第13話 収納魔法を覚えたい
「これからどうする?」
サルヴァンがみんなの予定を確認する。お姉さんに今日はもう戦闘禁止を言い渡されたのだ。まだ日が落ちるまで時間があり、今日という日はまだ残っている。でも薬草採取でも経験値が入るため、それも禁止である。いや、訓練でも上がるんだけどね?
「僕は魔法覚えたいな。魔力100超えたし収納魔法に挑戦したい」
「あ、じゃあ私も。私かルウどっちか取れたらいいね」
「収納魔法か! そうだな、それがあれば収入は跳ね上がるからな。魔法覚えるのに銀貨1枚だっけ」
収納魔法。それは冒険者ならみんなの憧れだ。それがあれば持ち運びが楽になるし、お金を盗まれる心配もなくなる。
フリーの冒険者がこれを覚えれば、たちまちスカウト合戦が始まるだろう。
ただし、この魔法の所持にはどうしても注意しなければならない点が1つある。この魔法の所持者が亡くなると、収納した道具は特定の魔法でないと取り出せなくなるのだ。
しかもその特定の魔法も相当高位なため、わざわざ覚える人はほとんどいない魔法でもある。それゆえ、この魔法の所持者はパーティにおいては絶対に死なせてはいけない人になってしまうのだ。
「うん。2つ覚えたいし、念の為銀貨3枚ずつお願い」
「収納魔法は1000人に1人だから望み薄だけど、挑戦する価値はあるよね」
「大丈夫! 資質を
そう。この魔法、実はとんでもないレア魔法なのだ。魔法を覚えるにも資質と最低保有魔力が必要で、最低保有魔力はクリアしたから後は資質の問題となる。これを
「なるほど! よし、期待しているぞ!」
サルヴァンは快く許可を出し、銀貨を3枚ずつ僕らに渡してくれた。僕とリーネはお金を受け取り、顔を見合わせるとお互い頷いて魔導士協会へと向かうのだった。
僕とリーネは今魔道士協会に来ている。一魔道士協会は魔道士ギルドという国際組織に属する学術機関で運営には国の税金の一部が使われているそうだ。税金は僕らも払っており、報酬から天引きされている。利用するには魔道士協会の会員になる必要があり、字の読み書きができることが条件となっているのだ。つまり、ここを利用できるというだけで読み書きができるわけだから人材の宝庫でもある。
僕たちは建物の中に入り、会員証を提示した。僕とリーネの持っている会員証は首にぶら下げてあるギルド証と一緒にしてある。この会員証にもランクがあり、使える魔法の種類や数などで決められるそうだ。細かい振り分けについては知らないけどね。
で、僕とリーネのは最下級のFランク。最下級の魔法しか使えないのだから当然だけど。
「今日はどのようなご要件で?」
「スロットが増えたので新しい魔法を覚えたいです」
「私も」
「新しい魔法ですね。では銀貨1枚ずつお願いします」
おっと、数を伝えるのを忘れていた。
「2つ覚えたいです」
「私も」
「2つですか? では2枚ずつですね」
僕とリーネは受け付けで2枚ずつ支払い、魔法契約証を2枚ずつ受け取る。どんな魔法でも銀貨1枚という良心的価格設定なのも税金のおかげだ。これは本当にありがたい。
そして僕らは2階への階段を登り、魔術書の置いてある閲覧室へ入る。ここは入口と出口は別になっており、それぞれ担当の職員が警備についている。魔術書はとても高価で室外への持ち出しは禁止されているのだ。
閲覧室の中は本棚が並んでおり、魔法の系統ごとに分けられている。大まかに特殊系、攻撃系、支援系。そこから更に区分されているのだ。
さぁ、今度は収納魔法と何を覚えよう?
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