第3話 嫌悪

「ひとりは嫌だった?それとも、空を飛びたかったのかな」


あんなに合っていた目線の先がフェンスの先に移った。

冷や汗が首筋を伝う。


「君がこの後どうしようと勝手だけどさ、私がこのビルから出でいくことを確認してから飛んでね。」

「…?」

「だって、私はまだ死ねないから。」


何を言い出したのかわからない。


「君が落ちてきたら死んじゃうでしょ?」

「考えなかった?ここ、人通り少ないもんね」


目の前が暗くなる。

彼女に頭が追いつかない。


「鳥だって全部が全部、ワザと人に当たるように運を落としてるわけじゃな…っ」


少女は崩れ落ちていく少年の体をとっさに支えた。


「ちょっと⁈ねえ!ちゃんと立っ……無理」


少女は敢えなく力尽き、少年と共に地に落ちた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死にたがりと寂しんぼ 灰雪あられ @haiyukiarare

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る