第12話 Eランク昇格
あ、そうだ。またステータスを見て欲しいんですけどいいですか?」
「今日はもう3回目ね。さすがに、と言いたいとこだけどいいわ」
さすがにダメかなぁ、と思ったがアリシアさんはにっこりと許可を出してくれた。普通はそうちょくちょく確認するものではなく、ある程度経ってから確認するものだ。でも僕らの場合、
「え? これどういうことなの…? こんなの初めてよ、おかしいわ…」
アリシアさんが僕たちのステータスを確認すると物凄い驚きようだった。もしかしてやり過ぎたのかもしれない。
「あの、お姉さん?」
「あ、ごめんね。サルヴァン君458、アレサちゃん447で2人ともレベル7ね。リーネちゃんは423、ルウ君426でレベル6になってるわね。2人ともあと少しで7だわ。魔力がリーネちゃん114、ルウ君121ね。それに2人ともマジックスロットが2つずつ増えているわ! あら? アレサちゃんもマジックスロットが1つあるわね。魔力は16だけど」
「やった! 2つも増えてる!」
「新しい魔法! 何にしよう?」
アリシアさんの報告に僕たちは手を取り合って喜んだ。マジックスロットは覚えられる魔法の数だ。これがないと魔法を覚えることはできない。鑑定してもらわないとわからないため、魔法を使う人は割とこまめにレベルアップを確認するそうだ。
「あなたたち、いったい何をしたの? レベルアップの速度が尋常じゃないし、魔力の上がり方も異常よ! レベル6で魔力100超えなんて貴族様の天才でもなかなかいないわよ? それに魔法スロットの数もね。そのレベルで5つなんて前例がない話だわ。これ、2人とも稀代の天才レベルよ?」
「え、ど、どうしよ?」
「うーん、お姉さんなら話していいんじゃないか?」
「絶対秘密にしてくれる?」
「わかったわ、パーティの重要な秘密なのね。でもギルドとしては把握しておきたいし、応接室で話しましょう」
アリシアさんには何かとお世話になっているので僕たちは話すことにした。それで応接室へ案内される。入ったのは初めてだ。お菓子とお茶まで用意してくれたのは嬉しいかも。
それでお姉さんにその秘密を話すと、それはもうめちゃくちゃ驚いていた。拡大解釈の応用力ははっきり言って異常だ。それがわからない人じゃあない。
「聞いておいて良かったわ。あのね、レベルアップはあまりいっぺんにやると危険よ? 特に魔力なんかはいっぺんに上がりすぎると制御できなくなる危険があるし、一度にレベルアップすると気を失うこともあるわ。ほどほどにね」
「はい…」
そうかぁ、そんなリスクがあるなんて知らなかった。1日で一気に倍以上になったけど制御不能、って感じはしていない。それでもせめて重ねがけだけはやめておこう。
「それにしてもその拡大解釈って
「す、鋭いですね」
女性だけにそういうとこはちゃんと見てるのね。
「確かにこれは隠しておかないとダメね。特に
「お願いします」
うん、秘密が守られるなら安心だ。僕はアリシアさんを信用している。だからきっと大丈夫。
「わざわざ聞かせてもらってありがとう。それと、実力でオーガも倒せたし、レベルも規定に達したからみんなEランクに昇格よ。おめでとう」
「ほんと? やったー!」
「Eランク! ゴブリンやオークの討伐隊に参加できるのね」
討伐隊参加の最大のメリットは自分たちより上位の冒険者と知り合ったり、アドバイスをもらったりと色々勉強になるところだ。夜営の知識を得たいならこの討伐隊への参加は重要で討伐隊参加経験がないとDランクにもなれない。
「じゃあみんなのギルド証預かるわね」
「はい!」
更新手続きのため、首に下げているギルド証を外すとアリシアさんに預けた。ちなみにこのギルド証には登録した国、支部名、名前と冒険者ランクが刻印されている。大切な身分証でもあるのだ。
「じゃあちょっと待っててね」
アリシアさんは応接室を出ると手続きに向かった。ぼくたちはそれまでここでのんびりと待機だ。
「はい、お待たせ」
僕たちはEランクの刻印がされたギルド証をしばらく眺めて感慨にふける。ついにEランクへと昇格したのだ。これでもう僕らは底辺じゃあない。そう思うと込み上げるものがあった。
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