第22話 選抜試験
ターリアが正式に俺の専属従者になってからあっという間に日数が経ち、俺とターリアそしてシエルは『王立システリア魔術学園』へと入学前クラス選別試験へと向かっていた。
学園は実力主義であり、貴族であろうが平民であろうが力が無いものは容赦なく淘汰されていく。その最たる例が本日行われる今回の選抜試験であろう。
この試験は様々な項目が用意されているが一番キツい試験は学園側の試験官との模擬戦だろう。試験官自身が入学者の実力を測り、クラス分けをするというもの。
なかなかに手間が掛かっているものだ。
「ターリアの尻尾はフワフワだねぇ〜」
「お、おやめ下さいシエル様...」
学園に向かう道すがら、シエルがターリアの尻尾に頬釣りしてターリアは少し顔を赤くしていた。
シエルにターリアに紹介して以来、シエルはターリアをえらく気にいったらしく、俺目当てでなくターリア目当てで家に遊びに来る程だった。
「カインはズルいなー。こんなに可愛い子を専属の従者にするなんて」
「そんなこと言われてもな。ターリア自身が決めてくれたことなんだよ」
そう言って、ターリアを見ると頷きながら話し始める。
「はい、私がカイン様のお傍でお役に立ちたいと思ったんです」
「私も専属従者、決めようかなぁ」
「無理に決めるモンじゃないさ」
「それもそうよね、さて!切り替えて今日の試験は気合いを入れなとね!」
「応援していますシエル様」
「ターリアが応援してくれるなら百人力だよ!」
そんな他愛もない話をしているとあっという間に学園の正門までやって来る。周りには俺たちと同じ目的で来たであろう入学生が門を潜り、学園の中へと入ってくる。
「さて、俺達も行くか」
「私は外でお待ちしております。どうかご武運を」
「まかせて!特進クラスの席をもぎ取って来るから!」
ターリアの言葉にシエルが答える。
そうして、俺とシエルは試験会場へと足を進めた。
★
試験はどれも特筆することはなかった。的に向かい
そうした試験を俺とシエルは特に危なげもなくクリアしていった。
そして、遂に試験官との模擬戦の試験がやって来る。俺とシエルを含め入学生は少し開けた場所へと移動させられ、俺達と戦う試験官が現れる。
青色の短髪に整った顔立ちをした男性がこちらへ向かって声を張る。
「みんな、最後の試験は俺との模擬戦だ。ルールの説明の前に自己紹介をしよう。俺はアラウス=ファリアスだ。この学園で教鞭を執っている。よろしくな!」
優しい声と爽やかな笑顔をこちらへと向けてくるアラウス先生。女子生徒の何人からかっこいいと言う声が聞こえてくる。確かに男の俺から見てもイケメンという言葉が似合いそうだと思う。
「さて、模擬戦のルールを説明するぞ。制限時間は10分、その間に君達が持つ力の全てを使って俺と戦ってもらう。無論、相手を死に至らしめたり後遺症を与えるような攻撃は禁止だ。尚、俺も君達に攻撃を仕掛ける。それをどう対処するかも評価対象だから頑張ってくれ。仮に俺にやられたとしても入学取り消しなんて事にはならないから安心してれ。何か質問はある奴はいるか?」
俺達の中に手を挙げる者はいない。
「よし、なら早速始めよう。名前を呼ばれた者はこちらに、そうではないものは離れて待機だ」
そう言ってアラウス先生は移動を開始し、一人ずつ名前を呼んで試験が始まった。
「なんか、緊張するねカイン」
離れたとこで行われる試験を見ているとシエルがそんなことを言ってきた。
「確かに少し緊張するが、自分よりも研鑽を積んだ人との対決はとても勉強になる。俺はむしろワクワクしてるな」
「もぉ、気楽なんだから。絶対に特進クラスに行くんだからカインも負けちゃダメだよ!」
「分かってるよ。シエルこそ油断して足元すくわれるなよ?」
「そうね!今のうちにイメージトレーニングしとかないと!」
そう言ってシエルは目を閉じて集中し始める。こんな人がいる環境ですぐにでも集中できるとは、彼女の集中力は目を見張るものがある。そう考えながら俺は模擬戦へと視線を戻す。
やはりと言うべきか個性魔法を使う者達は殆どいない。
皆、基礎魔法を使い試験官であるアラウス先生に攻撃を仕掛けている。対するアラウス先生も基礎魔法のみ使用しているが積み重ねて来た経験が段違いなためか同じ魔法でもその効力は天と地ほどの差がある。
ものの数分しか経っていないのに次々に試験生達はアラウス先生の前に膝を着いて行く。
そうして続いて行く試験の中で個性魔法を使いアラウス先生に対して時間切れまで粘った試験生は二人しかいなかった。だが、その二人もアラウス先生の個性魔法を引き出すまでには至らなかった。
そして、最後は俺とシエルを残すのみになった。
「次はシエル=リストランデ」
「はい!じゃあ、行ってくるねカイン!」
「シエルなら大丈夫さ、行ってきな」
俺へと手を振り、元気にアラウス先生の元へと駆けて行くシエル。そして、両者が向き合う。
「さて、準備はいいな?」
「はい!よろしくお願いします!」
その言葉と同時にシエルは個性魔法の
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