第4話URの階段・・・。

無言だ。

 其れもそのはず、孝は公団住宅の階段をステンレスの手摺にノルディックを引っ掛けて上がっていた。

 素手で握ると冷徹な表面温度の低温が返ってくる。

 今が10月だから未だ良いが、これが1月、2月の真冬ならば手摺と接着した掌が凍るような氷点下の体感で、握る掌の感覚が無くなり高齢者ならば手摺と掌が外れて階段から転落する恐れが有る。

 片麻の痺障がい者は、階段の登り方が転倒のリスクを0%に只管近付けて上がる安全策の上がり方を身に着けていた。スキルがあった。

 「先に行くねー。」

と、だけを言い残し、雷子がトントントン!


と、軽やかに階段を駆け上がった。


 しかし孝は右足を確実に踏み面に乗せて、麻痺の左足を蹴上げに爪先を擦り上げて摩擦面が無くなると踏み面に乗せる。


 まどろっこしいが一段一段、確実に確認して上がり切っていた。

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