「まさか、部隊長が片思い、とはね~」

「相手はわからないのか?」

「ん・・聞いても流石に教えてくれなかったわ」


ところ変わって仕事終わりの隊舎にて、アゼルの言葉にわいわいと部隊長を慕う部下が頭を抱えていた。

彼らが頭を悩ませているのは、リューク部隊長の片思いの相手が誰か、ということだった。


「あの方になんていえばいいんだよぉ」

「それな・・まさか恋愛なんて興味ありません。仕事人間です、って顔してたのに・・ここにきてまさかの片思い・・」


別に片思いに対してとやかく言う事はない。ただ、問題はリュークに恋をしている令嬢から恋のお手伝いを頼まれていたため、リュークの恋が叶えば彼女は失恋してしまう。


「なぁ・・お前からも聞いてくれや。部隊長の思い人」

「ばっか!聞けるわけねーだろ!大体、俺が聞きに行ったらアゼルが俺たちに話したことも自動的にバレることになるけど」

「げっ・・それは困る・・怒ると怖いからなー」


部隊長の恋も叶って欲しい反面、部隊長に思いを寄せる彼女にも叶って欲しいと考えていた。


「そういえば、あの日、他の王太子殿下の婚約者候補の女性陣が派手な赤いドレスとか、王太子殿下の瞳の色の緑色のドレスとかまぁ、もろもろ身についていた中で、彼女だけが《水色》のドレス着てたよなー」

「ああ、そうだったな、確か。ついでに言えば今日も着てたけど」

「まじか・・水色って部隊長の瞳の色じゃん」

「アレじゃない?意志表示的な奴。あなたの瞳に染まりたい的な?」

「カァー一途だねェ・・・王太子殿下の婚約者候補になりながらも、一途に部隊長に思いを寄せるなんて・・・」

「それな」


マルクスの言葉に一同がうんうん、と大げさな位頭を縦に振る。

あーやっぱりこれは部隊長の思い人を見つけ出すことが最優先な任務だな、と言葉なくして皆の中で一致し、がしり、と固い握手を交わした。








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