第23話直美に抱かれて死ぬ

「私は膝が悪くてね足首も痛いんだよ。」と言う紳士は79歳。

その話を聴いている紳士は95歳だ。

 平均年齢は約74歳辺りだろうか・・・。

孝は55歳の左半身麻痺の片麻痺障がい者だ。

「ところでお宅はどんな職業だったの?」ここでの話しは全て過去形になっている。

「麻薬Gメンです。」と、言っても信じてもらえず、一笑に伏して会話は終わっていた。

脊髄の左部分を撃たれ未だに留まっている弾丸が体内保存されているので左上下肢が麻痺している。

 だからギターを弾きたくてもフルマラソンを走りたくても出来なかった。

寝返りを打てば背中の左側に走る痛みが、しばらくは忘れていた狙撃の恐怖が甦る。

 その瞬間、死んだと思った孝はナオミを連発していた。

「好きな女に抱かれて死ねるなんて本望でしょタカちゃん?」

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