第29話 不穏な配信
今日がいよいよ八神さんとのコラボ配信だ。
緊張しすぎて、学校の授業もままならなかった。
八神さんはどうやら音ゲーとかするらしい。
困ったらそういう話を振ってみようと思う。
「どう?出来そう?」
流石に夜ご飯中の異変に夜音は気が付いたようだった。
「うーん。怖いけど頑張るよ」
まあ、八神さんは一期生なので
何かあったらどうにかしてくれると信じてる。
「そう。まあ困ったら八神先輩に頼れば良いよ」
案外夜音は信頼しているようだった。
それなのに30分延長とはどういう人なんだろうと思う。
「そっか」
まあなんとかなる精神って大事だしな。
もうすぐ始まる配信に期待値は大きいようで
他のHESKALのVTuberは今日の枠を立ててない。
なんなら他企業の人たちも立てている数が少ない
白海ネスイという存在に期待しているのか、
それとも八神 もえ という存在に期待しているかわからないけど
たくさんの人が見るようで期待したい。
俺はご飯を食べ終えて、部屋に入った。
――――――――――――――――
機材の確認をしていた。
枠は21:00~22:30までだ。
まああくまで目安なので、変動はある。
ご飯が遅かったこともあり、もう時刻は20:30を過ぎていた。
そろそろと思って、ボイスチャンネルに入る。
すると八神さんも入ってきた。
今回は、どちらの方でもする同時配信だ。
俺は配信スタートを押したらもうできるようにしてある。
たぶん彼女側もしているだろう。
特に話すこともなく無言が続いている。
ミュートかと思ったがどちらもそうではなかった。
「あ、えっと、お、音ゲーって、できますか」
第一声はこれだった。
俺は急な声にドキッとしながらも
「したことはないですがやってみたいですね」
完全に出来ないと言われると、また会話が途切れると思った。
「そうですか!?」
さっきまでの小さくて覇気のない声ががらりと変わった。
音ゲーがよほど好きなのか、きれいな反応している。
「え、えっと」
流石に驚いて言葉が詰まった。
一度咳ばらいをして
「楽しいんですか?」
「はい!!」
それからは配信まじかまで、ゲーム性の良さを伝えられた。
たぶんこれを活かしたら面白そうだ。
「そ、そろそろ配信ですね」
さっきまでのはきはきとした声ではなく元に戻ってしまった。
まあ、それもそれで良いなとなんとなく思ってしまった。
「そうですね。そろそろスタート押しますか」
配信開始ボタンを押しても、まだ声などは入らない。
まあ準備画面みたいなのが出るのが定番だ。
俺もそうしている。
「では、よろしくおねがいします」
挨拶はきちんとしているなぁとこの前も思った。
いくら会話が苦手でも、しっかりと出来るのは素がちゃんとしているからなのかと思った。
――――――――――――――――――――
準備画面も終わって、配信内に俺が映ってることを確認して、
「こんしろ~!HESKAL4.5期生の白海ネスイです」
八神さんと通話が繋がってることを確認して、
「今回は雑談配信なんですが、みんなも知ってる通りコラボします!」
「え、えっと。HESKALの、一期生の、八神、も、もえです」
まあわかってはいたがやはりそんな感じなんだろう。
ー来たぁ
ー神コラボ
ーこれは神配信確定
ー雑談とか八神様何カ月ぶりだ
ー珍しい
視聴者目線からしても期待は大きそうだ。
「とりあえず、今日は雑談配信、まあ質問コーナー的な感じが大きいかな?」
「さ、最近出てきた、Vなので、い、いろいろ、ほりさげます」
俺から言うのも変なので、あえて言わせるような口調にしてみた。
ー掘り下げれるか?
ー大丈夫かなぁ
ーなんとかなるか
ー信じる
ーが、がんばれー
もはや視聴者も親目線だ。
そういや八神さんは何歳なんだろう。
喋り口調的に中学生あたりかと思っているけれど、
もう少し上な気もする。
ただ年齢は聞きずらいので、後で配信中にでも調べてみるか。
覚えていたらだけど。
「まあ、聞きたいこととかは事前に募集してるけど、
スパチャとかもしも頂いたらそちらも読みます!」
「す、スパチャは、ネ、ネスイさんにわ、渡すので大丈夫です」
残念ながら俺はまだスパチャが解禁されていない。
配信サイトで結構な条件を突破しないといけない。
・登録者2000人以上
・平均再生回数5000or配信同接累計1万
・三か月経過
まあ、俺はあと待機だけではあるが、その間に何か起こさないようにはしたい。
「そんな感じでよろしく!」
まあ、これだと一人でできるじゃんということにはなりかねない。
スパチャの部分を考えるとそうではない気もするが、
流石にほとんどは一人で解決してしまう。だからもう少し要素を足した。
「え、えっと、私も、い、いろいろ質問、します」
と、こんな感じだ。
これは本当に今八神さんが気になっていることを質問するようにした。
まあ、それの方が楽しくて盛り上がりそうだ。
質問するタイミングは5回に1回くらいのペースでいいとは言った。
とりあえずこれで一時間耐えれると信じて、
「それでは始ましょうか」
VTuber界隈で今一番注目されている配信が始まった。
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