第18話 新たな力 2
三日間の外出禁止を言い渡された俺は自分の家で出来る限り、自分の力を研究していた。
まず最初にブレイズから貰い受けた魔剣についてだがあれは彼女と同じように炎にして収納することが出来たのであれを持ち歩く心配は無くなった。今では俺の呼びかけ一つで炎と共に現れる。
次に魔力について。俺の魔力はほぼ無尽蔵になったと言っても過言ではない。そこは流石悪魔の力というべきか。現在の俺の魔力は二種に分類され、元々の消失の魔力とブレイズが有していたあらゆる物を焼き尽くすの炎の魔力。それを掛け合わせることも難しいが可能になった。また、基礎魔法についても使える魔法が増えたがこれはおいおい紹介するとしよう。
そして、魔物の使役について。
一度、服従させた魔物は『
大型の魔物に関しては無条件か条件付きなのかは外出禁止が開けてから確かめるつもりだ。
とまぁ、これがこの三日間に大まかに分かったことだ。
そして、今日は外出禁止を言われてから最終日。そんな中、俺は何をしているかというと。
「シエル、いい加減離してくれないか?」
俺の腕にぎゅーっとしがみついて離れないシエルにどうにか離れてもらおうと奮闘していた。
シエルは俺の捜索に協力してくれたらしく、俺を見つけるなり大声で泣いて抱きついて来た。それからの三日間、毎日ウチに来てはこの調子で引っ付き虫になってしまった。
「ダメよ!また目を離したらカインまた何処かに行っちゃうでしょう?」
「そんな、野良犬じゃあるまいし。そんなことしないよ」
「本当に心配したんだから」
その目尻には涙が浮かんでいる。なんとも泣き虫なお嬢様だ。
「分かってる、ごめん。もう心配はかけないよ」
そう言って優しくシエルの頭を撫でる。
「約束よ?破ったら許さないから」
そう言ってシエルは渋々離れてくる。
「あぁ、約束だ」
「ところで、もうすぐね。魔術学園への入学!」
目尻の涙を拭いながらシエルが話題を変えてくる。
“王立システリア魔術学園”
魔力があるものならば誰もが受験資格がある魔術の基礎から応用まで幅広い知識を六年という長い年月を掛けて学ぶ全寮制の学園だ。
俺とシエルも今年の春から入学する予定であり、その入学も残り1ヶ月後まで差し迫っていた。
「入学の前にはクラス分けの実力テストがあるから頑張らないとね!」
「そうだな、同じクラスになれるといいな」
魔術学園に入るには主に二つの方法が存在する。
一つは一般的な試験を受けて合格すること。そして、もう一つは貴族階級の特権で試験を免除されての入学。ようするバッチバッチの
勿論、軽い適正試験などはあるが俺とシエルは特に危なげもなくその試験を突破しているため後は入学を待つのみである。
「リストランデ家の者としてやっぱり狙うは特進クラスよね!」
入学式が行われる前日にクラス分けの実力テストが行われる。入学に必要な試験は筆記と入学に適した魔力があるかどうかを確かめる為の測定のみだが。
このクラス分けのテストはゴリッゴリの実技全開試験である。毎年怪我人も出るほどに苛烈という話も良く耳にする。
このテストで優秀と判断された者は特進クラスへと組み分けられ授業の内容も他とは変わってくる。尚、この試験は贔屓などは一切無く、本当に実力勝負だ。
「カインも勿論狙うでしょ?」
「あぁ、というか俺とシエルなら狙わなくて特進には入れそうだがな」
「油断は禁物よ。今年は一味違う子達が多いってお父様が言ってたもの」
シエルの父親は学園の運営にも少し携わっている。その人が言うくらいだから中々に面白い人達が集まっているようだ。
「楽しみだねカイン!」
「そうだな、色々と楽しい学生生活を送れそうだな」
これから送る新たな生活に胸を高鳴らせ、俺とシエルは日が暮れるまで二人で談笑を続けるのであった。
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