【04 ホイッスル】
どこかで音がする
これはきっと心臓の音だ
ぬるく柔らかいものの中で僕が発生した
どくんどくんと脈をうっているのが分かる
曖昧な感覚の中、脈打つ尖端が僕の身体の輪郭を教えていく
ただ暗闇の中、鼓動や流れる血液の音を身体で感じる
ゆっくりと、確実に僕の末端が遠くなっていく
僕が伸ばした身体がつるんとした膜に触れる
ピーーーッ
今までの音とは比べ物にならないすさまじい音が響く
ホイッスルだ!
そう思った次の瞬間、僕はすごい勢いで身体を傾け滑り落ちていき大きく水しぶきをあげて冷たい水に浸かった
「はぁ、はぁ…」
なんとか二本の棒のような脚を使って立ち
滴り落ちる薄桃色のジェルを拭うと目の前に広がるのは巨大なプールだった
どう見ても偽物のヤシの木が空調にトロピカルな葉を揺らしている
今この瞬間に僕が生誕したのだ
ならばやることは1つ
僕は張り切り水を切って歩きだした
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