第5話 ワンワンと大きな音

こんにちはワンワンです。実は大きな音が苦手です、ワン。


何といっても雷はいやですワン。生まれて初めて雷にあったのはシュンくんのおうちにきたばかりの時です。ゴロゴロという音が聞こえて、空が暗くなってきてピカッ!と・・・。ボクはとにかくとにかく怖くて、どうしていいのか分からなくて家から飛び出して庭の塀を飛び越えて走りだした、ワン。その後はものすごい雨でずぶぬれになって、ほえまくって近所をただ走り回っていました、ワン。


どこをどう走ったかいまでも思い出せない。気がついたら傘を差してるのに同じように雨でびしょぬれになったお父さんが目の前にいてくれた。そこで少し落ち着いてきてね、お父さんは息をきらしながらボクを抱っこしてくれた、ワン。「ワンワン心配したぞー」。お父さんのホッとした顔と温かい手のぬくもりはいまでも忘れられないです、ワン。


困っているのはボクが雷にびっくりして突き破ったふすまを今も大切に残していること。お父さんやお母さんが友だちに見せることもあってボクはちょっと恥ずかしい。いつかあのふすまをどこかに捨ててこよう、ワン。


実はお父さんが大声でシュンくんをしかっているのは怖くないです、ワン。シュンくんが何か悪いことをして、お父さんがしかるとシュンくんは部屋の隅で泣いている。ボクがシュンくんの隣に座るとシュンくんがボクに抱きついてきて、泣いている・・・というのがいつものパターン。お父さんはボクになぐさめ役を期待しているのかな。シュンくんとボクの絆はこうして深まっていくのです、ワン。


さて今のところの問題は花火大会です。ボクも連れて行ってくれるかな。お母さんは「大きな音がするからワンワンには無理よ」と言っているけど4人(3人と1匹)で一緒にいたいから頑張ろうと思っています、ワン。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ワンワンの生活 @yuji1970

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ