【11 赤井・ユースケ・バシダチカ】

僕が17の時謎の病が流行しあらゆる生き物が死んだ

隕石に含まれていた水分に付着していたとか、深い森のサルが保持していたとか

南極の氷が解けたせいだとか説は沢山あったが特定はできなかったし

世界中の誰もがそんなことをしている暇はなかった

驚異的な速さで変異するそのウイルスは、ワクチンとのいたちごっこに完全に勝利しウイルスとしての目的を忘れてしまったのか宿主を殺しつくすまで止まらなかった

僕は生き物が好きで、飛び級をして海外の大学に進んで研究をしていたところを猫の手も借りたい状態の政府の研究機関に呼ばれた

20の時あらゆる生き物のDNA情報から3Dプリント技術を駆使し、脳にデータとして記憶を送って従来のクローンよりさらに革新的に再現をする技術が確立された

23の時、白波が死んだ

彼女をアーカイブしてすぐのことで、最後のLINEは『また話そうね』だった

25自分のデータをアーカイブ化する、この頃になるともう体も心もボロボで

研究以外では早く楽になって白波とまた話がしたい、それだけしか考えることが出来なかった

28紆余曲折の末ついに計画が発動される

世界中の選ばれた地域でアーカイブされた人を再現し、社会生活を営み

ゆっくりと人口を回復させるはずだった

これで僕も肩の荷が下りる、もう終わってもいいそう思っていた矢先だった

引き継がれた記憶は、直射日光を浴びるとコンピューターに保管されたデータと相互に消えてしまう

この致命的な欠陥が判明した時には、すでに僕の同僚の研究者達も病に倒れ、コピーされて新しく生まれた身体に入れ替わった後だった

意味記憶は保持され、エピソード記憶は消えてしまうところを見ると一種の記憶障害に近いのかもしれず

日光で合成されるビタミンが生体プログラムに影響を及ぼしているのだとしても

僕の専門はあくまで生理的な部分であって、この意味不明なプログラミングのバグは対処のしようがなかった

世界中で記憶喪失の人間が発生し、自分を失った者たちは生活を営めずに

コミュニティは自然消滅していった

僕の電話に出る人は順々にいなくなって、僕は一人になった

30 唯一残るの商店街エリアを守るために奔走する

36 初めて研究室の外で人を殺す、僕は間違ってない

57 使い物にならなくなってきた身体を捨てる、機械の身体だははは

103 白波が生まれる、彼女は空を見ようとして聞かない

僕の手を煩わせないでくれ

347 これ以上白波に関わるコストは割けない、商店街を維持するタスクを優先する 

400 僕は人類を守らなくてはいけない

461 ついに僕が生まれてしまったらしい、僕は、こいつが嫌いだ

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