7月26日(水):情報整理には箇条書き
「昨日は失礼致しました、こちらはどうでしょう?」
ラップトップを両手で抱え、脇からメタが顔を出す。
「ほうほう…さすが隊長、それぞれの合宿先によって異なる予定まで詳しく練っているとは…随分考えてくださったみたいですね…」
「ここまでの無計画のお詫びになればなと…すみません、このような隊長で」
「わぁぁ大丈夫ですよ!?むしろわたしの方が昨日の軽率な発言をお詫びしたいくらいで…」
頭を下げようとするメタを慌てて止めるアテム。
「いえいえ!それもこれも僕の無計画さゆえですので…反省致します。
それよりもこれら3案、どうでしょうか…?」
「うーん、ここまでしっかりしていると悩みますね…」
今回メタが提案した3案は次の通り。
①高尾山
合宿と言えば山ではないか?という考えから、隊の所在である都心からも便のよいこの場所。
登山難易度もかなり低いため日本一登山客が多い山でもある。が、合宿らしいキャンプ等はあまり相性が合わないかもしれない。
②房総
海で行われる合宿だってあるということで、うまいもんいっぱいのこの場所。
定番の銚子、避暑地の勝浦、山もある亀山や金谷などなど候補には悩まない。
が、都心からの便や現地移動は他の2案と比べると劣る。
③鎌倉・江ノ島
山も海もあるため、都内発の夏のレジャーでよく挙げられる観光地の王道。
交通機関にも楽しみがあるほか、目的地が無限定であるため行先には困らない。が、どこに行っても人が多すぎるためたびたび支障となり得ることも。
「勝沼や秩父や草津、日光に大洗なども考えましたがこの3案が無難かなと。近場も悪くはありませんが折角なら遠くに行ってみたいですからね」
人中を撫でるメタの目元に隈があるのを見ると、アテムはそれまでよりさらに唸りながらディスプレイにかぶりついた。
「どれも良い…ですが、わたしはこれがいいです!」
数分ほどの唸りののち、アテムが指したのは鎌倉・江ノ島。
「なるほど、「人の量など気にしない、行けるところが多いならそれが一番だ」ということでしょうか?」
「よく分かりますね…隊長の頭の中にわたし飼われてたりしてます?」
「すみません、ちょっと何を仰ってるのか…」
「なんでそれは分からないんですかぁ!」
作品語りとは違うものの、彼らを渦巻く熱気はいつものそれに近似していた。
この会話を、隊室の外で盗み聞く者が居るとも知らずに…
設定ぶちまけ隊の夏期強化合宿は、まだ始まったばかりである。
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