第36話 HESKAL杯の練習②
「上手くね…」
このゲームをやってて気が付いたことがあった。
それはプレイヤーのプレイスキルが高いことだ。
低ランク帯とはいえ強者の人が多い。
それはおそらくマッチできるランク帯が広いからだろう。
ーがんば
ーやばいな
ーファイト
ーなんとかがんばって
敵が来たから戦い始めたが、相手のエイムがよく
あまり削れていないままこの状況になった。
そして周りには銃声を聞いて集まってきた人たちもいるおかげで
俺の状況は圧倒的不利に置かれている。
屋根の上で敵から射線を切っているが時間の問題でもあった。
「どうしよっかな」
周りから少しずつダメージをもらっているので、回復ももう尽きそうだった。
ランクマッチはキルをすればHPが半分くらい回復するので、
やはりキルするのが最善策だがリスクも高い。
「わんちゃん行けるか…?」
おそらく固定武器になりそうな、スナイパーとショットガンの編成で俺はしばらく頑張ろうと思って練習中だ。
なので当然スナイパーを持っている。
理想は頭を抜いてHP回復&キルなんだが…
「頭出して…」
他にも敵が居るのであまり胴体を出せない中、小屋に隠れている敵を狙っていた。
「おっ」
ちょうど敵がこちらを向いて体をだした。
そのタイミングで撃ってキルが入ったのだ。
ー反射神経ばけもん
ーえっぐ
ー見えんかった
ー本当に出てた?
ーやっば
やはり反応速度が速いゲームは楽しい。
自分の反射神経を信じて動くことができるからだ。
他でも戦闘が起きていたのか、残り人数は5人だ。
だがそこからはあまり銃声すらもしないことから、
全員どこか持ち場を持っているのだろう。
終盤で最初に当たった敵もまだ目の前にいるだろう。
だがそいつもまったく動く気配がしない。
「うわ」
安全地帯は自分たちのいるところではなく、近くにある山を中心とした感じだった。
つまりは、移動しないといけなかった。
ー運が…
ーやば
ーいけるいける
ー頼む
ー初戦から激熱
「とりあえず…」
俺が行くべき進行方向に敵が居るのだ…
家の中に入っているようだが、俺が移動したら確実に背中を狙うだろう。
なのでここで倒すしかない。
とりあえず近くで移動していることを悟られないようにしゃがんで移動する。
ショットガンには切り替え済みなのでいつでも撃てる。
だが家の中に入っても静かだ。
だが、2階に入った時ピンチが訪れた。
「うわ!」
部屋から敵がサブマシンガンを撃ってきた。
流石に至近距離なので大量に当たって瀕死状態に変わった。
「まずい…」
ギリギリで階段へと移動したものの、遮蔽物も少なく攻め込まれると大ピンチだ。
回復もない中で安全地帯への移動と、敵を撃破しないといけない。
正直初戦だからここで死んでも良いと思ったが、
どうせならここから勝ってみたかった。
ーやばいな
ー流石に
ーきっつ
ーやっば
ーどっから撃ってきたんだ
視聴者たちが絶望しているなか、俺はマウスを握りしめて覚悟を決めた。
(やるか)
やはり大事なのは平常心。
俺はいつも通り弾を避けて相手を撃てばいい。
ちゃんとジャンプやしゃがみ、ちょっとした移動なども素早く確認した。
「行ける!」
俺はそう言って、階段から2階に飛び出した。
足音で察したであろう敵も部屋から出てきてサブマシンガンを撃ちまくる。
1発、2発…
少しずつ俺は弾を避けることに集中しつつ、ショットガンで相手のHPを減らす。
1発で1/3といったところか。
俺はそう感じつつも、相手の弾を避け続ける。
ちょうど2発目を撃ち終えた時相手はリロードをするために部屋に入ろうとした。
だがそのすきを俺は見逃すはずもなかった。
「来た!」
相手に勝ったのだ。
ーは???
ーえええええええええ
ー強すぎ
ーえぐいて
そう安心するのもつかの間。
相手のドロップした物資を漁りつつ、すぐに安全地帯に移動する。
銃声でヘイトが向いている可能性もあるので細心の注意が必要だ。
ここで負けては意味がない。
安全地帯に入り、誰も居ない小屋を見つけた。
そこで回復を済ませるとようやく一息つけるのだ。
「ふう…あれやばかったな」
正直緊張していたからこそできたことだろう。
ああいうことがもう少し安定すれば大会でも行けるんじゃないかと思ってる。
ーえぐい
ークリップ早くも作れそう
ーキル集みたいな
視聴者の反響も大きくて少しうれしい。
他では戦闘が起きているが、その間に回復をしていたので割り込めなかった。
そのまま残り人数は3人になっていた。
どこに敵が居るのかはわからないが、おそらく一人は山の山頂にいるだろう。
ほぼ確定と見ても良い。
だがもう一人の隠れている場所は分からない。
マップを詳しく知らないということもあって、隠れれる場所がどこにあるか知らない。
「上に居るんだろうな…」
俺はそう言いつつ、山頂をスナイパーで見ている。
案の定一人いるようだった。
だが、そこで運の神が働いたのだろうか。
安全地帯は山の山頂じゃない方向に向いた。
移動というよりは収縮なので俺は移動せず、山頂を警戒する。
敵が動き始めたタイミングで何度も弾を撃つ。
だが相手も警戒をしているようで当たらない。
残り1人も見当たらないのも怖いが、今は目の前の敵を狙う。
実際彼は移動しないといけないので動くだろう。
すると相手はよく分からない武器を持って、一気に移動した。
思っていたのと違うので俺は驚きが隠せなかった。
「なにあれ」
ーアイテム
ーグラップラーか
ー移動できるのつよ
ーネスイアイテム使ってないやん
アイテムとかいう要素を知らなかった。
よく見ると1つキーが配置されているものがあった。
そこにはアイテムという欄があっていくつかのアイテムが使用できるようになっていた。
「おお」
色々な武器に感動を覚えつつ、俺は一つの武器を取り出した。
『空襲爆弾』
その名の通り置いたところから周りに空から爆弾が降ってくるのだ。
あまり詳しくなかったがその威力は絶大。
何よりも室内にいるのが俺だけだったようで、
「あ、勝った」
初戦は意味が分からないまま勝ってしまったのであった。
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