
『あとは頑張って!!!』
単純にこの試合負けたら印象悪くなりそう
俺だけこの試合で世界大会レベルの圧を背負っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます