第9話 チーム練習④

『減ってきましたね』


 また、移動が始まり、円が縮小し始める。

 そして、それと同時に色々な所で戦闘が始まり、

 銃声が聞こえる。




 そして二人の声が聞こえ始める。


『いやーヤバいね』


 この声はwartだ。


『wartがそう言うのならそうなのかな』


 lucusの声も聞こえ始める。




 どうやら、立ち位置が悪いようだ。

 彼女の索敵で感知しているようだが、

 完全には解決していないようだ。




『あ、お二人とも、大丈夫ですか?』


 endmが気にして、二人に声をかけた。

 二人は『わ!』というような驚いた声を同時に出して、

 思わず苦笑してしまった。




『endmちゃん、ちょっとヤバい!』


 wartが助けを求めてきた。

 おそらく相当ヤバいのだろう。


『blanc、来れないか?』



 今は周りに敵は見当たらないが、

 そっちに行くまでに何があるか分からない。

 リスクを抑えるなら、助けに行かず順位を上げた方が良い。




 けれど、ここは自分自身を成長したいので行くしかない。


「分かった。任せて」


 俺はキーボードを押して、進み出した。


『私が前を走りますね』


 endmが前を走り、そのあとに俺が続く。




『wart、少し下がれ』


 lucusの指示が飛ぶ。

 二人は安全地帯のギリギリなので、ほぼ下がれない。

 そこまでピンチだということだろう。




「endm、一人で進んでくれ!俺はスナイパーで二人の援護をする」


『分かりました!』


 俺はサブマシンガンとスナイパーの構成だ。

 今、二人は凄くピンチな立ち位置にいる。

 

 もし俺たちが到着していない時に攻められた場合、

 サブマシンガンではあまりダメージが稼げない。

 スナイパーライフルは一発リロードなので、効率はよくない。



 一方でendmはアサルトライフルとピストルという中距離構成。

 しかもエイムが良いので、多少遠くても援護できる。

 ならば、その確率を上げるための時間稼ぎが必要だろう。




 俺は近くの少し高い場所から二人の方向にスコープを覗く。




 敵4人が待ち構えてるように見えた。

 俺は一人動いていないやつを見つけて即座に撃つ。


「一人ダウン」


 リロードをしながら、報告する。


『blanc、そのまま撃ってくれ』


『endmちゃんが合流したら攻めるよん』


 二人の反応を聞きながら、もう一度構える。




 一人の蘇生を行っているが、後の二人は俺の方を狙ってる。

 持っているのはスナイパーで、相手は気付いて、すぐに物陰に戻る。


『あと少しで狙える位置に着きます』


 endmの声が聞こえた。


 もうすぐ次の移動が始まる。

 安全地帯は俺は入っているが他の3人は入っていない。

 wartとlucusはすぐにでも外に出てしまう。


 外側は毒の霧で包まれていて、HPに直接与えられる。

 時間経過と共に、ダメージ量は増えるので気を付けないと行けない。


「今、外側の敵は少し離れているよ」


『了解、wartと少しづつ移動する』




 敵側の移動する先は、次の安全地帯。

 そして、endmの方向だ。


「endm!そっちに敵」


 俺は警戒されていて、うかつに弾を撃てない。

 だから、ここは三人で乗り越えてほしい。




『周りの敵が居ないから今のうちだよ!』


 wartの索敵で、分かったらしい。

 lucusと二人で、敵4人の後ろについて行っているようだ。


『endm!姿が見えたら攻撃してくれ』


 彼はおそらく姿が見えたのだろう。

 挟み撃ちで攻撃をするつもりだ。

 周りは草原で隠れるところが少ない。

 なので、エイム勝負と数的不利をどう裏返すかが問題だろう。




『見えました!行きます』


 銃声が鳴り響いた。

 俺は身体を出して、スコープを覗く。

 後ろから二人も撃っていて、先手を取っていたので有利に見える。

 俺はスナイパーで応戦する。




『よし、全員倒せた!』


 そこまで苦戦はせず、逆転勝利した。

 いつの間にか安全地帯にも入っている。

 そして、範囲は小さく自分たちを入れて3パーティしかいない。


「あと、8人!俺も合流する」




 色々あったが何とか合流することは出来た。


『ここで戦闘が起きてるね、行こう』


 銃声は聞こえていたが、場所までは特定出来なかった。


『そうですね、行きましょう』




 俺達は固まって移動する。


 さっきの戦闘でwartがスナイパーを持っていることが分かったので、

 俺と彼女は後衛の方が良い。


「wartと二人でスナイパー使って攻撃する。二人で行けるか?」


 ここからなら、戦闘地点への攻撃が可能だった。

 なので、二人の近付きを悟られないためにも攻撃した方が良い。


『blancが言うなら』


 lucusは俺の案を認めて、endmと少し遠回りをしながら近付いていった。




『やるしかないね!』


 wartは気合い満々でスナイパーを構えている。

 俺も横でスナイパーを構える。


「相手チームのどちらかが全滅したら撃つ」


 いつでも撃てる体制を整えた。

 彼女が持っているスナイパーは弾が三発入っている。

 ダメージ量も下がるが、その代わり偏差が小さく、敵を狙いやすい。



『俺たちも行けるよ』


 lucus達の準備が整った。






 そして、残りパーティは2の表示に切り替わった。



 その瞬間、大量の銃声が鳴り響いた。

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