第7話 チーム練習②
このゲームのランクマッチはランクが近い人達がマッチする。
下から、
ビギナー
ブロンズ
シルバー
ゴールド
ダイヤ
エキスパート
レジェンドとなっている。
開始と同時にポイントが減らされるのはゴールド帯からであり、沼帯とも言われている。
順位とキルでポイント得られ、それで少しずつランク帯を上がる。
ちなみにレジェンドからはランキング制となっている。
enjoy勢のチームとは言え、全員レジェンドに位置している。
というよりはいつの間にか上がっているのが正しい。
『やりましょうか』
カウントダウンが始まり、
endmがぼそっと呟いた。
俺もキーボードとマウスを握り直す。
『いや、そんなに引き締めなくても大丈夫だよ』
lucusが少し笑いながら言った。
今回の発生地点はそこまで地形のひどくない家だ。
4人はバラバラの家に分かれて、武器や回復を集める。
そして、wartだけは最低限の物資を漁ると、近くの高い場所まで移動する。
彼女の索敵能力を活かすためだ。
『あ、居た!』
wartの声と同時に敵が居たんであろうところにピンが刺される。
lucusはスナイパーがとても得意なので、彼女の居る場所まで移動して、狙う。
『よし、endmとblancで突撃するか…』
彼の指示に従って、俺は漁っていた家を出る。
endmも家を出たのが確認できた。
『あの、何で今日はこんなに静かなんですかね』
俺もさっきから気になっていてた。
前回の練習回ではずっと止まらないほどの雑談が続いていた。
なのに、こんなに初動が静かなのは逆に珍しい。
『いや、たまには…と思いまして』
wartのしどろもどろになっていそうな声を出した。
それには思わず苦笑した。
考えてみれば、大体話を振っているのは彼女だ。
だから、静かなんだと理解した。
『行っていい?』
俺とendmは敵から狙える位置についた。
敵は四人で、結構固まって動いている。
後は、lucusの指示待ちだ。
『じゃあ、行くか!』
その声とほとんど一緒にスナイパーの音が聞こえた。
後ろから聞こえたので、たぶんlucusだろう。
その弾はちょうど良く、敵1人に直撃した。
倒れはしなかったが、足音をごまかすのには良いチャンスだった。
二人でひたすら弾を打ち始める。
俺の撃っている武器はサブマシンガンで近距離にはちょうどいい。
彼女の使っている武器はショットガンで、一回でたくさんのダメージを出せる。
もう二人も崖の上から、応戦してくれているので相手もどんどん追い込まれる。
『倒した!あと1人!』
さっきから俺は何も喋っていないが、何か意思疎通できているのでいいだろう…
wartのおそらくアサルトライフルによって残り1人にまで追い詰めた。
そして目の前に居るのは確認済みなので、しっかりと当てる。
「おけ!潰した」
そこまで苦でもなく1パーティを滅ぼせた。
だが、しんどいのはここからだ。
『私達は逃げる!近くに敵がいるから』
wartはそう言うと、俺達とは逆方向に逃げた。
これは正直仕方がない。
俺とendmは急いで走って、少し大きめの家に入る。
「漁夫が遅くて良かった」
『本当にそうですね。来てたら厄介ですから』
まるで、二人で滅ぼせたとでも言うかのようだ。
そんな器用なことが出来るかは別だ。
他の二人の声が聞こえないのは仕様だ。
一定の範囲に居ないとボイスも切られる。
別に外部から繋いでても良いのだが、
まあそういう縛りも面白かったりする。
『どうですか、最近は』
「あ、そうですね…小テストが今日あったんですけど」
「幼なじみの女子にひたすら勉強を教えていたので地獄でしたね」
俺は思い出して、苦笑する。
すぐに理解していたあの頃の頭はどこに行ったのか、未だに謎だ。
『私のところも今日は、小テストでしたね』
『blancは頭がいいですよね』
急に呼び捨てで話してきた。
これは、俺と二人で話すときだけだ。
他の二人には清楚系で振る舞っているらしい。
理由は知らない。
「いえいえ、俺はそこまで」
本当にそこまで頭は良くない。
だからこそ勉強をおろそかには出来ない。
ゲームの頻度もテスト前になると減らしてきた。
「ん?足音が聞こえる」
その後も二人で会話を弾ませていると足音が3つ聞こえた。
ずっと話していて全く気にしていなかったが、安全地帯を確認しようとmapを開いた。
そこまでしんどい場所ではなかったが、足音の聞こえる方向に行かないといけない。
ちなみに他の二人はもう安全地帯に入っていた。
『慎重に行動すれば問題ないですかね』
endmの声に勇気づけられながら、さっきまで入っていた部屋を出て動き始めた。
【lucus/wart】
一方でその頃二人は、何か起きることがないまま安全地帯に入った。
『blancさん、大会復帰なんでしないのかな』
『何か事情はあるんだろうけどね…』
lucusは少し暗い声で言った。
おそらく踏み込まないほうが良いと思っているのだろう。
『もし、また大会出れたらどうする?』
少しの沈黙が起きた。
『…この四人で優勝はしたことないから、してみたいね』
『だよね〜』
彼女は期待するような声だった。
それが叶うのかはまだ分からない。
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